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諸所諸々のエッセイ  作者: 粘土
17/66

有節

まぁ、そう思う事も有るんですよ。

 つい先日まで桜が咲いていたが、気が付けば、蝉が鳴いている。近頃、蝉の数が減ったからして、昔ほどの感慨を覚えない。然し、なればこそ、其の鳴き声、正確には腹の振動であるが、其れを美しく思わねば成らない。思えば、近くの河原に蛍も居た。幼馴染の女の子と捕まえまえに行った。美しき淡い緑。一生忘れないだろう。何しろ、其の娘の事が大好きだったのだから。もう、手の届かない処に行ってしまった彼女を、私は今でも想っている。とても、残念だ。彼女は僕の事を幾らか好きでいて呉れたのだから。……。

 蝉が鳴く頃、何時でも思い返す。嘗ての所業を。普通にしていれば好かったのだ。何もしなければ好かったのだ。然し、其の当時、私はクラスの“番”を張っていたので何うしても避けられない戦争にも参加した。今考えれば、凄まじく下らない。実は、戦争を起こした隣の部屋の“番”より、遥かに強かったのだ。だからして、其処で人生を決めるのか何うか、其れを見極める可きだったのだ。然し、当時族に所属していた次兄とは同じに成りたくはなかった。族など、余りに下らない。然も、当時は、ヤクザや、右翼に捕まって殺される連中が多数居た。それこそ、下らない。何が哀しくて死なねば成らぬのか。

 そんな訳で、私は裏の社会には属さない事を決めた。単車には興味が有ったが、其れでは結局、下らない連中との付き合いが発生する。其れは何うしても嫌だった。例えば、ナイフで刺すとか、木刀で頭をカチ割るとか、そんな物を現実としたくなかったのである。只、遣っても好かった。上等だ。ヤクザを打ちのめす事も簡単だ。其れ位の覚悟は有った。其の代わりに、親や友に迷惑が掛かる事を知っていたので止めたのだ。別に、裏の世界で生きて行く事など特に否定はしない。然し、後の事を考えたなら、其れは間違いなのであると知っていたのだ。

 私は之からも自由に生きる。其の代わりに、人に迷惑を掛けない様に。いや、既に迷惑を掛けて居る。再び血を吐いているのだから。ひょっとすると、治療の甲斐無く死ぬかも知れない。其れでも、取り敢えずは治そうと思っている。少しでも君達とお話が出来る様に。

私とは違って、皆さんは頑張って下さい。

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