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虹丸  作者: もんじろう
92/105

92

 これには暁城天守閣の義盛も肝を潰した。


 冥府から甦り、恐れるものなどないはずの武将、幾多(いくた)の戦いで敵陣へと斬り込んだこの男の背筋が、ぞくりと凍った。


 生き返って、まさかこの感覚を味あわされようとは。


 倒さねばならない。


 この女を殺し、その力を我がものにせねば。


 義盛は斬られた兵の中で動ける者を集め、逆襲に転じようとした。


 が。


 天守閣より遥か先に居る静香を見下ろす義盛の眼に、緑のきらめきが飛び込んできたのは、その瞬間だった。


 城門を越え、義盛を見上げていた静香が、その場から天守閣へと向けて。


「おおおおーーーーっ!!」


 斬撃を放ったのだ。


 折れた刃から発した緑色の光は空を切り裂き、そして。


 義盛の立つ天守閣を縦に、真っ二つに切断した。


 城門近くに居る静香の斬撃が緑の石の力で、あり得ない距離を走り、城そのものを破壊したのだ。


 斬撃は天守閣を斬ると同時に、義盛の身体を股から脳天まで一瞬で両断していた。

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