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虹丸  作者: もんじろう
41/105

41

 少年が言った。


 静香は少年に頷いて見せた。


「○△□!!」


 少年の異国語と共に、黒馬が走りだした。


 猛烈な勢いで静香めがけて突進してくる。


 静香も、すでに構えていた。


 牙次を斬ったときの構えだ。


 背中を向けているため、迫ってくる男爵と黒馬の姿は見えない。


 ただ、牙次のときとは違うところが、ひとつあった。


 静香の両眼が、斬る瞬間だけではなく、構えている段階から爛々と緑色に輝いているのだ。


 静香は微動だにせず、男爵を待った。


 男爵はすさまじい速さで一発の弾丸の如くなりながらも、正確に長槍を静香の身体に定めていた。


 見物していた誰しもが、男爵の長槍が静香を串刺しにしたと思った刹那。


 静香の身体が回転し、長刀を抜き放った。


 静香が身体を捻りつつ抜刀したため、男爵の槍はぎりぎりで目標を外した。


 静香の着物が裂け、さらしを巻いた胸が露になった。


 それと同時に静香の斬撃は超速で馬上の敵へと打ち込まれていた。


 いったい、どのような軌跡を描いて長刀は走ったのか?


 見物している人々はおろか、攻撃を受けた男爵本人もまるで分からなかった。


 男爵の身体が右腰から左肩にかけて、鎧ごと両断された。


 構えていた大盾も、まるで紙のように切断されている。


 鮮血を撒き散らし、男爵の半分が落下した。


 下半身を含む部分は黒馬に乗った状態で走り去っていく。


 少年の悲鳴が空気を裂いた。


 自らの主人の予期せぬ無惨な最後に衝撃を受けたのだ。


 地球儀を放りだし、男爵の死体に駆け寄った。


 母国語で半狂乱に泣き叫んでいる。


 他の人々は、あまりの凄惨な決着に水を打ったように静まり返った。

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