対人戦闘
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「1対3なら勝機がありそうですね………」
接近してくる人物を目視しながら淳が分析する。が。後方に立っている他の二人の不適な笑みを見ると中々どうしてかもしれないと思わせる。
「と、言うか大丈夫なんですか?相手は多分手練れの野盗ですよ!?」
表情に不安を纏わせながらラースが二人に語りかける。しかし、時間はない。
「まぁ、ここまで来たらなるようにしかなりませんよラースさん、兎に角、前衛は僕が務めます、ラースさんは純一と後衛、荷馬車の護衛に………」
そう言って、淳が一歩前に歩きだし。腰に下げていた剣を抜く。
「えっ?魔導石の武器は?」
腰の剣に魔力を感じなかったラースは怪訝に思いながら、そんな事を口にする。しかし、それほど気にも止めずに淳は前進を続ける。
「おぅおぅ、テメェ良い度胸だなぁ、一人でヤンのかワレェ!」
「はぁ、まぁ、僕としても吝かではありますが…………」
片手剣を握りしめ、淳は一歩更に一歩と距離を詰める。すると。それを見たバルマーは一人で来た淳に怒声をあげる。が、勿論そんな怒声に動揺する気配もなくのらりくらりとかわしていく。
刹那。
ビュオッ!!いきなり空を裂く一閃が閃き、淳に襲いかかってくる。いきなりの事で咄嗟反応が遅れそうなモノだが、予め読んでいたのか一歩後退して剣閃を回避する。
「ほぉ、やるじゃねぇかよぉ……ならっ!!」
空を斬った剣を翻し。更に一撃。上段下段。魔術の身体向上により更に速度を増した攻撃は更に淳を後退させる。
しかし、それでも淳に動揺の色は無い。
「気にいらねぇなぁ、おぅワレェ!!スカしてんじゃねェぞワレェ!!」
「はぁ、スカしたつもりは毛頭無いのですが………」
苦笑しながら剣檄を回避。
「なら、これならどぉよっ!!」
剣を持つ手とは逆手を突き出し。
「炎じゃワレェッ!」
発動。ボワッと言う表現がしっくり来る音が響き、同時に淳に炎が襲いかかる。空気を焼き、肉を焼くその炎は満遍なく淳を包み込むように四方から迫り来る。
が。
「近接戦闘における魔術戦闘…………これが魔導剣士の戦いかた………」
自身二回目の対人戦闘、その為に淳は迫り来る炎を一時忘れて相手に見いってしまう。しかし、それも一瞬。迫り来る炎から距離をとりながら淳も武器とは逆の手をかざし。
「消火」
と、短く呟き、迫り来る炎以上の質量の水をぶっかけ鎮火する。
「んなっ!?」
鎮火された炎を眺め驚きの表情を見せるバルマー。だが戦闘は終わらない。再度互いに剣をぶつけ合う。鈍い剣檄音、それを耳に受けながら両者その場で譲らずの攻防。片方が襲いかかれば片方は受け、片方が距離をとれば片方が距離を埋める。一進一退の攻防が続く。
「はっ、冒険者のクセに魔導石の武器を持ってねぇとはなぁっ!!」
魔力の通らない剣を持つ淳に口元を吊り上げ笑みを浮かべるバルマー。その表情は何処か余裕すらも感じられる。
「まぁ、魔術は大したもんだが、魔導石の武器を扱えない半端モンだ、C級が関の山だろ!?」
何処か知った風な口を聞きながら分析し、一撃二撃と、剣を振るう。淳はそれを防ぎながら、冷静な表情のまま。
「良くわかりましたね…………」
と、平然と嘘を言ってのける。
「はっ、元とはと言え、俺もB級上位だったからなぁ、ワレ見たいな三下とはちゃうんじゃコラァッ!!」
再度怒声と共に魔術を発動。超至近距離からの火球だ。ゴウッと言う燃える音と共に、拳大の火球が淳の腹部に襲いかかる。
「ウッ……………」
超至近距離。魔術の発動と共に着弾と言っても過言では無いそれはバルマーが後方に飛び退くと同時に爆発。火が淳を包み込む。
「しゃっぁぁ、どうじゃワレェ、三下小僧に避けられるかよぉっ!!」
正面の惨状に笑みを浮かべ、勝利を確信するバルマー。
しかし。
「ケホッ………流石にコレは………」
と、咳き込みながら、火が消え煙った中から姿を現す淳。所々に煤けた後があるだけで、それほどのダメージは無い。
「至近距離やぞ………」
流石にそれなりのダメージを見込んでいたバルマー。しかし、ほぼ無傷の相手に驚きを隠せない。
「確かにモロに受けていれば危なかったと思います、が……僕も冒険者の端くれですからそれなりの対処法は心得ていますよ」
軽く舌を出して苦笑。煤を払いながら再び剣を構え。
「さぁ、行きましょうか!」
言い終わるか終わらないかその瞬間、一足跳びに距離を詰める淳。速度自体は大したものでは無いが、それでも魔術の直撃に無傷の淳に動揺し、少し動作が遅れ防戦に転じるバルマー。
「糞がっ!」
毒づきながらも、何とか剣を出し斬檄を防ぐバルマー。だがしかし、徐々にではあるが気持ち攻撃の速度が上がってきている。
(……………なんじゃコイツ、心なしか攻撃速度が…………)
淳の攻撃を防ぎながら、一瞬そんな事を脳内に過らせる。すると、そんなバルマーの意識を読んだのか更に淳の攻撃スピードが上がる。
「くっ、ワレェ!」
呻きながらジリジリと後退。気持ちは折れていないがそれとは逆に戦闘の雲行きは怪しくなってくる。
「C級ですが、まだまだスピードはあげられますよ」
剣を振るいながら、飄々とそんな事を口にする淳。と。
「ぬかせぇやワレェッ、C級風情があんま調子に乗んなやぁコラァ!!」
自身の状況も何のその、バルマーは淳の剣檄を防ぎながら罵声をあげる。が、それを聞いても淳は動揺する素振りも見せず、淡々と攻撃を続ける。
淡々。その継続作業の様な斬檄は次第にバルマーの目を馴れさせ。ついに。
「もう慣れたんじゃワレェッ!!」
怒声と共に一撃を回避。回避と共にバルマーは剣に力を込めて、上段から反撃を加えようとした刹那。パンッパンッ!と、乾いた破裂音が響き渡る。
「ぐっ!!」
いきなりの事で一瞬何事かと思ったバルマーだが、不意に身体のバランスを崩し地面に倒れ込む。
「いやはや、まさかこんなに上手く行くとは思いませんでしたよ」
そう言って、安堵の息を吐き出しバルマーを見下ろす淳。当のバルマーは、そこでやっと自分が地面に倒れていることに気付き、同時に両太腿に激痛を感じる。
「ワ、ワレェ……何さらししよんじゃコラァ………」
地面に倒れ、睨み付けながら淳に問いかけるバルマー。すると、そこで始めて、右手に持っていた剣とは逆手、左手に微量の魔力反応を感じる。と、その視線に気付いた淳はうっすらと微苦笑を浮かべ。
「いや、まぁギリギリまで隠していましたからね」
と、袖口から拳大程の拳銃を取り出す。
「何だそりゃぁ……」
激痛に耐えながら、バルマーはゆっくりと回復魔術を行使しようとする。が、それを確認した淳は薄ら笑いを浮かべ。
「一様回復は出来ないように、阻害術式を展開してますから、当分回復は無理ですよ」
至極当たり前の様に告げておく。
バルマーとの戦い決着。




