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停滞の賢者  作者: 楯川けんいち
囚われの精霊編
30/76

あるところの物知りお婆の話

新編開始。

 精霊様はどうやって生まれてくるか、とな?

 

 そのようなこと、この(ばあ)にわかるわけなかろう。

 それは古来より数多の魔術師が知ろうとしてきたものじゃ。

 だが未だに、それはわかっておらん。

 

 ただ長く生きただけの婆が知っておったなら、とっくに知れ渡っておるわ。


 ……まあ、話はいくつか聞いたことはあるがの。


 わかっておらんのは精霊様の数が元々少ないのが一番の理由だそうだがの、そもそも調べるということができないとも言われておるらしい。

 

 精霊様はいつ、どこで生まれるのか誰にもわからん。

 そして精霊様が生まれる瞬間は誰も見ておらんらしい。

 

 人前で生まれたことがなかったのか?

 そう思ったじゃろ。

 

 それがあるらしいのだが、見てはおらんそうなのじゃ。

 

 不思議じゃろう?

 いま詳しく話すでな。

 

 どこぞで人がおって、いきなり気を失ったそうな。

 周りを見ると、生まれたてらしい精霊様が近くに現れておったそうじゃ。

 そんな記録ばかりがあるらしいの。

 

 研究をする者たちでは、これこそ精霊様の誕生に居合わせたものだろうとしておるそうじゃ。

 

 つまり、「精霊様の生まれる瞬間を、人は垣間見ることはできないのではないか」ということだの。

 

 なぜそうなっておるのか、それもわからん。

 

 先の生まれたてらしいと言われる所以なのじゃが、ただ一つ知られておることがある。

 

 生まれたばかりの精霊様は赤子のように泣き叫んでおるそうじゃ。

 もちろん、精霊様は姿形が変わることがないもの故、赤子の姿はしておらんがの。

 

 だが、それこそ母を探す乳飲み子のように、見る者が哀しみを覚える泣き声をあげていると言われておる。

 

 なぜそうしておるのかは、わからんがの。

 

 分かっていないばかり? その通りじゃ。

 

 精霊様は息をするように魔に親しむ。

 

 そんな彼らは神秘そのものなのじゃ。

 

 神秘を解き明かそうとするのは人の性であるがの。

 人にわかることなどほとんどないというのも、道理と言えるのじゃ。

 

 もしわかるという者がいるのであれば――。

 

 それは人という領分を越えて、神秘に近づいた者だけじゃろうて。

 

 

 


拙作をこれからもよろしくお願いします。

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