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ハグミープリーズ!-ウチの孫が美少女幼馴染を抱きしめて優勝する話-  作者: 自爆霊


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20/21

第20話_ラブミープリーズ

 皆さんこんにちは、おばあちゃんです。今日は前回の一日後、家族+直美ちゃんがそろって朝食を食べています。

 今日の朝食はママが作りました、買ってきた良い感じの味噌を使った味噌汁にベーコンエッグと白ご飯、幸樹が作る目玉焼きと白ご飯だけの朝食を、一段階レベルアップさせた感じですね、息子に普段より良いものを食べさせたい親心が見て取れます。そうそう、親の帰ってきた家では普段のご飯をパパとママが作ります、これは普段料理している息子への労いでもあり、家事の負担が減った分幸樹に、手の込んだ料理を作ってもらうためでもあります。

 やっぱり子供の作った料理を食べるのって親の夢みたいなところあるじゃないですか? ただいつも頑張ってる幸樹に更に頑張らせるのも違うじゃないですか、その中間を取ったのがこの料理当番システムなのです、普段の幸樹は楽するために簡単な料理しか作ってないだけで、やろうと思えばしっかりした料理も作れるんですよ? その気になればチーズインハンバーグもラザニアも思うがままです、ただ能ある鷹は爪を隠すと言うように、彼も普段その爪を隠しているのです。


「いやぁ、やっぱり親に料理作ってもらうとおいしいね、人の作った飯はうまい」

「そうだろそうだろ、私の味噌汁はうまかろう、こだわってるからな」

「うん、本当においしい、ママすごい」

「ガッハッハ! 褒めるが良い褒めるが良い!」


 そういえば直美ちゃんがママの味噌汁を飲むのは初めてでしたね、そうだろうそうだろう、私の子の味噌汁はうまかろう。ママは昔から味噌汁が大好きな子でした、ウチに遊びに来るたびに「ギブミー味噌汁」と小学生の彼女が言ってくるのですから、おばあちゃんは「趣味が渋いな……」と困惑していました。なんでそんなにハマったのか聞いてみたら「おばあちゃんの味噌汁がすごいおいしかったから」らしいですよ、別にそんな手の込んだものは作ってなかったんですけどね? なんか好みに刺さったらしいです。メチャクチャ高い味噌も試していたのに、結局は私が買ってる味噌に落ち着いたのだから驚きですよ、余程好みにドンピシャだったみたいですね。


「ママの味噌汁へのこだわりはすごいからな、一時期味噌汁研究のために朝昼夜、毎食味噌汁生活してたくらいだ」

「まー結局おばあちゃんの使ってた味噌に落ち着いたんだけどな、やっぱ年の功は強いわ」

「幸樹、おばあちゃんはそんなすごい味噌使ってたの?」

「そう思うだろ直美、あれスーパーで売ってる普通の味噌なんだよ、なのに高級味噌使った時よりおいしくなるんだから謎なんだ、ママの超技術」


 使い終わった食器は食洗器に放り込んで、一家団欒の時間が訪れます。ママが旅先で買ったお菓子を自慢したり、パパが撮ってきた絶景の写真をみんなで眺めたりして、家族の時間が流れていきました。






 さて、時間は流れて昼食後。パパとママが面白みのない諸々の買い出しへ行ったため、家には幸樹と直美ちゃんだけです。まあ買い出し以外に遊んでくる可能性もありますが、夕食までには帰ってくるでしょうから問題はありません。


