第8章 廃校
「………し君!!!!…………し君っ!!!!」
しばらくして吉田は自分が何者かに激しく揺すられることで目を覚ました。
「!!!!貴司君っ!!!!」驚いたような、安心したような声がした。
吉田はガバッと起きた。
「!!………ここは?!」吉田はふと周りを見渡した。右隣に小林と金子、萩谷が倒れていた。
「良かった………貴司君!!!」吉田は気付かなかったが、蛯原がしっかり吉田の手を握りしめていた。
「蛯原さん。ここはどこです?何故君が?」吉田は蛯原を認め、左を見た。黒澤、後藤。そして海老澤までがいた。どうやら、全員が寝ていたらしい。
「分からない………木造校舎みたいで………そこにドアが有ったから開けようとしたけど、外から鍵が………」蛯原はドアを指しながら言った。
「ハーン。またか………」吉田が苦笑いした。
蛯原が吉田を見た。
「何か分かったの?」吉田が返答しようとした時、小林がガバッと起きた。
「いつの間に寝ちまった?………貴司!!!」小林は起きたのちしばらく首を回していたが、吉田を認めると、吠えた。
その大声に皆が動いた。
「う、うーん?」
「………一体何があったんだ?」
「ここはどこ?」色々な声がした。
教室は様々な人間がいた。制服の生徒や、吉田達のように私服だったり、明細服だったりだ。
「貴司………もしやこれは又………」小林がそう言うと、返事も待たず、萩谷をたたき起こした。
「起きろ!萩谷!!」小林に揺すられ、萩谷は目を覚ました。 萩谷が目を覚まし、小林と何かを早口に語り始めた。
その時だった。
ガラガラガラ。 教室のドアが開いた。
全員がドアを見た。
「はいはいは〜〜い。」
パンパンと手を叩きながら男が入ってきた。
「皆、目が覚めたようなので、説明しま〜す。」男が入ってきた後から、明彩服を着た兵士が6人ほど入ってきた。肩にはライフル銃を持っている。
「何、あのおっさん。」
「さあ?」
こそこそとしたやり取りがあちらこちらから聞こえた。
「はい。え〜〜今日から皆さんの新しい担任になりました、嘉門総一です。よろしくね♪」
「………………」
「………………」
吉田や小林は沈黙している。場は水を打ったように静かなので、嘉門は歩き出した。
「今日皆さんに集まってもらったのはあるゲームをしてもらうためです。このゲームはとても興味深いもので、色々な人がでちゃいま〜〜す♪」
「…なんだよ、ゲームって………」
「さあ?」
「仲間を作る者、仲間を裏切る者、信用できる者、信用されない者、孤独になる者、ああそう。中には狂っちゃう奴もいるんだゾォーーー。すごいだろォ〜〜〜〜。」
「つゥまァりィ〜〜〜
ここにいる40人の皆さんで学校対抗の………………」
「殺しあいをしてもらいまーす♪♪♪♪♪」
嘉門はたっぷり間を溜めた後でいい終えた。
「はっ?」
「わけわかんねェ。」
「つまんねーよ。」
様々な声があがったが、快い反応は一つもない。嘉門はウンウン、と楽しそうに聞きながら、したなめずりをした。
「おーい。入ってきてくれ〜」嘉門は楽しそうに兵士を呼んだ。
ザッザッザッ。兵士が三人ほどでかなり大型なテレビを持ってきた。
「では、皆さん。ご覧下さ〜い。」 ぶちっ。
テレビの画面がつけられた。最初は何が映っているか分からなかった。しかし、画面がはっきりしてくると、何処かの体育館を匂わせる映像が映った。
「体育館?」蛯原が小さく呟いた。
体育館をカメラマンの手が開けた。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」女子数人が絶叫した。
中は金属の首輪をつけられ、血まみれになった、生徒たちが倒れていた。 「あれは!!!小橋!!!」金子がカメラに近い場所で迷彩服を着た男と戦っているのを見ながら、言った。
「うーん。なかなか鋭いね〜君。洞察力あるよ〜〜。いやなにね、君達の責任として、逃げたり、我々に歯向かったら、君も、小橋もその首についてる首輪が………………爆発するよ。」
