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「私たち東方魔道連四天王の間に仲間意識なんてものはあまりないわ。でもね――」


 なによ? もったいつけるんじゃないわよ。


「さすがに同格の者が素人同然の少女に負けたとなれば、意識しないわけにはいかないじゃない」


 意識するのは勝手だけれど、その妖しい瞳で私を見るのはやめてちょうだい。私の趣味はアブノーマルよ。このたゆんたゆんな腹部は、大富豪のイケメンにしか見せるつもりはないんだからね。


「気をつけなさい。四天王のなかには意識するだけにとどまらない危険なやつもいるわよ」


 ほうほう。まさか全員とどまらない危険なヤツってことはないでしょうね。クリスティーナ氏は本当に戦闘回避してくれるのかしら?

 クリスティーナの笑みがいっそう深まる。

 うんうん、肯定ですよね。平和が一番ですもんね。


「それに魔術師たちの間には、貴方を倒して名をあげようなんて空気もあるみたい。ちょうど四天王の席もひとつ空いているし、この肩書がほしいって連中は少なくないのよ」


 ぐはっ、コイツはいちいち笑顔で爆弾投下しなきゃ気が済まんのかい。

 それにしても思いのほか私はヤバイ状況にいるのかもしれないわ。秘密がバレる前からこのお祭り状態とか。どうすればいいのよ、コレ。


「とりあえず私にできるのは忠告するところまでよ。個人的には貴方のこと嫌いじゃないけれど、大勢の魔術師を相手どってあげるほど親密ってわけでもないしね。それとも私と深い関係になってくれるかしら?」


 おおう……。やっぱりソッチ側の人間なのか。ここは断固拒否よ。


「正直いって貴方にすごく興味がわいているの。四天王のなかでもエドモンドは戦闘に一番不向きな男だったわ。でも――、だからといって素人に負けるなんて万が一にもありえない。貴方はいったいどんな魔法を使ったのかしら? 知りたいわ。貴方の秘密を」


 偶然の勝利でした。

 なんて言っても信じてもらえなさそうね。それに私が秘密を抱え込んだのは勝利した後の話よ。もっともそれをアナタに教えるつもりなんてないけどね。


「フフッ、今日のところはこれで引き上げるとするわ。次に会うときはいい返事がもらえることを期待しておくわね」


 そう言葉を言い残すとクリスティーナは音楽室から静かに出ていった。

 ってコラー! ピアノ使ったままにしていくなー!

 チッ、仕方ない。整理整頓してってあげるか。

 ラカンが手早くピアノの蓋を閉じてカバーをかける。いい仕事するわね。

 とりあえず私も壁の音楽家にヒゲを描いておいてあげたわ。

 こうして夜の学校探検はなんとか無事終わりを迎えた。


ニコニコガンマぷらすにて漫画版「タナカの異世界成り上がり」の第二話後半が追加されました。


こちらも応援いただければと思います。

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