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第3章 最凶の転校生2

新登場人物 小橋…一年からの吉田の仲間。他人に依存する傾向がつよい。

「おい、聞いたか貴司。」

「あん?」小林が挨拶もせずに入ってきて、パソコンのゲームに小橋と共に熱中している吉田に言った。

「今日からこのクラス………いや、2学年全体に転校生が来るらしいぞ。何でも、全部で9人だとか。」

SEGAのぷよぷよで吉田が10連鎖を下し、25勝10敗ときりのよい数値になったとき、吉田は言った。

「一クラスだけ2人だな。うまく、文理別れた場合は。」

「だね。で、名前は?」小橋が聞いた。

「知らん…………全員男子らしいが。」小林が残念がる振りをした。

「何でまた、今の時期に。小林はどうしてそう情報通なのかね。」吉田が

パソコンをカチッと言わせて、今度は桃鉄を始めた。

「いや、サッカー部の顧問と井坂は親しいんでね。でも確かに、何で今の時期に何だろうな?」

「しかしなぁ、どんなやつ何だろうな?」吉田は心にも無いことを言った。


吉田達が通う高校は朝のホームルームはなく、いきなり、一時限目の授業となっていた。授業は朝の8時35分からだった。吉田の座席は最後尾で、左隣に蛯原、右隣に金子だった。ちなみに前はボクシング部の鈴木、左斜めに女子のクラス委員長。右斜めに金子と同じバスケ部の海老澤がいた。吉田のクラスは41人編成で縦×横が6×7だった。


A B C D E F G

1

2

3

4

5

6上図のようになっていた。吉田はC6、A6は一席余りのため、空席だった。


カーンカーンカーンカーン。授業開始5分前の予鈴が鳴った。今日は珍しく、吉田は早めに切り上げることにし、電源を落としジョイパッドを片付けた。それは正解だった。

「よし、みんな席につけ。」そう言ったのはクラス担任の川島だった。

金子と海老澤がバスケ部の朝練のため、まだいなかった。鈴木が吉田の方を向いた。

「何だ?今日は朝のホームルーム有りか?」

「らしいな。どうやら転校生が来るらしいぞ。」

吉田は数学の三角関数の問題をすらすら時ながら言った。

「転校生?本当かそれ。」

吉田がシッという音を出した。

「三倍角の公式忘れちまった………教科書、教科書…………」

「人の話を聞いてくれよ。」鈴木が苦笑いしながら言った。

「うん?質問何だっけ?」吉田は数の教科書を捲りながら聞いた。

「転校生が来るってのは、本当か?もし来るなら、何処に座るんだ?」

「本当だ。小林が嘘をついていない限りはな。座るなら空いてるそこじゃないのか。」吉田が二つ隣の席を左肘で指した。

隣の女子は吉田を見たが、鈴木も吉田も目をあわせようとしないので、前のクラス委員長と話始めた。鈴木は口を開いたが、担任によって声を出すことを阻まれた。

「静かに。今日は転校生を二人紹介する。」

「!!!!二人だと?」体を半分こちらに向かせて、鈴木が言った。

「入っていいぞ。」川島が言った。

ガタガタガタ。二人の生徒が入ってきた。

教室は静まり返った。


二人は迷彩服を着、水筒をぶら下げ、双眼鏡を肩にかけていた。しかし、この二人の話し方に比べればまだこの異様な格好も序の口だった。上図のようになっていた。吉田はC6、A6は一席余りのため、空席だった。


