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探知

閲覧ありがとうございます!

1830時


たまたま異世界事務所(仮称)に顔を出したのは淳だった。


「どうも、近くに寄ったんで顔を出そうかと思いまして……」


淳が入り口側の扉を開けると、そこにはマリアとマリナが対面する形でソファーに腰掛けていた。


「あら、淳じゃありませんの?どうかなさいまして?」


と、今気づいたのかマリアが淳に反応。淳も呼ばれて軽く会釈し事務所内へ。


「アレっ、マリナさんですよね?どうしたんですか?」


そう言って、一度だけ行動を共にしたマリナを確認して淳が質問。すると。


「まぁ、色々とあってね、姉さんに相談にきたのよ」


と、マリナがそう言った瞬間、一瞬だけ淳が不信げな表情でマリアをみる。


「な、なんですの?言っときますが私は今回無関係ですのよ!」


「じぃぃぃ……」


「まぁまぁ、千鳥君だったよね、姉さんは今回本当に関係ないの、確かに色々裏でやらかすけど……」


「ちょいちょい、マリナちゃんまで何を言い出しますの!私は何時でも清廉……」


「潔白ではありませんよねぇ………」


マリアの言葉を遮り淳。と、そこで。


「そうだ千鳥君、研修だと思って私の手伝いをしてくれない?」


「手伝い?」


「そう、恥ずかしながらコッチの世界にはうといからね、地理に明るい人が必要だと思うし」


「なる程……解りました研修生、千鳥淳チドリ ジュンご協力させてもらいますよ」


そう言ってマリナと淳は握手をかわす。



歩道


「カイラス・クインス……ですか?」


「えぇ、Bクラス上位よ、魔術抜きの近接戦闘なら私より上かもね……」


「魔術抜きが前提なら、マリナさんが負ける事はないでしょう?」


「ヴォバックならね」


「………?」


「言葉通りの意味……」


と、マリナが肩をすくめて意味深な言葉。それを聞いて淳か表情を曇らせ。


「まさか……使えないんですか?」


「えぇ、そのまさか、一様ギルドの取り決めで、日本での魔術使用は禁止なの……」


「それはまた何か理由でも?」


淳がそう言い返す、確かに淳からすれば魔術も万能な武器、それを使わないのはおかしいと思うもの。しかし、マリナは。


「確かに魔術は攻撃方法としては優秀ね、でも日本のこんな街中で使ったらどうなるかしら?そもそも日本には魔術なんて概念がないのでしょ?パニックになるわ」


「そう……ですね」


「勿論例外が無い訳じゃないのよ、例えば強力な結界魔術士がいる時とかは使えるし」


マリナが条件を付け加え説明。結界魔術士の結界内なら魔術を使うことも出来るらしい。


「で、今回は結界魔術士不在で、魔術はNGと言う訳ですね」


「ご名答!」


歩道を歩きながら二人はそんな問答を行う。が、淳にはまだ疑問が残る。


「マリナさん、非常に言いにくいのですが……」


「何?」


「その衣装は……」


と、言いにくそうに淳が服装を指摘。が、当のマリナは気にした様子も無く。


「姉さんが用意してくれたのよ、ヴォバックでの服装じゃ浮くからって、ん?変かしら?」


そう言ってマリナは自身の服装を見やる。どうやら本人はまんざらでもないようだ。


(セーラー服って……)


ツッコミたい気持ちを抑え、淳はマリナの服装を改めて見る。


スカートの短いセーラー服。

似合ってはいるが……

マリアの趣味だろうか……

マリナは何も知らずに着ている、ハッキリと言いたいところだが、妙に似合っているので何も言わずそっとしておく。


「まっ、まぁ服装はさて置き、クインスを探すあてはあるんですか?」


ちょっと気まずくなって淳が話題をかえる。勿論それにマリナが気づく様子もなく。


「そうね……ヴォバックならギルド情報網で比較的情報が集まりやすいんだけど、日本なら魔力探知しかないわね……」


「魔力探知……ですか?」


「えぇ、日本は魔力素養のある人間が殆どいないから、範囲は限られるけどかなり有用な方法になるわ」


「なる程、こちらの世界の人間は魔力が無い人間が殆ど、なら魔力か飛び抜けているヴォバックの人間なら、直ぐに足が着くと言うわけですね」


「正解!」


理解の早い淳に笑みを浮かべ、マリナは魔力探知を開始する、直ぐに見つかる訳では無いだろうが、それでもかなり可能性はあるはずだ。


「それにしても魔力ですか、本当にファンタジーですね……」


ヴォバックに行った淳ですら、日本に戻れば未だに信じがたい事実。だが今目の前には日本人では無いマリナがいる。


「まぁ、私からすると魔力も持たない人たちがコレだけの文明を持っているのがファンタジーだわ……」


探知をかけながら、マリナも日本の感想を口にする。その間も周囲の男達がマリナをチラチラと見ている。


「まぁ、目立ちますからね……」


「ん?」


周囲の男達を見て淳が呟く。それを聞いていたマリナが、何事かと聞き返すが、淳は何もないと言い返す。


………


……………


「この辺りにはいないようね………」


集中を止め、マリナは目をあける。


「じゃあ次ですね……」


淳がそう言って一歩踏み出す。時間は午後7時をすぎた辺りだった。

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