「いやぁ、身内って感じで幸せだよぉ」

「思った以上に直美が馴染んでて驚いた、なんというか、本当に家族って感じ」

「それな、安心感がすごいよ安心感が、私いつの間にか『幸樹パパ・幸樹ママ』じゃなくて普通にパパとママって呼んでたもん、親パワーがすごい」

「最初は「ご挨拶だ」ってビビってたけどうまくいってよかったよ、ホント」

「幸樹も緊張してたクセに~、大丈夫って言おうとして噛んでたの私覚えてるからね~?」


 いやぁ直美ちゃんが幸せそうでおばあちゃん嬉しいです、家庭環境ヒエッヒエだからずっと心配してたんですよね、この調子なら安心して見守れそうです。場合によっては直美ちゃんが昔のおじいちゃんみたいな子になっちゃうかもしれなかったから、何もできない幽霊としては本当に怖かったんですよ。ちょっと語らせてもらいますけど、昔のおじいちゃんは本当に酷い感じだったんです、口先だけの愛情に縋りついて必死に現実から目を逸らす様は雨の日に飢え死にしようとする子犬のようでした、しかもそんな拗らせ切ってるクセに優しさだけはあるんですから始末が悪い、散々私に優しくして勘違いさせた挙句「俺は許嫁がいる、お前と付き合うことはできん」なんぞぶっきらぼうに抜かしおったんですよ? ふざけんなよと、聞いてるだけでもお前の家クソカスだろうと、そんな家のために好きでもない女と結婚するなぞ馬鹿かと、そうやって三年間かけておじいちゃんの洗脳を解いて無事ゴールインした結果が今の、そば打って死後生活を満喫しているおじいちゃんなのです。そんな感じでおじいちゃんは私が責任をもって浄化しましたけど、直美ちゃんには孫しかいませんから、万が一失敗した日にはバッドエンドまっしぐらです、だから「早くくっつけー」とか「おらっとっとと同衾しちまえ!」とか私が言っていたわけなのですよ。

 そうして私が脱線している間にも、二人はとめどない会話をして幸せを噛みしめています、長々と話しているうちに旅行の話に話題が移りました。


「これから旅行に行くんだよね、なんか現実感湧かないや」

「急展開だったしな~、俺も現実感湧いてない」

「だよね~、旅行……旅行かぁ、どんな感じかな」

「遊園地行ったときみたいな感じじゃない? ほら、昔おばあちゃんに連れられて行ったじゃん」

「あの時は楽しかったねー、確かに同じ遠出だし、きっとあんな感じだね。いいな、それ、すごい楽しみ」

「だな、きっと今回も楽しい」


 おっ、昔のことなのにちゃんと覚えてくれているんですね、おばあちゃん嬉しいですよ、私がはしゃぎ過ぎて二人がヘロヘロになるまで連れ回してしまいましたが、楽しかった思い出になっているようでよかった良かった。孫を連れて遊園地なんて全祖父母の夢ですからね、私がはしゃぎまくってしまうのも仕方ないことなのです、いやいやちゃんと二人の行きたい場所を巡りましたし、引率としてしっかり子供たちに遊園地を満喫させてやりましたとも、しかしそれとおばあちゃんが一番はしゃいで、最後まで元気だったことは両立できるのです。二人の言う通り、今回の旅行も今までのように楽しいハズです、間違いありません、キッチリ最高の告白を決めてくるが良い。


「……なあ、きっと今回の旅行も楽しいよな」

「そりゃそうだよ一緒に行けるんだから、絶対に楽しい」

「だったら、三日間キッチリ満喫したいよな」

「……? そうだね、せっかくの機会なんだし、思いっきり遊ぼう」

「…………そうだな、よしっ」


 うん? なに最終決戦前の会話イベントみたいなこと言ってるんですかね、この孫は。あれか? 怖気づいたか? 絶対に避けられない大決戦を前に腰が引けてしまったか? 残念ながらあなたに退路は残されてないんですよ、残されたコマンドは前進だけ、すでに賽は投げられたのです。というかこの状況でダメだったらあなた一生恋人出来ませんからね、世の男女を見てみなさい交際が続くか以前に成否すら分からない状態でアタックして玉砕してるんですよ、あなた勝ち確で好感度も貯めまくってる恵まれまくった状況なんですからちゃんと根性見せなさい、仮に失敗しても「次に期待してるよ?」とか言ってもらえるような状況なんですから、ほら頑張れ頑張れ、そうそう、そうやって深呼吸して、ちゃんと腹を括るのです。


「直美、直美」

「はいはい直美だよ」

「好きだ、付き合って欲しい」

「ほーん…………へぇぁ?」


 なんて……?






 …………いやなんつった今!? 告った!? 告ったぞコイツこの状況で! いや状況はメチャクチャ良いけどなんで今!? ほら直美ちゃん見なさい突然極まる急展開に「へぁ……? ほぇ……?」ってアホみたいな鳴き声上げながら放心状態になってるでしょ! 確かに早よせいといつも言ってきましたし事実それは良いことですが、いやそれにしても何故今それをしたのかが分かりません、一体どういう思考を経たら今ここで決めるという判断になるのか、おばあちゃん気になります。ただ今それを話しても、宙に放り出された直美ちゃんの心には届かないでしょう、孫もそれは分かっているのか、あの手この手で直美ちゃんを放心状態から戻そうとしています、最終的にハグとナデナデでリラックス状態にすることで、彼女のメンタルをリセットできたようです。


