百五話
「こちら側の人間とは、どういうことですか?」
私はリリーに問い詰めた。
「マコちゃん、あなた自分のことを普通の人間だと思っているでしょ?そもそも普通の人間ってどう言うことなんでしょうね?」
私は普通の人間ではないのだろうか?
「少し、私の昔話をしましょうか?付き合ってくれる?」
「嫌だと言っても聞かせるんですよね?」
私は警戒して答えた。
「そんなに警戒しないで。マコちゃんごめんなさい。人質にするとか言ったけど。半分冗談なのよ?半分本気だけどね。いつかこうしてマコちゃんと私でゆっくり話してみたかったの」
「どうして、私なんですか?」
「私とマコちゃんは似てるの。深いところでね」
「あなたなんかに似てるとは思いません」
「嫌われたものね。でも、聞いてもらうわ。私の過去を…」
リリーはため息をついて、語り出した。
「私はね、10年前アンドロイド開発技術団体にいたの。正式名称は別にあるけど、一応極秘プロジェクトだから教えられないの。ごめんね。
そこで私はアンドロイドの開発をしていた…のだけど、本当は義手と義足の技師だった。
義手と義足の技術を買われ、アンドロイドの開発にも携わっていたの。
10年前といえば、東京オリンピックよね?マコちゃんは小さい時だからあまり覚えてないか?
ちょうどその頃、ロシアの陸上選手が事故にあい、両足を切断しなければいけない大怪我を負ってしまった。
私たちの団体にその選手の義足を作ってくれと、オファーがあった。
私は即座に立候補したわ。何故かって?
元々義手と義足の技師だったっていうのもあるけど、私はその選手に一目惚れしてしまったの。
その選手はターニャと言ったわ。金髪の髪に透き通るような白い肌。長い腕。足ももちろん長かった。
でも、その足はない。かわいそうな彼女に最高の義足をプレゼントしたいと思った。
ターニャは足を切断したことによって、オリンピック出場はできないと思い、自殺まで考えていた。
私は必死に説得した。最高の義足を作るからと。パラリンピックなら出場できるのではないかと。
東京オリンピックが無理なら四年後もあると。
毎日泣いていた彼女も、私の説得が効いたのか、少し笑顔が戻ったわ。
そして義足も完成した。
私の作った義足はターニャの足に完全にフィットしたわ。
義足は付けたとき、痛みがある場合があるけど、私の義足はそんなことはない。
装着面に生体ユニットがあり、装着者の足の切断面にスムーズに着くようになってるの。
それに義足の動きは人間以上に軽やかに動く。




