勇者

私は今日大人になった

階段をひとつ登り

正々堂々

酒を飲み、煙草を呑み、有権者になる

成人になり

責任を負う代わりに世界が広がった

だというのに

昨日と今日と明日とで

何一つ変わらない自分が

辛すぎて悲しすぎて

笑ってしまう

なんでもできると思っていた

幼い自分の愚かな幻想が

それでも捨てられそうにない希望が

自分の首を絞めてゆくなんて

誰が予想できただろう

変わったのは

ただの肩書で

変わるものも

ただの肩書で

勇者なんてなれるはずもなかったのだ

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