「ふは~しあわせぇ~」

「よしよし正気に戻ったな、それじゃ直美、続きを話すぞ」

「つづき~? えーっと……アッ」

「ちょっと待ってまた放心しないで踏みとどまって!」

「ん”ん”っ、大丈夫だよ幸樹、私は強いから、踏みとどまれる」

「よしよし偉いぞ」


 二度目の放心による天丼は避けられたようですね、良かった良かった。それでは今から孫によるスーパー告白タイムが始まります、果たして孫は目の前でいっぱいいっぱいになってる直美ちゃんが満足する告白を行えるのか、直美ちゃんは孫による不意打ちを受け止めきれるのか、緊張の瞬間です、これには私もおかきを食べる手が止まりません、醤油味も悪くないですね。


「それじゃあまず、何でこのタイミングかだな。俺はな、直美に玉砕された時ものすごく混乱したんだよ、端的に言って頭がパンクしてた」

「はい、私も今爆発しそうなので気持ちはよく分かります」

「で、旅行中にそうなったら楽しむどころじゃなくなることに気づいたんだよ、だったら今やっておこうと、そういうことです」

「そういうことだったんだね、納得した。それはそれとして不意打ちの分あとでどっかしら噛ませてもらうけど」

「そういうことです、俺はもう腹括ったのでどこでも好きに噛んでもらって」


 なるほどそういうことでしたか、確かに旅行中の時間は貴重、いつでもできるイベントに費やすのは得策とは言えません、これがいつでもできるイベントかと言われると怪しいですが、まあそれは宿泊券に背中を押されたおかげということでしょう。いやはやこの急展開には驚かされましたが、こう説明されれば納得もできるというもの、頑張れ孫、ここが勝負の天王山だぞ。


「俺は直美が好きだ、昔からずっと一緒にいてくれて、おじいちゃんとおばあちゃんが死んでも、パパとママが仕事に行っていなくなっても変わらず隣にいてくれた直美のことが本当に大好きだ。出会いには別れがあって永遠のものは無い、祖父母も、親も、同級生も、友達も、みんないつかはお別れして会わないようになる、こればっかりはどうしようもないことだから諦めるしかない、だからせめて直美だけは、可能な限りずっと一緒にいてほしいと思う、だから付き合って欲しい」

「ふふっ、プロポーズみたいだね? でも嬉しいなぁ、嬉しいからもっと言ってよ」


 よっし良いぞ孫! 一番大事なところを最初に言ったな、そうだそれで良い! 傍目から見たらどう見てもプロポーズとしか思えない激重内容ですが、二人はこのまま結婚して幸せな老後を送るとおじいちゃんが言っていたので何ら問題はありません、結局ここまで付き合い長かったら日頃の行いで九割決まってるんですよ、後はどれだけ大好きか伝える勝負です、つまりこの激重感情はGOOD! そのまま押し切ってしまえ!


「では遠慮なく、俺も直美に倣って全部ぶっちゃけることにする。あのですね、俺は昔から直美のことが大好きです、おじいちゃんが死んだあと沢山慰めてくれた頃から直美の居ない人生は考えられなくなっていました、というか家族が皆死んだり仕事だったりでどっか行きやがるから直美がいなくなったら俺の元には誰も残らないことになってしまいます、そんなことになったら死にます、だから直美はお願いだから一緒にいてください、お願いします」


 うっ耳が痛い、ごめんね幸樹……長生きできなくてごめんね……不甲斐ないおばあちゃんでごめんね……直美ちゃんこの子をよろしくね、あとは任せました。


「そんなに激重感情持たれていたことに、とても驚いている、とても嬉しい、だからもっと」

「というかだな、直美はいつも自覚が薄いんだよ、中学校で成長期に入ったのに普通に抱き着いて来たよね? 俺が一体どういう気持ちで頭撫でまわしてたと思ってるのさ、こんな一緒にいてくれた美少女が膨らみ始めた胸を容赦なく押し付けてくるんだぞ? そりゃハグ禁止とも言うわ、理性が死ぬわ、もっと俺から見た自分がどんだけ良い女なのか自覚してほしいんだよ俺は、そりゃ俺がずっとそこらへん黙ってたのも悪いけどさぁ……」

