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11.

 (※ウィリアム王子視点)


 私とエマが初めて出会った日のことを、彼女に問い質してから、一週間が過ぎていた。


 あの時の私は、どうかしていた。

 エマが偽物ではないかと疑ってしまったのだ。

 しかし、彼女は私たちの思い出の味が何なのか、正確に答えた。

 そのことで、彼女に対する疑いは晴れた。

 現在は、彼女と今まで通りの幸せな生活を送っている。


 そもそも、あんな馬鹿な疑いを持ってしまったのは、私に先入観があったからだ。

 兵からの報告を受けていた時、エマが偽物だというヘレンの言葉を真に受けた彼が、少し調べてみるべきだと言っていたのが頭の片隅に残っていたせいだ。


 エマには、本当に悪いことをした。

 一瞬でも疑ってしまったことを、今では後悔している。

 だからあれ以降、彼女に過去のことを詮索したりはしていない。

 そんなことをして、せっかくの幸せな生活を台無しになんてしたくなかった。


「殿下、お待たせ致しました」


 エマがきれいな衣装に着替えて、私はその姿に見惚れていた。

 これから彼女と一緒に、街に出かける予定だ。

 私は気持ちが高揚していた。

 もう、この前に事はきれいさっぱり忘れよう。


「それじゃあ、行こうか」


「はい!」


 彼女のその笑顔を見て、私は微笑んだ。

 そうだ、これでいいんだ。

 馬鹿なことでいつまでも悩んでいたって仕方がない。

 私はエマとの幸せな時間を楽しむことに集中しようと決めた。


 しかし、それでも、どうしても考えてしまう……。

 先日、兵が新たな報告をしてきたのだ。

 エマの両親が、少し怪しいと。

 もしかしたら、ヘレンが言っていた戯言は、本当のことなのかもしれないなどと言い出したので、私は彼を厳しく叱責して、部屋から追い出した。


 あの時は怒りで我を忘れていたが、兵の言葉がいつまでも私の中に残っていた。

 頭の片隅にあるけれど、私はそれを見ないように努力していた。

 しかし、それでいいと思っている。

 わざわざ今の幸せな生活を壊すようなことを、私はしたくない。


 私はエマと街に出かけた。 

 しかし、そこでまた、彼女のことを疑ってしまう出来事が起こるのだった……。

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