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真実と正義②

「熱が思ったより下がらないな……」

 

 レイフォードはユリアスの額のタオルを取り替えながら、つぶやいた。

 ユリアスを救出し、身を隠せそうな宿の一室に収容したのはいいが、医者呼びたくとも外には血眼になってユリアスを探す憲兵がうじゃうじゃいて、適切な治療を施せない。

 

 皇帝選まであと二日……


 果たして間に合うだろうか?


 いや、何がなんでも間に合わせないと、この国はシュナイゼルの天下になってしまう。

 なんとかユリアスを王宮に連れていかないと。


「ユリアス、お前は一体どこまで思い出したんだ? このままじゃ、お前の守りたいものは一つだって守れやしないぞ? だから、早く元気になってくれ……」


 額に手を置き、レイフォードは珍しく弱音を吐いた。




                  *********                       




 ちょうど同時刻――ユリアスの義兄のレオンハルトは、小屋からデルモゾールの手下がいなくなるのを確認し、倒れている者で生存者がいないか確認して回っていた。

 

「生きているものはいないのか?!」


 レオンハルトの声は小屋に響くだけ。

 日が陰り、レオンハルトの手にある松明だけが辺りを照らす。

 

「ゔゔっっ……」


 かすかなうめき声がどこからか聞こえてきた。

 松明を掲げ、視野を広げてみると、なにやら震えている物体が斜め奥に確認できた。

 

「おい! 大丈夫か?!」


 レオンハルトが駆け寄り、体を引き寄せると、右腕から血を流し、左腕と右足は変な方向位曲がっていた。

 松明を近づけ、顔を確認すると、その男はレオンハルトが知っている男だった。


「エルビン?! おまえ…どうして…? お前、一体何を――?!」

「ゔゔっ……うっつ…」


 思わず胸ぐらを掴んでしまったために、ただでさえ弱って青白くなっているエルビンが泡を吹き始めた。


「す、すまない! 話は後だ。お前にはなんとしても生きていてもらわないと!!」


 レオンハルトは近くにあった木片で折れた腕と足に添え木をし、小屋からエルビンを連れ出した。

 昼間は少し収まっていた雪が、また降り始め、レオンハルトの行く手を阻んだ。

 一刻も早く、この状況をラザフォード殿下に知らせないと、ユリアスの命も殿下自身も危ない。

 このまま王宮へかけていきたい気持ちを抑え、レオンハルトは自分の屋敷へ、エルビンを乗せ、馬を走らせた。



――バタン!!


「きゃ〜!!!レオンハルト様!? 一体どうなさったのですか!? お怪我を!? 誰か!!早く来てぇ〜!!」


 血まみれのレオンハルトを見て、侍女は気が動転し、侍女らしからぬ叫び声を上げバタバタと居間へかけていった。

 もう一人の侍女はあまりの仰天にその場に立ち尽くしている。


「私はどこも怪我をしていない。すぐ医者を呼んでくれ! そして、この者を絶対に死なせるなと、医者に伝えるんだ!!早く!!」

「は、はい! かしこまりました!!」

「父上はいまどこに?」

「書斎にいらっしゃいます」


 それを聞くと、レオンハルトは従者にエルビンを預け、急いで二階の書斎へ向かった。


 







 


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