表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹丸  作者: もんじろう
85/105

85

「おおーーーっ!!」


 すさまじい戦いの雄叫びが、死人の軍団から轟いた。


 一斉に屍たちが清秀軍に襲いかかる。


 清秀は自らの軍に指示を下すのさえ忘れ、茫然としていた。


 そもそも号令したとて、兵たちが動いたであろうか?


 清秀軍は恐怖に絡め取られ、誰一人として戦意を有してはいない。


 これは戦か?


 否、これから始まるのは一方的な虐殺であった。




 その夜、清秀軍の屍を軍勢へと加えた骨武将、惨鬼義盛は新たに造られた天守閣に立ち、眼下に広がるかつての我が領地を見つめていた。


 下では、いくつものかがり火がたかれている。


 見つめるといえばおかしな話ではある。


 義盛のどくろに、もはや眼球は存在しないのだから。


 しかし、義盛は生きていたときと同じように考え、見て、聞くことが出来るのだった。


「死人の家来ども、よく働きおるわ」


 義盛が笑った。


 己も死人ではあるのだが。


 確かに死人たちは、よく働いた。


 何より疲れを知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