百四十一話
「澤口松子…、マコちゃんはとても優しい女の子なのね。テロに会い火だるまになった親友の元に駆け寄り、自分も火だるまになってしまったのだから…彼女はその記憶がトラウマで封印していたのね…」
そう言うと、鳴宮百合子は自分の膝に乗り、まだ無邪気に眠っている澤口松子の髪を撫でた。
「全身大火傷を負ったマコちゃんは、私たちの組織、サイボーグ技術の開発団体に運び込まれたの。99パーセント助かる見込みがない彼女はサイボーグとして手術を受け、助かるかどうかある意味人体実験にかけられたのね…。結果は見ての通りよ。天才の私の手にかかれば元通りになったわ…」
澤口松子は鳴宮百合子によって作りかえられたサイボーグであった。自分の芸術作品を愛でるように、松子の全身に指を這わせる鳴宮百合子。
「なんと!?マコちゃんはサイボーグだったでありますか!?しかもリリーの手によって作られたとは!?」
「それより汚らわしい手で、松子ちゃんの神聖な身体に触らないで!!」
雲雀は、松子の全身を撫で回す鳴宮百合子の手の方が気になるらしい。
「こんな冷気放射攻撃なによ!?私の愛の前に立ちはだかるものは、私の手で振り払ってやる!いや、この羽根で振り払ってやるわ!」
そう言うや否や、雲雀は体内のギア(生態回路ユニット)をフル回転させた。全身に熱い熱量が回り、凍っていた銀色に輝く羽根が徐々に溶け出した。
「おぉ!?すごいでありますな!雲雀さん、そんな便利な機能があるとは!私の足の氷も溶かせてくださらないでありますか?」
凍っている自分の足を指差し言う晃穂。
「絶対に嫌!あんたはそこで一生凍って動けないでいなさい!松子ちゃんを助けるのは私なんだから!食らいなさい!舞い落ちる千の銀の流星!!」
少し飛び上がり、雲雀の翼から無数の銀色に輝く羽根が打ち出される。
鳴宮百合子に、鋭く尖った銀色に輝く羽根が吸い込まれるように撃ち込まれた。
「やったでありますか!?」
「それ言うな!禁句!!」
雲雀の言う通り、鳴宮百合子の身体に撃ち込まれた銀色に輝く羽根は、百合子の身体をすり抜けて後ろの壁に刺さった。
「ふふふ、何をしても無駄よ。私のサイバネティクスボディーは特殊合金クリスタルでできてるの。この世に存在する私が認知しているあらゆる攻撃は無効化できるのだから…!」
鳴宮百合子の身体はよく見ると透けていた。クリスタルの身体からは人工骨格や人工内蔵が透けて見えて不気味であった。
「核攻撃でも私には効かないわ。どう?私は不老不死の完璧な身体を手に入れた。完璧な生物なのよ!」
「なん…だと…!?どんな攻撃でも効かないのでありますか!?」
どんな攻撃も効かない化け物のような鳴宮百合子に、晃穂と雲雀に勝機があるのだろうか!?




