滅亡邂逅・忌み嫌われし妖達
不気味なほどに暗い、闇の空間。
アーゼアが降り立った世界で、一番近い場所がそこだった。
幽霊一般兵「ん?おいアンタ!何しに来て・・・」
「その耳・・・まさか狐の者か!?」
アーゼアを見た幽霊兵士は、姿を見て驚く。
「・・・いや、尻尾が見当たらない・・・獣人か」
「・・・だが、なりふり構ってはいられん、旅の者、どうか力を貸していただけないか?」
幽霊兵士は、アーゼアを招き入れ、奥の方へと案内する。
「頼む、我々では大妖狐様のご機嫌を取れないのだ・・・」
幽霊兵士に入り口らしき場所まで連れられると、すぐに彼は逃亡する。
アーゼア「(・・・ふむ、ここは妖達の住まいか)」
アーゼアは門を開け、真っすぐ進む。
奥で待っていたのは、他の妖達とは別格の、まさしく大妖狐というべき存在であった。
大妖狐「む・・・貴様、何用か」
アーゼアを見つめる目は、品定めをするようだった。
「・・・その姿、獣人か・・・やれやれ、これだから困る」
「私のご機嫌を取ろうだなどと、おこがましい」
アーゼア「ふむ・・・お主は理解しておったのじゃな」
大妖狐「全く、どれもこれも人間が悪いのだ」
「貴様、名は何という?」
ミコト「・・・ミコト」
「ミコトじゃ・・・まあ、お主らの事は今初めて知ったがな」
大妖狐「何故にここに来た?我らと戦うつもりか?」
ミコト「偶然じゃ、ほんの偶然・・・」
「じゃが、儂とて少し懐かしい気分じゃ・・・」
「妖であった記憶など、どこにもないがの」
大妖狐「・・・ならば、話くらいは聞くといい」
「1年前から、我々妖は人間たちに虐げられてきていた」
「住処を失い、或る者は殺された、そういったものが妖として、第2の人生を送ることが出来る・・・」
「しかしいつからか、我らは忌み嫌われるようになった」
「多くの同胞は浄化されたか、2度殺されたか・・・」
ミコト「・・・むごい事をする奴らじゃのう」
大妖狐「ここにも何度か襲撃があったが、ここは多くの対策をしている為に、光魔法に強い兵達が多く存在している」
「今は無事だとしても、いずれはこの場所毎壊されるだろう・・・」
「妖の王は、今は力を蓄えると言って我々の場所など見向きもされぬ」
「だが、じきに潰える命とて、無駄にするわけにはいかぬ」
「ミコトよ、貴様との話もここまでだ、故郷へと還るがよい」
ミコト「・・・ほう?」
「随分と優しくて・・・人間がお嫌いなんじゃのう」
ミコトは背後からの罠をほとんど動かずに避ける。
「じゃがそう言う事であれば、少しくらいは手を貸さんこともない」
「まあ、少しの間じゃろうけどな・・・」
その時、集落側が騒ぎだす。
ざわめき「大変だ~!また人間達だ!」
「しかも、今回は大勢いやがるぞ~!」
大妖狐「・・・ここも、根絶やしにされるか」
「逃げるのであれば、今からでも遅くはないぞ」
ミコト「心配ご無用じゃ、主のような妖ではないのでのう」
「それに・・・どうせ戦いは、滅びるまで終わらん」
「過ちも正しさも全て、終わりから芽吹くものじゃ」
「何が始まりかなど、当人たちは理解もせぬじゃろう」
大妖狐「ほう・・・随分言うではないか」
「まあいい、行くぞ」
・・・・・・
聖騎士「決着はつける!ホーリーファントム!」
女司祭「淀みを打ち払う!シャングリラ・フォール!」
次々と、妖達は払われていく・・・
光に耐性のある妖でも、歯が立たなかった。
大妖狐「おのれ貴様ら・・・!」
「火炎粉塵!」
大妖狐でも、このままではじり貧になってしまう。
ミコト「ほ、よ!」
一方で、ミコトはもらった武器を使っていた。
人間の傭兵「ちょこまかと!大人しくやられやがれ!」
聖騎士「みな、取り囲め!」
「残る脅威は、あの2体だ!」
周りには討伐隊か何かの兵士、その後方も万全だ。
聖騎士「観念してもらおう、今までに貴様らが散らした我々人間の恨みを、思い知るといい!」
大妖狐「恨みだと?たわけ!我々妖からすれば、お前達人間がどれだけ憎い事か!」
女司祭「・・・そこの方!」
「貴方は何故妖なんかの味方をするのですか!」
「獣人で、元が同じ種族でも、妖は貴方達にとっては脅威のはずです!」
ミコト「はぁ・・・やはり何も知らぬ者を相手にするのは疲れる」
「じゃが、さすがに飽きた・・・そう、流石にな」
持っていた武器を捨てた。
聖騎士「武器を捨てた…?警戒しろ!何か来るかもしれないぞ!」
ミコト「大妖狐よ、お主との会話、悪くなかったぞ」
大妖狐「な、なに・・・!?何をするつもりだ・・・!」
女司祭「何しようとしてるか知らないけど・・・くらいなさい!」
ミコト「人よ、獣たち、そして世界よ・・・」
聖騎士「・・・ま、まて!何か様子が・・・!」
ミコト「認識するといい、我が世界を」
一瞬・・・そう、一瞬の出来事だった。
次の瞬間、皆が倒れていた。
いや、実際はそうではないのだろう・・・
一瞬で世界中の人が死んだ、そう言うのが正しいようにも思える。
認識してしまったのだ、秘められし力が解放された瞬間に、その力は世界を中心として広がった。
この世に生きる全人類が、そして魔族が、生き物が、それを認識した。
故に、脳の処理が追いつくことは無く、生きる存在はそれを見た、感じた瞬間に・・・
自身の心臓が麻痺したかのように、急激に死んだのだ。
一瞬で終わるしか出来ないとざまあって感じにならないよね?




