百二十一話
「がはっ!?」
アイドルテロリストのマリア・タチバナに渾身の力で、蹴られ数メートル吹っ飛ぶ沖田司。
「俺は沖田とまた戦えると言われ、捕まるかも知れないリスクをおかして、日本に戻ってきたんだぜ?それががっかりだぜ!お前こんなに弱かったか?」
「やはり、あなたは10年前の私を知ってるのですね…?」
「お前記憶喪失なのか?そうかそれは傑作だな!原因は多分俺だぜ?10年前のテロの時、いつも邪魔してくるお前を俺がボッコボコにしてやったんだからな!!」
沖田の問いに奮然として答えるマリア・タチバナ。
10年前も沖田とマリア・タチバナは戦っていたのか…?
「お前本当に面白いな!面白すぎて逆に笑えねぇぞ?真撰組の沖田司だって?なんでそんな名前名乗ってるんだ?」
「記憶喪失の私をここ秋葉原の皆さんが助けてくれたんです。行く当てのない私を真撰組の近藤さんと土方さんが真撰組に迎えてくれたのです。沖田司と名付けてくれたのも近藤さんです!とてもありがたい名前なのです!それを面白い?逆に笑えない?そんなことを言うあなたを私は絶対に許しません!」
沖田は秋葉原商工会の面々の顔や、真撰組の皆の顔、そして特に雲雀の顔を思い出して力強く叫んだ。
沖田の秘めた思いは多分いや、絶対に雲雀には届かないだろう。しかし雲雀の笑顔を守れるなら、この秋葉原という街を守れるなら、真撰組に所属する沖田司という自分の名前はこれほど誇れることはないと思った。
名前の由来は幕末の新撰組の志士だというのは、もちろん知っている。
そのことも光栄だと思った。その名に恥じぬように今まで戦ってきたつもりだ。
だが、沖田の必殺の突きが通じないマリア・タチバナの装甲の厚さには、沖田は正直焦りを感じていた。
「許せないだと?ふはは!それほど大口叩いたなら、俺に勝てるんだろうな?勝てるどころか傷一つつけられないんだからな!これが笑えないほど面白くなくて、何が面白いんだろうなぁ!?沖田よぉ?」
悔しいがマリア・タチバナの言う通りだった。沖田の剣戟が全く通じないこのテロリストに本当に勝てるのだろうか?いや、勝たねばならぬ!退くことは真撰組の名の下絶対に許されない。
「沖田、いい目だな。10年前と変わらず決意に満ちた目だ。だが俺はその目が絶望に打ちひしがれる姿見たいぜ!お前のその美しい顔が苦痛に歪む様が見たい!ふはははは!!!」
マリア・タチバナがぐいと沖田に近づき言い放った。