「いや幸樹なら良いかなって……ほら、私って肉付きが薄いじゃん? 私は幸樹に引っ付かれても全然嬉しいから、どうせそういう目で見られないだろうし、良いかなって……」

「男子ナメるなよお前、大好きな子にグイグイ引っ付かれたら癖の十や二十そりゃ歪むわ、お前のおかげで俺は貧乳を抱きしめて上下するお腹とか肋骨の硬さとか肩がぶつかる感触とかを感じないと生きていけない有様だよ、しかもお前はいつでもハグさせてくれて胸やら腹やら平然と押し付けてくるんだから最早取り返しがつかないんだ、頼むから責任取ってくださいお願いします」

「へっ……へへっ……幸樹、私の身体、肉付きの薄いこんなモノが好きなの?」

「はい、大好きです、正直ここまでぶっちゃけたのでドン引きされたらどうしようと本当に怖くなっています、ううぅぅ……」


 孫が羞恥心と恐怖に耐えられずダウンし始めました、そりゃそうだ。ほらもうちょっと頑張れ、思いの丈を全部言い終わったら好きなだけダウンして良いから、ほらあなた直美ちゃんの表情見なさいよ、優越感とよろしくない愉悦でものすごい笑顔になってますよ、こんだけ悦ばれてるんですからもうちょっと頑張りましょう? ね?


「嬉しいなぁ、本当に嬉しい、そっかぁ、幸樹は私じゃないと満足できないんだぁ。しかも、私にこれからもずっと一緒にいてほしいんだぁ……ねっ、幸樹? もうちょっとだけ頑張って? 全部終わったらたくさん抱きしめてあげるから、ね?」

「うぐぐ、頑張る。直美、俺はお前が好きだ、ずっと一緒にいて、抱きしめさせてくれて、こうやって今も隣にいてくれる、お前が本当に好きだ。首元に噛みつきたいと思われるのが嬉しいし、直美と一緒にいられるなら、他の人と恋人になる機会なんざ喜んで全部投げ捨てる、これからも抱きしめたり撫でたりして甘やかすし、これまで一緒にいたようにずっと一緒にいる、だから……だから、これからも抱き合ったり、撫で合ったり、膝を貸し合ったり、そうやって、一緒にいてほしい」

「ふふっ、ふふふ、分かった、分かったよ幸樹、幸樹が言ってくれたこと全部、ちゃんと分かった」


 言うべきことを全て言い切った幸樹は緊張でガチガチになっています、対する直美ちゃんはとても幸せそうな、満たされた笑顔を浮かべていますね。ニッコニコの直美ちゃんはゆっくりと幸樹に近づき、両腕を首の後ろに回して、そっ……と体重をかけて、床に押し倒しました。頬同士を擦り合わせながら、直美ちゃんがゆっくりと口を開きます。


「ねぇ幸樹、私のこと、好き?」

「好きだ」

「ずっと一緒にいたい?」

「ああ、これからもこうして、一緒にいたい」

「こんなことしても、許してくれる?」


 ゆっくりと開いた口が首元に押し当てられ、歯が皮膚を押し潰してその並びを刻み付けます、不安を押し隠した頭に手が添えられて、浅い呼吸が安心感に溶かされていきました。こういう時は時間の流れがゆっくりに感じるものですから、この短い時間も本人たちからすれば数時間に感じられるでしょう。そうして三分以内の数時間が経った後、肉を包む柔らかい皮膚がエナメル質の鋭さから解放され、軽いキスをした直美ちゃんが返事を口にします。


「言ったもんね? 返事代わりにしてあげるって」

「ああ、それなら……」

「うん、いいよ、付き合って、ずっと一緒にいてあげる。これからよろしくね」

「…………った……やった……!」

「それじゃあ彼氏君? 直美ちゃん口元が寂しいなあ? 首貸してもらうね?」

「あぁ……好きにしてくれ……ははっ……やったぁ……!」


 (無言のガッツポーズ)(最後の六回目)

 ふぅ、良かった、これで万事解決です。ここまで大体十万字でしたかね? 長いようで短い物語もこれで一区切りです、ハッピーエンドで良かった良かった。普段ならここで好き放題五行くらい喋り倒すのですが……今は私も感極まっていますから、黙って退場することとします。重ね重ね本当に良かった、おばあちゃんの人生で三番目に嬉しかったです、ちなみに一番はおじいちゃんと付き合えた日、二番目は息子が結婚式を挙げた日です、孫には悪いが私は自分大好きなのでそこは譲れません、まあどれも同じ『最高の思い出』だから許されるでしょう、それではここまで読んでくださってありがとうございした、このあとはちょっとしたエピローグでおしまいなので、ぜひ読んでいってくださいね。

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