81
私は来るべき魔術師たちとの戦いにむけて、日夜努力を続ける毎日を送っている。私ってば意外とまじめよね。
クリスティーナの来訪以降、私は特大のイベントを予想していたんだけど、期待は見事に裏切られて平穏な日々が続いていた。
これ自体はうれしいことなんだけど、私の身の回りに気を遣ってくれている風魔衆にはちょっと申し訳ない気分である。
ハッ、まさかこれがアイツの狙い!?
この嫌がらせのために話を盛ったんじゃないでしょうね、クリスティーナ。
そんなこんなしているうちに学校のほうが忙しくなってきそう。
秋といえば文化祭。
そう、御多分に洩れず我が校もこの時期に文化祭があるのよ。
まあ、私はクラブ活動やってないからそんなに忙しくなるわけじゃないんだけどね。
だから自主制作映画をつくるなんてこともしなければ、フィクションが現実世界を侵食するなんて事件にまきこまれる心配もない。
ただクラスの出し物のために多少忙しいことになるってくらいのイベントよね。
とある放課後、とりあえずクラスの出し物はたこ焼き屋に投票しておいたわ。ちょうどたこ焼きが食べたい気分だったから。
開票されて決まったのはズバリたい焼き屋よ。一文字違うだけであっというまに甘いものに変身してしまったわね。
まあいいわ。たい焼きも好きだし、たらふく食ってあげるわよ! え? お前は作る側だろうって? 試食よ、試食。
その後、作業分担が決められ私は道具係となった。
どうやら極旨の卵かけご飯をつくれる私の料理スキルを、クラスのみんなに披露する機会は失われてしまったようね、残念。このポジションでは試食の機会もなさそうだし、やれやれだわ。
まあ道具係も楽そうだからいいか。料理道具は誰かが用意するって話みたいだしね。
あとは宣伝のポスター作ったり、たい焼き屋に見えるような看板とかの小道具を準備するくらいっぽい。
おや? これはなかなかいいポジションをとったんじゃないかしら。
フッフッフッ、この文化祭というイベント。勝ち組JKへの足掛かりにつかえるわね。
小道具を準備するさなか、あんなことやそんな感じで友好度を深め、さらには恋愛値も膨れ上がるはず。
見えた! 栄光のリア充への道が今の私にははっきりと見えるわ。
私はひさしぶりに女子高生らしくテンションあげあげだった。