4月7日(紫)
今日は私がこれから通う百合宮学園高等学校の入学式だ。
私は面倒くさいなと思いながらも初日ということもあり学校に向かった。
学校から寮までは5分程度なのだが、私が学校に行く途中誰にも出会わなかったことに疑問を覚えながらも私は指定された教室に向かった。
私はついに誰にも会わずに教室までたどり着いた。不審に思いながら私は教室に入り時計を確認した。時計は集合時間から30分程度過ぎた時間を指していた。
「はぁ…そういうことか……」
私は誰もいない原因がわかり嘆息した。
私はとりあえず自分の席を確認し席についた。今から行っても悪目立ちをするだけだろう。そう思い私は席に突っ伏した。
シーンとした教室内に小鳥のさえずりが聞こえる。私はそれをBGMにウトウトしているとコツコツと誰かの足音が聞こえた。足音は近くまで来ると途端に聞こえなくなった。私は不思議に思いながらも気にしないことにした。すると不意に教室の出入口の方から声が聞こえた。
「初日からさぼりかい?」
声の主はそう言うとこちらに近づいてきた。
私に言っているのだろう。私は煩わしく思いながらも顔を上げ声の主の方を見た。
そこには少し茶色がかったワンサイドボブの可愛いというよりはかっこいいといった顔立ちの人が立っていた。
「だれ?」
「私かい?私は天晶天。ここの3年生だよ」
3年生か。でもたしか3年生も入学式に参加する予定だったはず…。
「確か3年生も参加予定でしたよね?あなたもさぼりですか?」
「痛いところを突いてくるね。まぁ君と同じだよ」
この先輩も面倒くさいということなのだろう。だけどこの先輩は何しに来たのだろうか。会話をするつもりではなかったのだが気づいたら聞いてしまっていた。
「誰もいない校舎ってわくわくしない?」
何を言っているのだろうか。そんな理由の為にさぼったのだろうか。
「馬鹿じゃないの」
気づいたら口に出していた。考えたことが口に出る癖は何時まで経っても治らない。
「あはは~よく言われるよ……それで君はここで何をしているのかな?」
「私?私は……面倒くさかったから…」
なんて言えばいいか考えていたが結局面倒くさくなりおざなりな回答になってしまった。
だけど何故かこの先輩は嬉しそうにしていた。
「そっかそっか。君はこれから暇かい?」
何を言っているのだろうか。この後まだホームルームやらオリエンテーションなどあるのを知らないのだろうか。そう思い怪訝そうに先輩を見つめた。
「あまり見つめられると流石に照れるのだけど」
そう言っているがあまり照れた様子はなさそうだ。
この先輩といると少し調子がくるってしまう。だから気が付いたらこの人の誘いに乗ってしまった。
「まぁ少しならいいですよ」
「そっかそっか!ならさっそく遊びに行こう!早く君も準備して」
「君じゃない。紫」
「紫ね!なら私のことも天って呼んで」
天の笑顔に少し心がざわめいた気がしたが気のせいだろう。
「天……遊びにってどこに行くの?」
「そりゃあ町の方にだよ!」
天はそう言うと私の手をにぎり駆け出した。
私はこういうのも悪くないと天と共に町に繰り出したのだった。




