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「おで、侍は大嫌いなんだ」
岩の男は静香の言葉を無視した。
あるいは本当に聞こえないのか?
「親父も、お袋も、妹も、弟も、みんな侍に殺された」
「………」
「世の中の侍は全員死んじまえばいいんだ」
「………」
「そう思ってたら神様が、おでを変えてくれた」
「石を見つけたのか?」
「だから、お前殺す」
静香の問いを再び無視して、岩の男が動いた。
巨大な両腕を振り上げる。
「死で」
思いの外、素早い動きで両腕が振り下ろされた。
静香は横へ跳び、ぎりぎりで攻撃をかわした。
岩の拳が地面にぶつかり、轟音と共に砂ぼこりが舞い上がる。
「あで?」
岩の男が首を傾げた。
砂ぼこりが収まった後、自分と対峙する静香を見つけた。
「あがーーーっ!!」
岩の男が怒鳴った。
今度は右拳を横に払って、静香を狙った。
これも、ぎりぎりでかわす。
続けて左拳が叩きつけられたが、静香はまたかわした。
「あーっ!」
岩の男が叫んだ。
「逃げるな!」
地団駄を踏む。
「大人しく、おでに殺されろ!」
「………」
静香は答えない。
長刀の柄に右手を置き身体を捻り、岩の男に背を向け、腰を落とした。
「そうだ、そででいい」
岩の男が笑った。
静香が観念したと思ったようだ。
静香の頭上で巨大な両拳を振り上げた。




