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ハグミープリーズ!-ウチの孫が美少女幼馴染を抱きしめて優勝する話-  作者: 自爆霊


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アフタースクールウィズユー!

 こんにちは、おばあちゃんです。本日は前回の続き、中身のない掛け合いで時間を浪費した二人が、駅に向かって歩き出したところからです。


 下校ラッシュのピークを過ぎた通学路は人もまばらで、十数分前の殺人的な勢いは見る影もありません、おかげで二人も急かされることなく、ゆったりのんびりと歩けています。あの科目が楽だった、その科目はダメそうだった、古典マジ理不尽、そうやってテストの話をしながらドヤ顔したり頭を撫でたり、二人の雑談は駅に着いても続いています。


「しかし古典はマジヤバかったな、平均点60切るだろアレ」

「古典はマジでクソだった、二度とやらんわあんなクソゲー」

「テストは義務定期」

「けっ、なーにが古典だこちとら理系予定だっつーの、国立入試に使われなけりゃ誰も取らねーよあんなクソ科目」

「まあまあ、その分直美の得意な現文も評価されるから」

「現文いいよねー、ラノベ読んで読書スキル上げとけばガチらなくても90点取れる」

「誰もがお前みたいな天才肌と思うなよ、俺は頑張らなきゃ70点止まりなのによぉ、それをお前はよぉ~~」

「ふっふっふ、怖いか? 私の才能が、嫉妬したお前にほっぺグリグリされながら普通に喋れる私の圧倒的才能が……!」


 「思うなよ」のあたりから右ほっぺをグリグリされているにも関わらず、直美ちゃんはその自尊心に満ち溢れた表情を全く崩さずにしゃべっています。今までの二人は学校にいる間あまりイチャつかないよう自重していました、にも関わらず今こうして堂々とほっぺグリグリしているのは、やっぱり距離が詰まったからなのでしょう。ありていに言って浮かれまくってます。

 まあとはいえ意外と周りからの目線は集めてないので、そこは一安心です。これがイチャイチャウフフって感じだったらそれはもう針の筵で痛々しかったでしょうが、二人の状態はケラケラガハハといった様子、色気が薄いおかげでなんとか許されています。三人ほど「いいなぁ……」って淀んだ瞳を向けている人間は居ますが、逆に考えれば三十人以上もいる駅でその程度、四捨五入すれば何の問題も無いと見なせるでしょう。


 あと孫、お前70点も十分高いでしょうが何才能無いみたいな顔してんだお前は、もしパパがそれ聞いた日には苦悶の声を上げながら床に這いつくばりますからね。前に言ったかもしれませんが、パパは勉強頑張らないと点数がガッツリ落ちる人間です、頑張って80点取って友達の天才肌たちに負けて「憎い……才能の差が憎い……!」と嘆くのがテスト返却の恒例行事でした。中でも特に暗記系の科目が苦手なようで、「前のテストで勉強した内容が次のテストに出てこない」「テストの度に一から勉強しないといけないのが辛い」とのことらしいです。

 まあでもそんなパパも仕事始めてからは打って変わって楽しそうにしていますよ、なんだか自分に合った仕事だったらしく「楽しいし評価されるしそれで増えた仕事も楽しいしで……最高だ、我が世の春が来た」とか海外出張へ行く前に言ってました。お母さんも大体そんな感じで、国内で出張しまくってる以外はほとんど変わらない、いわゆる似た者夫婦です。まあそうやって仕事しまくってた結果どんどんプライベートの時間が減って行って、いつしか年に一週間しか家に帰らない状態になってしまったこともあったのですがね。そしてそんな二人におばあちゃんが説教をして話し合いさせた結果、二人の間では『八月いっぱいは死んでも休んで帰る』というルールが設けられました。「そんなまとめて休めるの?」とおばあちゃんは心配でしたが、曰く「人に恵まれてるからなんとかなる、根回しとスケジュール管理をしっかりすれば割と大丈夫」らしいです。よく分かりませんが二人がそういうならそうなのでしょう、人に恵まれているようで良かった良かった。


 そうそう、パパとママは八月になると家に帰ってくるんです、夏休みに合わせて休みを取って、家で一年分の家族成分を摂取するのですね。とはいえそれで一年間頑張れるのは何十年も一緒にいるパパとママの話、家族歴二十年にも達していない孫には物足りないでしょう。だからこそ、そこを補ってくれる直美ちゃんにこうして今、電車で肩を重ねて座るくらいに入れ込んでいるのです。

 さて、そうして私が話している間に電車に乗り込んだ二人は、空いてる席に並んで座って、隣にいる知らない学生に触れないよう肩を寄せ合い縮こまっています。お昼前というのもあって観光客の多い車内で、それぞれ本とスマホを開く、いつも通りの光景です。時々意味も無くお腹をつついたり、仕返しにまたほっぺグリグリしたり。楽しそうにしています。




 そうこうしているうちに時間は過ぎて、あっという間に乗換駅。いつものように人が掃けるまで待ってから、二人が降車しました。


「帰ったら何しよっか」

「何すっかなぁ、いつも通りアニメ見るか?」

「いつも通りいくかぁ、ルパンとか見ようぜ」

「今日は古典アニメ攻めるかー」

「おー」


 どうやら二人は今日も一緒に家で過ごす様子、ここ数日毎日こうしているからか、最早家に来るかの確認すら無くなってしまいました。一般的な家庭ならここで自制するよう釘を刺すのでしょうが我々渡辺家にそのような理性的な人物は居ません、いやまあ爛れ切った生活をしていれば話は変わりますが別にこれくらいなら一々文句言わないですよ、至って健全です。というかここで止めると孫の家に一人でいる時間が大幅に増えるんですよ、そうすると段々食事や家事に手を抜き始めて、スーパーの安売りされた惣菜を食べる日が増えていき。最終的に大学生の一人暮らしみたいな最低限の、なんというか高校生がしてはいけないレベルで夢と華やかさの無い生活を送ることになってしまうのですよ。

 今の幸樹は少なくとも野菜や挽肉を購入して調理し、それを冷凍して数日に分け食べるという丁寧な生活をしています、野郎の一人暮らしでここまで出来ているのはハッキリ言って奇跡と言って良いでしょう。そういうわけで実利の面から見て我々が毎日家で遊んでる二人を止める理由は無いのです、前も言った気がしますが直美ちゃんには我々の分まで孫に構ってやってもらわなければいけませんからね、孫のことはあなたに任せましたよ……まあこれも本人たちには聞こえてないんですけど。

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