嘉門が最後はビシッと言った。
それだけで、他の生徒が納得するわけがない。
「ふざけるなぁ!!俺達を出せ!!」勇ましく、男子生徒が飛び出した。
しかし、廻りの兵士が銃の台座を足に差し込み、転ばせた。
「注意してるそばから………しょうがないなァ。24番だね。」
嘉門がズボンから何かのスイッチを出し、ボタンを操作した。
「皆、よ〜く見てろよ。」
「くそがァ、覚悟し…………」男子の言葉はズゴンという音に飲まれた。そして、バタリと倒れた。
「皆、もう分かったよな?」嘉門は死体に歩みより、生首を持ち上げた。
生徒は絶叫しながら教室の後ろに後退した。
「はい、ではルール説明するからな〜私語したり、歯向かったら大変だよ〜」
嘉門は生首を放り投げ、黒板に向かった。
「ええ〜ここは島です。周囲12キロの島です。ここで殺しあいをしてもらいまーす。」 嘉門は黒板に島の形を書きながら言った。
「電気は使えませんが、水道とガスは無事です。建物の中に入るのも自由です。こういう時は一ヶ所に隠れて居ればいいもんな〜〜」
何人かがホッとした様子だ。
「但し、そんなことしてたら、戦いになんなんかいから、私達はこのようなエリアを設けました。」
A B C D E F G 1
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3
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5
6
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8
「ええ〜例えば先生がDの3が危ないって言ったら急いでそのエリアから脱出してください。そうしないとだなっ………」
嘉門はここで初めて黒板から目を離し、生徒を見た。
「そのエリアにいつまでも居ると、その首輪が爆発するぞ!!!!」
「え〜全島放送は1日4回。午前3時、9時、午後3時と午後9時です。」
生徒はぶるぶると震えだした。
「禁止エリアは2時間ごとに増えます。一度禁止エリアになれば、解除はされません。それと君たちが戦おうとせず、24時間の間に一人も死んだものが出ない場合には全員の首輪が爆発します。首輪には探知機もついているので、島から泳いで脱出したりしたら、また首輪が爆発します。」 「それから………一番大事な事だがな、これは高校対抗です。」
嘉門がニヤニヤしながら言った。
「何?」
「えっ。」
「殺しあいは高校対抗です。自分たち以外の高校生が全員死んだら、生き残ることができます。どうだ?少しは戦う気になったか?」
誰も何も言わない。兵士がスポーツバッグが大量に入った篭を押してきた。
「これは皆さんに支給されるものです。中には若干の食糧、水、会場地図、コンパス、懐中電灯、そして戦うための武器が入っています。武器は銃器から刃物まで様々です。これは、力の無いものにも戦わせる意欲を沸かせるためです。」
嘉門が全員を見回した。
「よろしい。では、皆さん、20分後に『プログラム』を始めます。それまで各校話し合いをしてください。まだ殺しあいはするなよ〜〜。皆さんが全員出た10分後にこのエリアは禁止エリアになるからな〜〜〜」
吉田と小林が頷き合い、生徒を集め始めた。
プログラム参加者名簿
M高校
岩本 怜衣
海老澤 弘毅
蛯原 美樹
金子 匠
黒澤 瑞穂
小林 達也
後藤 謙介
萩谷 悠斗(転校生)
山口 麻里
吉田 貴司
S高校
安達 春彦
岩田 良介
加藤 啓子
今野 大輔(死亡)
瀬谷 梨花
高藤 一樹
富永 度
長山 舞
林田 準
水野 欄
B高校
石田 宣之
遠藤 聡
大原 光一
川村 一雄
木田 正人
坂下 晋吾
服部 進二
保坂 翔平
馬淵 涼太
横山 圭介
K高校
安斎 弘
宇野 彰
太田 直人
桐山 文哉
国信 美佳
照山 志帆
仲谷 一晃
新井田 千佳
元木 棗
山本 学