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面接と見習い

月曜日授終わり


授業終わり、純一からスーツが必要と言われ、三人は各々用意をして、指定場所近くの駅に集まる。


「何か就職の面接みたいですね」


「てか、バイトだろ?なんか物々しくないか?」


「そっすか、まあ日給一万の出来高っすからね」


「そこですね、まず出来高ですよ何の作業でしょうか?」


「さぁ?日給良いから応募したんすよ、作業までは……面接で解るっしょ!?」


「まさか、ブラックじゃぁ……」


「昌晃、フラグが立ちます自重しましょう……」


「だな……」


淳と昌晃がため息を吐き出し、純一の後に続く。内心無事にすみますようにと祈りながら。




「えっ?昌晃!?」


「み、岬?」


面接会場は駅近のビルの一室。そこで予想外の人物に出くわす。それは昌晃の幼なじみ岬だった。


「おは、誰っすか?この美少女は?」


「何か名前で呼んでいた気もしますが?」


岬を見て、淳と純一が誰かと聞いてくる。


「あぁ、まぁ、学部は違うけど同じ大学の………幼なじみだよ……」


海堂カイドウ ミサキです、いつも昌晃がお世話になっています」


礼儀正しく岬が礼をする。それを見て、淳と純一がそれに習う。


「てか、お前もここのバイトの面接か?」


「そだよ、一様事務員で、昌晃は?」


岬に言われ昌晃は純一を見やるが勿論。


「さぁ?」


その一言。


「まぁ、色々話もあるでしょうがそろそろ時間ですよ!」


そう言って淳が準備されたパイプ椅子に座るように促す。しかし、当たり前とは言え、何も無い一室にパイプ椅子。


色々と思い出ししまう三人。


…………


………………


沈黙。備え付けの秒針だけがコチコチと音をたてる。


…………


「係の人はまだですかね?」


「さぁ、どうなってんすかね?」


………


更に数分。

と、その時入り口の扉が乱雑に開かれ、息を切らせた美女が入室して来る。


「はぁはぁ……遅れて申し訳ありませんの、私、この度面接官を務めますマリア・レイヴァンスですの」


勿論、昌晃、淳、純一は絶句する。が、マリアは何食わぬ顔をして、話を始める。


「この度はバイトの面接にお越しいただきありがとうございますの、今回は女性一名を含め4人ですが………全員合格ですの!」


「「「はぁぁ!!」」」


岬以外の三人が立ち上がり、取りあえずマリアに詰め寄る。それはもう物凄い勢いで。


(アンタ何考えてんだよ!)


(はぁ?異世界は来る者拒ますですのよ!)


(来るも来ないもって、まさか、アナタ……)


(いやですわ、まさか、私でもいきなり素質の無い女性に異世界を進める事はしませんのよ、彼女は本当に事務員で登用しますの)


(ならいいんだけどよ……)


ふぅっと安堵の息を付いて昌晃が岬の方へ視線を向ける。岬はそれを見て首を傾げる。


「コホンッ!以上質問が無いようでしたら席に戻って欲しいですの!説明を始めますの」


マリアがそう言って、三人を席に下がらせる、勿論三人もまだ言いたい事はあったが面接官の指示にしたがう。


「昌晃、なんかあった?」


椅子に座るなり岬が声をかけてくるが、何でも無い、とだけ答えて会話を切る。


「そう、なら良いけど……」


岬も首を傾げながら、それ以上の追求は止めマリアの方へと向き直る。すると、一度だけ4人を見回し。


「えぇ、海堂さんは事務と言うことで私が直接仕事の内容を説明します、明日から早速事務所の方へ来て下さいの」


「はい!」


「で、藤堂君、千鳥君、時任君は現場任務ですので見習いとして本日から研修に入ってもらいますの」


「へぇい…」


「解りました」


「了解っす!」


マリアの指示を受け、岬のみ本日は解散となる。


………


……………おい……


岬のいなくなった部屋、まず第一声を発したのは昌晃。


「何ですの?」


「何じゃねぇよ!本当に岬を異世界にいかさねぇんだろうな!?」


「えぇ、ギルドへの繋ぎの為に行って貰うことはあっても、それ以外はありませんの」


「本当だろうな?」


「嘘は言いませんの、騙して得する事はありませんから……」


マリアはそう言ってタイトスカートの裾を払い、そのまま異世界の扉を開ける。


「仕事の内容は、ギルドの事務員ユリが教えてくれますの、さぁ先ずは日給分動いてもらいますの!」


その言葉を最後に三人は扉をくぐる。




扉をくぐり最初に目にしたのは、前回とは違いフロアに群がる冒険者だった。喧騒でかなりざわつき、仕事を受けるであろうカウンターは鎧を身につけた冒険者であふれかえっていた。


「凄いっすね……」


喧騒を眺め、純一が呟く。確かに、予想していなかった光景を目にすると、人はそうつぶやくのかもしれない。


「確か赤眼鏡の美女はユリさんですか?先ずはその方を探さないと……」


フロアを見回し、三人は前回地球への帰還を助力してくれたユリを探す。


「あ、無事にこれたみたいですね!」


と。冒険者の間を縫って美女もとい、ユリが姿を現す。


「どうもユリさん、向こうでレイヴァンスさんに貴女に会うようにと言われましたので」


「そうですか、はい、コチラもマリアから話は聞いています冒険者見習いとして旅団に研修に来たんですよね?」


「「「研修………」」」


これが、三人の長い長い冒険者としての始まり。

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