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とりあえず地球に…

閲覧ありがとうございます!


一夜明け


疲れた……あの後もチルダ王国の講釈を聞かされ続け、三人が眠事を許されたのは朝方だった。


「魔術にあんな使い方があったとは……」


「まさか、寝そうになると電流を流すなんて……」


淳と純一が、喋り疲れて気持ち良さそうに寝ているクリスに視線を向ける。


「まぁ、なんと言いますか魔導の天才と言われるだけのことはありますね」


「確かに」


苦笑いを浮かべ、お互いを見合わす。


「ありがとうね……」


と、不意に二人の背に声がかけられる。驚いて振り向くと、そこには手ぬぐいで顔をふくマリナの姿がある。


「マリナさん」


「おはようございますっす」


「うん、オハヨ」


「てか、何がありがとう何ですか?」


マリナの不意の感謝に淳が質問。マリナは軽く首をひねり。


「昨晩のクリスの事、あの子普段はあんまりあんな事しないから、あなた達みたいに話を聞いてくれるのが余程嬉しかったのね……」


「聞いたと言いますか……」


「強制的に聞かされた、が正解っすかね」


「それでもよ、あの子にとっては初めての後輩みたいなものだから」


「後輩……ですか……」


改めてクリスを見やる淳と純一。金髪美少女のため寝顔は天使のようだ。


「まぁ、もしこれからが有るならよろしくね」


マリナはそういい残しその場を離れる。







その後、何度か教練と称し戦闘を見学させてもらい、一行は着実に街へと近づいていく。


「ですからぁ~、私にはクリスと言う……!」


「わぁったわぁった、だから何度も言わなくて良いんだよジャリ!」


「ジャリじゃ無いですよぉ!」


他愛もない会話、相変わらず昌晃がクリスを煙たそうにしながらも、相手を続ける。


「千鳥さんや時任さんは、ちゃんと呼んでくれるのに!アナタだけは、ポンコツ!」


「はぁぁ!ふざけんな!俺に名前呼んでほしけりゃアレぐらいになって見ろ!」


そう言ってマリナを指差す昌晃。


出るところは出て引っ込む所は引っ込む、理想の体型。


「わぁったか!アレだ!アレになるまでお前はジャリだ!ジャリ!」


「むむぅ~、失礼極まり無いですぅ!」


「悔しかったらあれになって見ろ!」


今度は勝ち誇らんばかりの笑みを浮かべ、昌晃がクリスを見下ろす。


「まぁまぁ、昌晃も大人気ないですよ」


「構わん事実だ!」


「それでもですよ」


苦笑を浮かべ淳が仲裁にはいる。


その頃には何時しか密林を抜け街道をひた歩いている。


と、そんなほのぼの風景を三人が演じていると。


「おっ!街だな」


そう言ってゲオルグが顔だけをこちらに向けてその方向を指差す。


「あれが……」


「街っすか」


「そうだ、チルダ王国でも五指には入る城塞都市シャリオだ!」


城塞都市シャリオ、確かにココから見える範囲でも20メートル程の壁に囲まれている。そのために中を伺い知ることはできない。


「まぁ、城塞も驚くかも知れないが中も凄いぞ、何せこの街は一番王都に近いからな、人の流れもかなりのものだ!」


手を広げ何かを表現するゲオルグ、勿論三人ににもその言いたい事は伝わってくる。


「確かに、日本には無い造りだな……」


「正直にファンタジーですね…」


「これだけでも来たかいがあるもんっすねぇ…」


三人共城塞を眺めポカンと口をあける、兎に角言葉では言い表せ無いほどの感動だ。


「さぁ、先ずはギルドに行くとするか?」


ゲオルグは未だにポカンとしている三人に声をかけ、ギルドと言って城門を指差す。


そして、門をくぐり抜け、もう一度三人は盛大に驚く。それは、地球、その都市部以上の活気を見せていたシャリオの大通りを見たからだ。


「はぁ~何かすげぇな?」


「あぁ、これがシャリオのメインストリートだ」


驚く三人を横に、ゲオルグが解説を入れてくれる。道幅は50メートル程だろうか、それが次の城塞まで続いており、両側には所狭しと露天が並んでいる。


「露天に武器や防具類を扱う店は無いが、それでも市民の日常品や食料などは充実している」


「なら、武器などはどのあたりで?」


「あぁ、武器類はギルド周辺で取り扱っている」


「なる程……」


そう言ってゲオルグと淳が会話をしながらも、一行は一路目的の場所ギルドへと向かう。




「で、ここが冒険者ギルドだ!」


ゲオルグの言葉と同時にギルドを見上げる三人。兎に角デカい。西洋の屋敷のようなつくりだ。


「やっぱりファンタジーですね」


「まぁ、これで高級ビルとかだったら引くだろ?」


「昌晃の言うとおりっすね……」


建物の造りに三人は安堵の息をはき。


「皆さん、ここまでありがとうございました!」


「いや、良いさたまには無償のボランティアも良いもんさ……それに君達とはまた再会する気がする」


「落ち着いたらまたシャリオまで来なさい歓迎するわ」


「そうですよぉ、千鳥さんや時任さんは大歓迎ですよぉ!」


「おい、俺は!?」


「さぁ?」


と、最後に二人がちょっとした言い合いをやらかしてから、ゲオルグ達と別れることになった。



「親切な方達でしたね……」


「そっすね」


「まぁ、またこっちに来りゃああう機会もあんだろ、さぁ家に帰ろうぜ!」


昌晃の言葉を区切りに、三人はギルドの入り口を開ける。と、またも驚く三人。外見からみても解る以上に中は整然としている。


「正直、もっと荒廃した雰囲気を想像してたんですけど……」


「まぁ、ギャップだな」


「それにしても窓口か凄いっすね……」


感想が口から零れる程に広いホールを眺めていると。


「マリアの送ってきた人かしら?」


そう言って声をかけてきたのはバリキャリ風の美女。赤の眼鏡がよく似合う女性だ。


「はぁ、それが……」


昌晃が女性の綺麗さにたじろぎながら返答すると。


「良かった!マリアからは半日位って聞いてたから、いきなり………」


そこで言葉を濁す美女。勿論何が言いたいのか三人にも良く解った。


「色々ありましたが、旅団希望の翼に助けてもらいました」


「え、シャリオのトップ旅団にですか?」


「はい、ゲオルグさんですか?」


「え、副団長のゲオルグさんですか?三人共運が良かったですね」


美女はそう言って咳払いを一つ入れ。


「すいません話を戻しますね、当初は半日の予定でしたから、すぐにでも帰られたいと思いますが、どうされますか?」


赤眼鏡を押し上げながら問うてくる。それがまた妖艶だったりするが、今は疲労が三人の性欲を凌駕している。そのため。


「「「直ぐに帰還します!!」」」



異世界ヴォバック初体験は、ドタバタの2日間でした。



チャンチャン!!

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