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虹丸  作者: もんじろう
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「お前は度胸が無かったからな」


 十蔵は、にやっと笑った。


「何故、抜けた?」


「………」


「俺が抜けたのは…」


「………」


「お前が抜けたからだ」


黙っていた虹丸の眉が、ぴくりと動いた。


「一番度胸が無いお前が抜けたと聞いたとき、俺は初めて自分に疑問を感じた。頭領の命令をこなすのが虚しくなった。俺も自由ってやつを味わいたくなったのさ」


「………」


「抜けてみると自由っていうのは良いもんだな。行き先も物を喰らうのも寝るのも自分で決められる」


「………」


「里の奴らが追っては来るが…たいした奴は居ない。そうそう、誰をどうやって殺すかも俺の自由だからな」


「………」


「それにしても、お前の腕前でよく今まで逃げ延びたな。どうやった?」


 虹丸は答えず、じっと十蔵の背中を注視している。


「ずっと、だんまりか?」


「………」


「相変わらずだな。お前も気づいているだろう?」


「………」


「俺は抜けてから緑の石を見つけた。お前は見つけたから抜けたのか?」


「はい」


 ようやく虹丸が言葉を発した。


「不思議な力が身に付いて…そのまま里に帰れば頭領に利用されると思いました。それに、この力を使えば逃げられるんじゃないかと…」


「なるほど、そう思える力が付いたのか」


「ただ…」

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