説明と逃避
閲覧有り難うございますm(__)m
まもなく幕間も終りですm(__)m
もう少しお付き合いお願いします。
………
マンションに入ったまでは良かった。良かったが今目の前にあるこれは何だろうか。箱、と言うにはいささかで、中を見ればそれなりの広さ、そして、そこに人が入り、何処かへと上がっていく。それを驚愕こ表情で眺めながら、何度目かの箱が戻ってきた時。
「ちょっと、アンタ!」
いきなり背から怒鳴られ硬直してしまう。何事かと思い振り向くと仁王立ちで一人女性が立っている。
「私………ですの?」
「そうよ、何、その格好は、コスプレ?」
名も名乗らず名も聞かず、捲し立てるように告げてくる女性は、マリアを睨み付けて一歩前に出て来る。多分、いや確実にマリアの方が強い筈だが、それでもこの女性の威圧感は何故かマリアですらも気圧されてしまう。
茶髪ショートカットのクールビューティー、女性なのだが何処か懐かしさを覚えたマリアは。
つい。
「極………」
と、口走ってしまう。すると、女性は目をこれでもかと見開き。
「極を知ってるの!!」
声を荒げてマリアの肩を強く掴んでくる。咄嗟に掴まれて、抵抗できないマリアではあったが、女性は気にするそぶりを見せず、更に距離を詰め。
「ねぇ貴女、極の知り合いなの!?外国人さん!」
金髪で旅装。それを見て外国人と判断し女性は極について問い詰めてくる。
「あ、あの………」
「ねぇ、極、私の弟なのよ、何か知ってるの!!」
「え、あの…………」
「教えて、何か知ってるの外国人さん!もう五年なの、あの馬鹿がいなくなって………」
感情が爆発するかの様に次第に声が荒くなり、目元には涙すら浮かんでいる。それを見てマリアは冷静さを取り戻し、逆に女性の肩を掴み返し。
「お、落ち着いてくださいまし、あの………」
と、そう言って女性の目を見つめる。が、マリアは彼女が誰だかすら知らない、その為にそこで言葉が途切れてしまう。と、そんなマリアの心情を読み取ったのか、女性は少しだけ冷静さを取り戻し。
「あ、ごめんなさい、いきなりだったわね、私は皇木 理華、それで………」
そこまで言って一度躊躇する仕草、だが直ぐに気を取り直し。
「弟を知ってるの?」
ただ一言、そう問いただし直す。
〜マンション 皇木邸〜
エレベーター前でのドタバタの後、極の姉である理華に連れられ、マリアは家へと案内される。この世界の間取りは全く解らないのだが、案内された家は、多分家族が住むには充分な広さなのだろう。
玄関から数メートルの廊下、広間の様な場所、そこにあったソファーに通される。
「ゴメンね、今インスタントのコーヒーしかなくて………」
少し申し訳無さそうにしながら理華は何処かへと消えていく。
……………………
通された場所は広く、建家の階層からも景色は良い。ガラス窓から見える景色は日本の街並みが見え、シャリオとはまた違った趣があった。
「はいこれ、熱いから気を付けてね…………」
と、そんな日本の景色に目を奪われていると、理華が飲み物をテーブルに差し出し、対面のソファーへと腰かける。
…………………
…………………………
無言、極の話しをすれば良いのは互いに解っているが、中々に切り出すことが出来ない。時間だけが刻々と過ぎていく。
しかし、この場所に沈黙するために来たのではない、マリアはそれを自身に言い聞かせ。
「あの………」
そう言って口を開く。すると、何かを察してか、理華もカップをテーブルに置き。マリアの言葉に耳を傾ける。
そして。
「弟さんの………皇木極の事でここに来ましたの………」
「極の事で……」
「はい、今から5年前ですの、極が私達の国に来たのは」
マリアは淡々と言葉を紬ぎ始める。
初めての出会い、そして極が何をしていたのか、多少のフィルターをかけてはいるがそれでも包み隠さずに説明を続ける。
時間にして一時間程。その間、理華はただ黙してマリアの言葉に聞き入っていた。質問を挟むことなく、ただじっと見つめて。
「と、ここまでですの、最期の任務は極の単独任務でしたから」
自分の知りうる限りの情報を、全て話し終えた所で、マリアは一度飲み物に口をつける。それと、同時にじっと黙していた理華が。
「死んだの、極は?」
率直な質問。だが、理華にとっては何事にもかえがたい質問だった。すると。
「………正直解りませんの」
「解らない?」
「はい………」
「なら、極は生きているかも知れないの?」
「限りなくゼロに近いですけれども………」
「そう………」
小さいため息。理華の表情が絶望から少しだけ、そうほんの少しだけ希望の色を見せる。
「私が伝えられるのはここまでですの、極の件は個人的に調査は続けますので………」
「有り難う、えぇ……」
と、そこでマリアの名を知らないことに気付いた理華は言い澱む、すると、それに気付いたマリアは。
「レイヴァンス、マリア・レイヴァンスですの…………」
そこで、初めて自身の名を告げる。
「そっか、レイヴァンスさん、今回は有り難う、出来の悪い弟の事を教えてくれて、それでその………」
「解っていますの、捜査に進展があればまた報告しますの………」
にこりと微笑み、マリアは理華と握手をする。
短い、本当に短い時間ではあるが、二人の邂逅は終わりを迎えるのであった。
〜街から離れた森の中〜
「一応は終わりましたの………」
理華のマンションを後にして、近くの山道から森へと入っていく。人影は無く、マリアは周囲の気配を確認して、魔力の集中を始める。
ヴォバックとのゲートを開く。一度開けば簡単なモノでマリアは片手間の様に正面に扉の様なモノを出現させる。
「日本、良いとこでしたの、治安も良いし、人も親切、それに……死と隣り合わせと言うこともない………」
そう言って、一度だけ森から見える街並みを眺め、マリアは扉を潜るのだった。
「ふぅ………」
屋敷の研究室に戻り、マリアは一度息を吐き出す。テーブルにあったコップに入った水を飲み干し、一息。そして考える、あれで良かったのかと。
ただの報告、そう言っても過言では無かったが、マリアは理華を直視出来なかった。結果的に自分やフランのせいでは無いと解っていても、やはり仲間だったのだ、責任は感じてしまう。だからかも知れない、自分の中では理華から逃げるように帰ってしまった事を。
だが、マリア自身もあれ以上の情報は持ち合わせていなかった。だからこそあれ以上の事を理華には説明できなかった事もある。
と、その時、研究室の入口が開き、入口から一人入室してくる。
それが誰なのか、マリアには言わなくとも直ぐに解った。
皇木 極は、転移者の中ではぶっちぎりの強さでした。




