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sheath‐鞘姫‐  作者: 肇川 七二三
Only Stage(ドラゴニスタ総会編)
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旅支度 (準備万端)

「トリシア!朝だよっ!今日は最後の荷造りだよっ!」

眠たい、昨日も夜遅くまで中国語の勉強してたからだ。

「あと5分…」

それだけ言ってごろんと寝返りを打つ。

「もーっ!」

小さな子どもが憤慨している。起きるまで自分は諦めないとでも言うように私の上に馬乗りになって揺り動かす。

リアルで、うるさい夢だ。うちには子どもはいない、兄弟はいないし母親になった覚えもない。

でもなんだか、子どもの声は知っているような気がした。

「トリシア起きて!5分!5分経った!」

うるさい目覚まし時計かお前は。

重たいまぶたを上げるとなぜか嬉しそうな子どもの顔があった。

かすむ視界に子どもの顔がぼやける。目を疑い、何度か瞬いた。

「やーっと起きた。お寝坊さんだねトリシア」

「…どちらさま…」

「寝ぼけてる?」

寝ぼけてるかも、よそさまの子どもがいる夢を見てる。

どたばたと部屋の向こうで物音が聞こえる。慌てている様子で何か探しているみたい。それから物音の主は控えめに私の部屋のドアをノックした。

「トリシア、ごめん今大丈夫?入るよ?」

「ふぁい、どうぞ」

ドアが開いて顔をのぞかせたのはギアだった。かなり焦っている様子だが、こちらを見て珍しく品性の感じられない動作で「げっ!」っと叫んだ。

「シュト!いきなりその格好でトリシアに会ったら混乱しちゃうだろう!お前自分でちゃんと説明した?!してないよね!」

馬乗りになっていた子どもの両わきから抱えあげてトリシアから引き離す。

「やだっ!シュトはやっとトリシアと沢山遊べるようになったのに!邪魔しないでギア!」

手足をばたつかせて抵抗するが手脚が短くてギアには届かない。

「嬉しくて我を忘れるような子には遊ばせません~」

「あの…どちらさま…?」

仲良く漫才をやっている二人にあえて聞いた。

「寝ぼけてる?」

ギアは心配そうに私を見た。

「そうじゃなくて、その子」

ギアに捕獲された子どもを指差すと得心がいったように「ああ」と頷いた。

「はい、トリシアに分かるように自己紹介」

地面に下ろされて子どもは姿勢を正した。

「シュトラーフです。生後6ヶ月です。ギアと特訓して人間と小鳥と猫とウサギに化けられるようになったよ!あと魔法の使い方も習ったし、力加減も上手になった!トリシア褒めて!」

散らかり放題の自己紹介をギアがまとめる。

「えー、そういう訳でこの子はシュトです。姉さんとレイにはもう挨拶済んでる。トリシアが最後になってごめん」

いや、理解は出来たが全然まとめられてないぞ。

「…シュト?」

「そう、シュトだよ!」

あらためてみると、とても可愛らしい子どもだった。ローリエはきりっとしたビスクドールのようだけど、この子は違う。どちらかというと現代風の顔立ちでいつか写真集で見たスーパードルフィーに似ているなどと思いまじまじと見つめる。

しかし血色のいい肌とほんのり赤い頬が生きているという証拠。

整っていながら利発で無邪気でどこか憎めない顔立ち。濃く淹れた紅茶のような色の肩まで伸ばした髪とガラスをはめ込んだような藍色の不思議な色合いの瞳。

ベットから降りて膝ついて目線を合わせた。

「ロッテにそっくり…」

「トリシア、これで一緒にお出かけできるね」

笑うとえくぼが出来る。

「うん、とってもシュトらしい姿だと思う」

そういうと更に嬉しそうに笑った。

「ギア!トリシアは着替えなきゃいけないから出てって!」

シュトはギアの背中にまわってぐいぐい押す。背丈はギアの腰ほどで歳は5歳か6歳ほどにしか見えない。

「はいはい、言われなくても出ていきますよ!お前も一緒に出てくんだよ!」

「シュトは女の子だからいいもんね!トリシアにべったり出来ていいでしょ~」

「ちっ!子どもだと思って優しくしてたおれが馬鹿だった!」

「ギア大人げないよ、まだ生後6カ月なんだから」

トリシアの言葉に言い返せずしおしおと肩を落としてギアは出ていった。

ギアを追い出してシュトは満足げな顔でドアを閉めた。

シュトの前で着替えることに特に抵抗は無いので手早くジーンズとTシャツに着替える。

シュトの言う通り今日トランクに荷物を詰めたら終わり。来週には桂林だ。

「じゃあシュト、人間の姿になったからには沢山お手伝いしてもらうからね」

「うん!」

シュトが元気よく部屋を飛び出す。

トリシアは手始めに散らばっている資料を片づけることにしてリビングに向かった。


そうして全ての準備が整った。

旅支度は終わって、私は旅に出るのだ。

想像をはるかに超える更新の停滞ぶりに当の筆者も驚いてます

いやあ、そのなんというのか、

待っていてくださった方々、すみませんでしたーっ!(スライディング土下座)


シュトはまさかドラゴンの姿のまま歩きまわるわけにもいかないので

とりあえず人間の姿になっています

特訓ってこの事だったのか!とか驚いて(驚いて?)もらえたらいいなー


今回も読んでくださってありがとう!

次話も乞うご期待☆

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