特殊スキル
「まあ、いいよ。ここまでやってくれたのもあるけど、力を貸してやる」
竹杉が言った。始めから、答えは決まっていたみたいだった。
「そうか!!ありがとう!!」
「でも、まあ、がんばってみるよ」
「そうね!!」
時間は少し遡る。一班たちでは、、、、
「ふっ我の力が暴走してしまうな……」
「ジャスティス!!なのだ!!」
「ああ、そうだなー」
「おっ!!ここなんか暗くね!!」
三森が言い、近づく。
「な、これは――近づくな!!」
幻澤先生が言う。
「え??何が――」
三森がそう言い終わる前に、三森はその場からいなくなる。
「え…??先生、何が…」
「何故、ここにあるんだ?魔ホールが。」
「三森は大丈夫のなのだ?」
「ああ。だが、最悪の場合、魔王国に飛ばされたかもしれない。……魔ホールってのは、要はテレポートみたいなもんだ。三年前ぐらいから、その名を聞き始めた。はじめに伝えていなかった、俺の責任だ」
「今はそれどころじゃない。三森は生きているんだな!!だったら、皆で助けに行くのが、我の宿命であろう」
口調で分かると思うが、これは中二病の田中が言ったものだ。
「もちろんなのだ!!」
岩山も言う。いつも、ジャスティス、だとか、そんなこと言ってばかりだけど、やっぱり、情に厚い。
「ごめん。わたし、さっきから、何もできてなかったよね……魔族を制圧するなら、私が何が何でも、スキルの水使いで、頑張るから!!」
中山が言う。戦闘テストでも、あまり活躍できていなかったと、ずっと、気に病んでいたのだ。
「………わたしが、もっと先まで予知していれば……!!今から、ずっと、一分先の未来を予知し続けます」
神崎が言う。恐らく、誰よりも、公開しているのは神崎なのだ。はじめから、三森がワープすることもなかったのだから。
そう考えて、神崎は拳を握りしめた。
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「ところで、竹杉ー!! あのゼエンって奴の攻撃が、俺が時間を止めた世界でも、動いてたんだが、なんでなんだ?」
「ちょっ、僕が Siri 扱いされてる!!まあ、考えてみるか……って分かるわけ無いだろ!!時間止め忘れただけじゃないか?」
「いや、しっかり、それ以外のものは止まってたんだ」
「他になんか変わったことはなかったの?」
安田が聞いてきた。
その後ろでは、境木と山田が、興味津々な顔をしている。
「うーん…あ!!そういえば、その攻撃だけど、普通よりもめっちゃゆっくりだった!!」
そうだったはずだ。ゼエンの攻撃は手の平を上に向けて、真っ赤な、球体を作り出し、それを放つ、というものだった。
しかし、ゼエンが一度放った球体は、目に捉えることができなかった。
だが、時間が止まった世界では、その球体の形がはっきりと見え、動いているのが分かった。
つまり、速さがめっちゃ遅くなってたってことだ!!
「てか、本当に時間が止まってるなら、光だって、届かないんでしょ?なら何で周りが見えるの?」
安田が言う。たしかに〜!!
「…!!そういうことか。安田、とても鋭い指摘だ。つまり、拍真のスキルは時間を止めるんじゃなくて、時間の流れをゆっくりにする、もっと言えば、動体視力と、思考の速さを極限まで上げる、スキルだったんじゃないか?!」
「??????」
「つまりだな、周りが見えるってことは、光は届いているってこと。更に、ゼエンの攻撃が見えたってことは、ある一定以上の速さなら、動いているってことだ。だから、時間が止まってるんじゃなくて、時間の流れがゆっくりになってると、考えられるんだ。そして、ただ時間の流れをゆっくりにするぐらいなら、一つの仮説が生まれる。『時間の流れは止めっていない』という仮説だ」
ん?じゃ、俺が自分の特殊スキルにつけた「時止」って名前、完全にミスやったやないかーー!!
かなーしーみのー―――ととと、本題に戻ろう。
「まあ、ちょっとは分かった!!てことは、俺達のスキルも、原理が説明できるってことか?」
「もちろんだ。もっとも、そのためには、実験に実験を重ねないといけないだろうけどね。
「あの…一つ思ったこと言っていい?ゼエンと、佐藤って似てない?」
境木が言った。どういうことだ?
「私って、心読めるからさ、なんか、雰囲気が似てるような…??でも、『ような…』って言うよりは、確信に近いんだけど…」
「もしかしたら、境木の特殊スキルの原理も仮説がついたかもしれない。境木のスキルは、本当に心が読めてるわけじゃなくて、その人の仕草や、行動、表情とかを見て、考えていることを推測しているだけなのかもしれない。そうだとしたら、ゼエンの仕草とかが、佐藤に似ているとしても、説明がつく」
―じゃあ、安田のヒールは?―
と、山田が聞いてみそうになったが、まず、拍真とゼエンが似ているという事実が、引っかかったので、そっちを聞いてみた。
「で、拍真とゼエンが似てるって…??」
「そこまでは僕でもまだわからない。でも、いずれ分かる時は来ると思うよ」
ビビビッビビビッ
酒田先生の電話がなる。
てかこの人、気配マジ空気だな。
《至急、北魔雑入に来てくれ!!》
え??
次回予告
「ちょ、ここどこだよ!!」
「ん?人間のガキか?」
三森がワープした、先には…?
次回《三森の脱出作戦》