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 ラカァアアアアン!


 その小さな身体が境内の地面に力なく転がった。

 あれは完全に気を失っているわ……。まさか殺人までいってないでしょうね。

 私はドキドキしながら事の成り行きを見守った。ちなみにこのドキドキはハートフルじゃないほうのドキドキよ。


「たわいもねえ。なっちゃいないんだよ、ここの連中は」


 ここの連中っていったいどこの連中よ。とりあえずそこの怖いお兄さんはどこかへ行ってください。ラカンの容態が確認できないのよ!

 それとも問答無用で救急車呼んであげようか? ついでに警察も呼ぶわよ、コンチクショー! 私は隠れているときはメッチャ強気なんだからね!


「――さっきから覗いているやつ。隠れてないで出てこい」


 ドキッ! 悪態をついてたから余計にドキッとしたわ。

 なんて言ってる場合じゃないわね。

 どうしよう……。このまま隠れていたら容赦なく攻撃してきそうなタイプだし、仕方ないか。

 私はトボトボと出ていく。


「なに見てやがったんだ。野次馬か?」


 そうでーす。私が変な野次馬でーす。と頷こうとしたのだが。


「――なんてな。知ってるぜ。お前が魔術師を倒したんだってな」


 ノォオオオオ! アンタ、いたいけな美少女をからかって楽しいの? ああん?

 と心の中で強気に抗議してみた。


「どうよ? コイツはこの通り役立たずだし、これからは俺が面倒みるってことでいいだろ」


 よくねえよ! とツッコミをいれたいところだが、私も頭脳明晰型冷静沈着系美少女と呼ばれる女。ここは当たりさわりのない言い方でご遠慮願おう。


「わたくしとしては慎重に検討をいたしましたのちに、所定の形式にのっとり皆様方と場を設けるかたちのうえで返答いたしたいと――」


「ああん?」


 だめだコイツ。テレビの国会中継で学んだ当たり障りのない答弁が通用しないとは。これだから野蛮人は……、仕方ない。ここははっきりと物申すしかないか。


「私はあの娘から教えてもらいたいの。というわけで野蛮人はゴートゥーヘル」


 あ、思わず本音が……。

 今のなし! やり直しプリーズ――と言いたいところだが、時すでにお寿司。

 目の前の男の額には青筋が……。ついでに怒髪天を突いていた。これは比喩ではなくて本当に髪の毛が逆立ち、さっき見た光が身体のまわりでパチパチと鳴っていた。

 これはやっぱ電気的な現象かな? 忍術ってあなどれないのね。……なんて言ってる場合じゃないわ。

 これはかなりまずい。本気で怒ってるっぽい。


「言ってくれるじゃねえか。こっちは舐められっぱなしでイラついてんだよ。お前を倒せばこの気分も少しは晴れるのかねえ!」


 ぎゃー! これはやばいことになったかも。


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