カーンカーンカーンカーン。授業開始5分前の予鈴が鳴った。今日は珍しく、吉田は早めに切り上げることにし、電源を落としジョイパッドを片付けた。それは正解だった。

「よし、みんな席につけ。」そう言ったのはクラス担任の川島だった。

金子と海老澤がバスケ部の朝練のため、まだいなかった。鈴木が吉田の方を向いた。

「何だ?今日は朝のホームルーム有りか?」

「らしいな。どうやら転校生が来るらしいぞ。」

吉田は数学の三角関数の問題をすらすら解きながら言った。

「転校生?本当かそれ。」

吉田がシッという音を出した。

「三倍角の公式忘れちまった………教科書、教科書…………」

「人の話を聞いてくれよ。」鈴木が苦笑いしながら言った。

「うん?質問何だっけ?」吉田は数学の教科書を捲りながら聞いた。

「転校生が来るってのは、本当か?もし来るなら、何処に座るんだ?」

「本当だ。小林が嘘をついていない限りはな。座るなら空いてるそこじゃないのか。」吉田が二つ隣の席を左肘で指した。

隣の女子は吉田を見たが、鈴木も吉田も目をあわせようとしないので、前のクラス委員長と話始めた。鈴木は口を開いたが、担任によって声を出すことを阻まれた。

「静かに。今日は転校生を二人紹介する。」

「!!!!二人だと?」体を半分こちらに向かせて、鈴木が言った。

「入っていいぞ。」川島が言った。

ガタガタガタ。二人の生徒が入ってきた。

教室は静まり返った。


二人は迷彩服を着、水筒をぶら下げ、双眼鏡を肩にかけていた。しかし、この二人の話し方に比べればまだこの異様な格好も序の口だった。「俺の名は、服部進二だ。前は防衛大学の付属高校にいたが、この学校の体たらくを直すため校長に『雇われた』。だから、生徒ではない。お前ら、生徒よりも権力は上だ。敬意をわきまえる事を勧告する。以上だ。」服部の話が終わっても誰も拍手しない。二人目が語り出した。

「俺は、保坂翔平という。服部が俺の言いたいことは話してしまった。一つだけ追加しておく。俺たちはお前らが他人から見られても優等生だと思われるようになるまで、何処にも転校しない。お前らを優等生に『調教』することが校長の指令だからなあ。以上だ。」

