42
「彼女は私たちの恩人。だから私は彼女に協力しているし、もしまた魔術師が現れたら護ってみせる」
おおぅ……。ラカン、アンタ本当にいい娘なのね。裏切者呼ばわりした私を許してちょうだい。
「ハッ、また助けてもらうの間違いじゃねえのか。そいつもお前みたいな弱い奴に教わることなんてないだろうさ。その役目、俺が代わってやるよ」
いや、君はイケメンだけど厳しそうなんで遠慮しておきます。ファミレス食い放題のみのコースがあればお誘いください。
「これは私の任務。関係ない貴方は引っ込んでて」
「いいや、黙らねえよ。これ以上醜態をさらされたら、俺ら風魔衆のメンツにかかわる。お前らこそ引っ込んで修行しなおしてこい」
「……」
ますますやばい状況になってきた気がする。私はまったく気にしてないので喧嘩はやめてプリーズ。
「ここで訓練をしてるってんならちょうどいい。俺がそいつに稽古をつけてやるよ。ついでに今からお前の試験をしてやる。お前に任務を任せられる実力があるのか、里に帰って修行をやり直すべきかをなあ!」
うお! 急に激しい風が!
あの男を中心に突風が発生しているみたい。まさか、あの男がやっているのか!?
そういえば以前ラカンに助けられたときも、凄い風が起こっていたような気が……。
これが本物の忍術なのか……。これは魔術とかに引けを取らないんじゃないか? ちょっとニンジャってやつに興味がわいてきたわ。
って! うわわわわ!
風強すぎなのよ! 目をあけてられないわ!
――と思ってたら突然二人の姿が消えた。いや、正確には姿を見逃してしまうほどのスピードで動き回っている。
「どうした! その程度が限界か!? 遅すぎて欠伸がでるぜ!」
いやいや、どう考えてもめっちゃ速いでしょ。アンタの欠伸はどんだけ高速なのよ。もはやそれは欠伸じゃないわ。もしそんな欠伸が本当にあるのなら私に見せてほしいものね。思いっきり笑ってあげる自信があるわよ。
そんなツッコミをしながら様子を見守っていたのだけれど、時折ラカンの姿が見え隠れし始めた。どうもダメージを受けるたびに足が止まっているようね。これはラカンのほうが劣勢な予感。
「話になんねえな! やっぱりお前は不合格だよ! 本物の忍術ってやつを見せてやる!」
いや、今の攻防も十分すぎるほど本物だと思うんですけど。
……なんだ!?
なにかパチパチと弾けるような光が――。
『疾風迅雷』
激しい音とともにラカンの身体が宙を舞っていた。




