第2話 3
『僕』が届けられたものを受け取ったことで、相手はここに興味を無くしたのか、鉄の擦れる不快な音を立てて乱暴に小窓を閉めてしまった。
「待って!」
内側から声をかけるものの、帰ってきた返事は外から鍵のようなものをかける無機質な音だけだ。
わかってはいたが、『僕』は俯いて何も言えずにいた。
ふと、ちゃりちゃりと金属を鳴らす音がする。
天使様の方を見ると、どうやら『僕』を呼んでいるようだ。
天使様は『僕』の持つ温かい食事を指差した。
食べたいのだろうか。『僕』は食事を持って天使様の目の前に座る。
「えっと、鎖のままで食べられますか?」
難しいだろうなと思いつつ、『僕』はスプーンですくって天使様に差し出した。
ところが天使様は食べようとせず、首を横に振って食事を指差し、次に『僕』を指差す。
「食べろって?でも二人分はありますよ?」
次に天使様は荷物を指差した。天使様の意図がわからないので『僕』はスプーンをまず置いて荷物を開けた。
そこにはずっと繰り返し読まれたのか、使い古しボロボロになったメモ書き。
それから『僕』が普段から使っていた服や教科書といったけして多いとは言えない私物達だった。
メモ書きを読むと、
1.食事係は一日二回必要なものと共に送りに来る
2.必要なものは荷物に同梱したメモ帳に書いて提出(ただし火器と刃物は認められない)
3.天使様に食事や睡眠は不要
天に帰るその日まで我らが御使いにお仕えせよ
と、書かれていた。




