百四十二話
鳴宮百合子が認知したこの世のあらゆる攻撃手段が、全く効かない。
そもそも晃穂は鳴宮百合子が作ったアンドロイドだ。
晃穂が持つ攻撃手段は、全て鳴宮百合子に効かないことを意味していた。
「なんで私の攻撃も知ってるの!?私とあんたは会ったことないよね!?」
雲雀は鳴宮百合子に噛み付いた。確かに雲雀は百合子と会ってない。
「晃穂の人工脳にある戦闘データは、私が逐一チェックしてるわ。雲雀…あなたとの戦闘ももちろんチェックしてるわよ」
「ちぇ!そういうことか!もう無理!全てお手上げじゃない!」
雲雀は両手をあげ、降参のポーズをした。
「まだ諦めるのは早いでありますよ!雲雀さん…!」
「諦めるも何も、あいつにはどんな攻撃も効かないのよ!?」
未だ諦めない晃穂。何か策があるというのか?
「リリー、あなたはこう言ったであります。リリー自身が認知した攻撃手段は効かないと。逆に言えば認知していない攻撃手段は効くってことでありますよね?」
「ふふふ、やっぱりあなたはバカ晃穂ね。例えば今この瞬間に新型兵器ができたとしましょう。その兵器で私を攻撃するとしても、私の脳は全世界のネットワークと結合してるの。兵器が作られる過程でもう私は認知しているわけ。どうあがいても無理でしょう」
腰に手を当て、フンと晃穂を見下した表情で言う鳴宮百合子ことリリー。
「ネットワークでありますか?今は何をするでもネット、ネットワークでありますな。否応無しのネット社会でありますな。でも、そんな時代にもアナログで勝負するアンドロイド技師がいるとしたら?」
「今時そんなアナログなやり方でアンドロイドをいじる技師がいるの!?」
晃穂の言うことに、驚きおののく鳴宮百合子。
「それがいたらどうするでありますか!?そして、こんな改造を私にして、こんな攻撃したとしたらどうするでありますか!?リリー…、鳴宮百合子!」
そう言うと、晃穂は自分の右腕を水平に上げ、左手で支えた。右手は拳を握り、まっすぐ鳴宮百合子の胸のあたりを捉えている。




