第三章 新人狩り・少年・仲間の死 2
『転生したらラスボスだった件』は最近完結させた長編ファンタジーだ。
いわゆる異世界転生もので、通り魔に包丁で刺されて死亡した主人公が異世界で魔王に転生してしまう。これまで勇者と魔王軍は武力対立を続けてきており、魔王軍もその絶大なる戦力で世界を支配し、人間を村という安全地帯に閉じ込めてきた。
相手の戦力は徐々に高まっている状況で、魔王に転生した主人公は武力行使ではなく、経済政策を重視することに政策を切り替え、まずは第一次産業の成長と発展、それから第二次産業を充実させていき、最終的には第三次産業まで経済成長を促す。
食料を大量に消費するオークやオーガは農業に従事させ、ゾンビやスケルトンはその疲れない体を活かし、農地の見張り役としてイノシシ等の害獣から作物を守る。
サキュバスやピクシーが大衆食堂を開き、ヴァンパイアはおしゃれなバーを経営して,ハーピーがデリバリーをする。
ドワーフが鉄鋼業を営み、フェニックスが高炉となる。
その魔族たちの平和的発展に対して、最終的には勇者との和平を結ぶことができ、主人公の魔王は人間側のプリンセスと結婚して、物語は幕を下ろす。
壮大な街づくりの物語で、ファンタジー界の下町ロケットを狙った話も複数話入れながら、最後には主人公がプリンセスと結婚することで世界平和が訪れるというハッピーエンドでフィニッシュする。
僕はトキワ荘を後にすると、Web小説掲載サイトの運営会社へ向かうために、夢見中央駅に向かう。夢見市は首都東京の北部二十キロほどに位置し、ベットタウンとして成長してきたが、新幹線の発着駅にもなり、商業施設や中小企業の本社ビルも多数あり、平日はビジネスマン、休日は若者で賑わいをみせる。
Web小説掲載サイトの運営会社は東京都内にあり、まずはJRで上野駅まで移動してから、東京メトロへの乗り換えが必要となる。
と、その時――
ヒュンヒュンヒュン――
ヒュンヒュンヒュン――
ヒュンヒュンヒュン――
緊急地震速報に似た甲高い音がスマホから鳴り響く。
〔決闘が申し込まれました〕
スマホに表示される。
「新人狩りなのであります。まずい事態なのであります」
黄色い猫が現れる。
「一体何が起こった?」
「決闘モードでの対戦を申し込まれたのであります」
「あれは《夢を叶えるもの》がアワーリティアに対して、実施するって話ではなかった?」
「《夢を叶えるもの》同士でも決闘モードでの対戦が可能なのであります。そして、おそらく、申し込み相手は火野千世子。トキワ荘に属さず、たった一人で《夢を叶えるもの》としてアワーリティアと戦っている人間であります」
「決闘を断ればいい」
「残念ながら、決闘モードは断ることができず、強制的にタクティカルフィールドへ移動してしまうので、あります!」
〔この闘いは回避できません。タクティカルフィールドに移行します〕