二人の話が終わるが早いか、川島は席を二人に案内した。川島は特別、二人に驚いている様子はない。あらかじめ、何の目的の転校生か知っているに違いなかった。

「じゃあ、服部は蛯原の左隣。保坂は…………」

「教官。私は校長より、『監視員』8人の監督を任されました。ここで授業を受けません。」保坂は畳み掛けるように言った。

「分かった。じゃあ、みんなよろしくな。おっとこれはいけない。」既に一時限目の数学担当の柴田が来ていた。川島と保坂は柴田に頭をさげ出ていった。

ガラガラガラ……………海老澤と金子と黒澤がバスケ部の活動を終えて入ってきた。

「ふう、ヤバいヤバい。」金子は急いで席に付いた。しかし海老澤はゆっくりと後ろの座席の生徒と会話をしている。

「もう授業は始まってるぞ。座れ。」吉田とは違う新種の冷たい声がした。吉田の声はただ冷たいだけだが、服部の声はどこか楽しむような冷たさだった。海老澤が固まった。

「座れと言ったはずだが。」

「お前だれ?」海老澤がうざそうに言った。

「言葉を慎め。俺はこのクラスの『監視員』の服部だ。」

「監視員?」

「ああそうだ。この学校の体たらくを直すため、校長より指名された。お前みたいに、授業開始の時刻を無視してやって来たりな………」

「……………」普段誰にも優しく、スポーツ万能で女子に人気の高い海老澤が激しく怒っていた。

だが、何も言わずに座り、その場は収まった。 休み時間、服部はいち早くクラスを出ていった。

「次何だっけか?」金子が吉田に聞いた。

「化学。」吉田は今度は指数対数関数の問題をすらすら解きながら言った。 「家庭科だよ!!」吉田の返事を聞いた海老澤が苦笑いした。

「なにそれ。美味しいの?僕は内職するから化学で間違いないんだがな。」吉田が言った。

「しかし、何だあいつ。転校生か?偉そうな奴だなあ。」海老澤が言った。

「ウザイなら喧嘩すりゃよかったのに。」吉田は数学の教材から目を上げずに言った。

「吉田や小林みたいに喧嘩強くないからね。自信ないよ。」

「嘘つけよ。彼女守るために、ゴロツキを1対2で倒したんだろ。十分つええよ。」鈴木が言った。

「まあ、吉田は山口さんの気を惹くために、1対4で勝ったんだろ。しかも無傷で。」

「………………」肯定も否定もせず、吉田は数学の教材を閉じた。

「鈴木だって、ボクシング部の連中と共に、地元の不良根こそぎ倒したんだろ。」

「7対7だからな。」

「でも、そのうち3人は鈴木が倒したんだろ。」

「………………」

「鈴木の彼女、志帆と友達だからな。」海老澤が言った。志帆というのは、海老澤の彼女の名前だ。

カーンカーンカーンカーン。

予鈴が鳴った。

服部が入って来ても家庭科は静かにならなかった。

家庭科担当の女性教師、浜田が起立と言っても、全員は立ち上がらなかった。その時、ドーンドーンドーンという銃声がした。

生徒達が振りかえると、服部がデザートイーグルを天井に放っていた。

「教官の命令は絶対だ。全員、今すぐ立て。」

泣き出す女子や震える男子が現れた。浜田はニヤリと笑った。


家庭科の授業は何時になく静かだった。

服部が銃をもっているので、吉田や海老澤、小林も鈴木も金子も手出しができなかった。恐怖による沈黙も続かなかった。

吉田の隣の女子の携帯のバイブが鳴った。

その瞬間、服部が机の中の携帯を奪った。

「何するの?!返しなさい!」蛯原が叫んだ。

「授業の妨害になるものを排斥するだけだ。」

「コノォ!!」蛯原は服部の手首に掴みかかった。ところが、服部は簡単に蛯原を突き飛ばした。辛うじて、吉田が受け止めた。

「てめえ!!!」叫んだのは吉田ではなく金子だった。

金子が勇敢に服部にとびかかり、床にねじ伏せた。

「謀反だ。応援を頼む!!!」服部が襟のマイクに向かって冷静に言った。

「コノヤロ………ウワァァァァアアア!!!!!!!!!」

防衛大学付属高校出身だけあって、簡単に跳ね起き、金子を投げ飛ばした。ドアがガラガラと開き、4人が応援にきた。そのとたん、小林、鈴木、海老澤の3人が立ち上がった。

一方服部は銃を金子に向け、一発撃った。僅かに金子をそれた。二発目は…………撃てなかった。吉田が得意のカポエラで、服部の手首を器用に蹴った。服部の手首が曲がり銃が飛び、開いていた窓から、落ちた。

「小橋、取ってこい!!!!」吉田は小橋に向かって叫んだ。

小橋は戦いをぬって、非常階段から外に抜けた。

殆んどの生徒がこの格闘を見守った。鈴木は転校生に馬乗りにされてしまった。小林は一人を気絶させ、新たな敵と戦っていた。海老澤は転校生の保坂の繰り出すぬんちゃくの攻撃に手を出せずにいた。

服部がアーミーナイフを取りだし、蛯原を捕まえ、喉元に突きつけた。

「戦うのをやめろ。さもないと、こいつを殺す。本気だ、許可されてる事だ。」

一瞬、海老澤と小林は気を抜いてしまった。

その途端、各々の相手が強烈な一撃を鳩尾に食らわした。二人とも動けなくなってしまった。

金子が力を振り絞り、服部の腕をこじ開けた。 蛯原が脱出したが、金子は突き飛ばされ頭を打って動けなくなった。

「吉田!!!!」小橋が、吉田の命令通り、銃を取り、吉田に投げた。

吉田は普段からエアガンには慣れていたが、銃を撃つのは初めてだった。

吉田は誰もが唖然とするなか、小林、海老澤、鈴木を倒した転校生達に向かって発砲した。弾は一発も外れず、敵の脚や、腕に当たった。

敵は痛みから回復した小林達に押さえられた。しかし、その途端、吉田左肩に激痛が走った。服部がアーミーナイフを深々と吉田に刺したのだ。鮮血が吹き出した。

吉田はそれにも関わらず、服部の腹を撃った。服部は痛みに呻き動けなくなった。

鈴木達はフラフラと教室を出ていった。

吉田は服部の持っていた携帯を奪うと、持ち主に返した。肩の重傷のためか動きがぎこちなかった。海老澤と二人で金子を担ぎ上げようとして出来なかった。後ろから何か柔らかく細い物にしがみつかれた。

「………ありがとう。瑞穂だけじゃなく私も助けてくれて……………肩の傷…………ごめんなさい…………貴司……君………」蛯原は泣きながら言った。吉田はビックリするあまり、動けなくなった。海老澤はニタァと笑って言った。

「盛んだな〜〜金子は俺に任せてごゆっくり。貴司君。」海老澤はニヤニヤしながら出ていった。


その後、転校生達は作戦を立て直すため、手負いにも関わらず、進路指導室に呼び出された。まだ戦いは始まったばかりだった。

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