パンプキン
「南の瓜と書いてカボチャと読む野菜」の中身の色です。ていねいに説明をすると逆にややこしくなるため、シンプルにカボチャといったほうが分かりやすいですね。色名は果たしてパンプキンで合っているのだろうか。パンプキンオレンジと言ったほうがよいかと思われますが、オレンジという単語が後ろにつくのは個人的にはいただけない。同じ色相とはいえ向こうは果実であり、まったく異なる種類の食べ物です。イメージがかち合うのを避けるために、ここではパンプキン色もしくはカボチャ色としましょうか。
ひとまず、カボチャといえばハロウィンですね。主にジャック・オ・ランタンとして使用されています。由来は、カブの代用です。ジャックのほうは、要約すると――
「ジャックは乱暴者だったため、天国にいけなかった。元きた場所へ戻るためにカブ(の中に火の塊を入れて)提灯を作って、暗い道を照らした」
こんな感じでしょうか。ハロウィン発祥の地ではカブは馴染みがなかったため、よく採れたカボチャをかわりに使いました。
また、ハロウィンは悪魔を祓うイベントとして行われていました。ジャックの持っているランタンは魔除けの火です。そんなわけで、発祥の地では野菜をくり抜いて作ったランタンを悪魔除けとして飾りました。
今日ではハロウィン=カボチャで、カブのカの字も出ませんよね。正直、一〇月三一日に行われる祭としては、オレンジ色をした野菜のほうが合っていると思います。そもそも、カブは果たして秋に取れるのか……と検索したところ、旬は春と秋のようです。使われていたとしても、不自然ではありませんね。ただし、ハロウィンの主役として使われると違和感があります。白状すると、カブの旬を検索するときに無意識のうちに「貧相」と傍らに打ち込んでいました。
それはともかく、というか抜きにしてもカボチャは華があるなと感じる今日このごろです。観賞用があるのはカボチャくらいではないでしょうか。
鑑賞に使われるほうの見た目はオレンジ色です。日本でよく見かける緑色ではありません。そういえば、食用は緑色だけど祭で使われるカボチャはオレンジ色だったな、と思い出しました。意外と失念してしまうのですよね。
皮が緑色のほうは料理に使われると和風という雰囲気で、オレンジ色のほうは洋風です。『外国』という感じがします。もっとも、ただの観賞用であるため、味は甘くはないようですが。
ちなみに、日本カボチャと西洋カボチャの違いは前者がデコボコとしているのに対して、後者はボールに近い形をしています。流通量が多いのは西洋カボチャのほうのようですね。
いったん、ハロウィンから離れます。
意外とカボチャに関しては、語ることが多いです。いったい、どこから話せばいいものやら。
ひとまず、味に関して。
料理はカボチャパイ・カボチャプリン・かぼちゃの煮物・ポタージュなどですかね。野菜らしくない味であるため、子どもでも食べられそうですね。
生のままだと硬くて包丁を入れるにも一苦労ですが、温めるとホクホクになります。雰囲気は、まろやかといいますか、クリーミーといいますか。お菓子のイメージも強いです。そのままでも甘いため、代用ができますが、恋愛を連想するかと言われると少し違いますね。デザートの材料として使う場合は、そういったところも有りかもしれませんが。
イメージはほかにも「濃厚」「温かみ」「ナチュラル」など、色々とあります。
あとは、やけに海外でスラングとして「Pumpkin」という単語が使われていますね。よい意味では「大物」だったり、「あいつは堂々としている」だったり、「愛しい人」です。悪い意味では「頭が大きい」「おろかで間抜けで無能」「田舎者」など。
カボチャの特徴を鑑みると、納得する部分もあります。「頭が大きい」はパンプキンヘッドからでして、文字通りですね。カボチャは野菜の中でも大きめですし、重たいです。「田舎者」もなんとなく、分かるような気がします。「カボチャの煮物」はどことなく、田舎を連想します。
ほかにも「愛しい人」という意味もありますね。状況によって使い分けましょうか。
象徴はいろいろとあります。夢占いを元にすると、ほかの野菜と似たような感じでした。強いて特徴を上げるのなら、カボチャ(ランタンに使われるもの)は中身が空っぽですよね。それで、中身がない薄っぺらい人という意味になります。頭でっかちで中身が空っぽって救いようがありませんね。
冬至に無病息災を祈って食べられるところから、「健康」という意味もあります。海外でも「健康」に関する伝承がちらほら見受けられました。
ひとまず、真偽はともかくとして、納得できるものを象徴・イメージとしてまとめると、こうなります。
「温かみ」「濃厚」「まろやか」「クリーミー」「ナチュラル」「秋」「不気味」「豊穣」「収穫」「成果」「甘い」「多産」「健康」「中身がない」「田舎」「和風」「デザート」「しっとり」「ホクホク」
少々抽象的すぎますかね。もっと、掘り下げますか。しかしながら字数がいい加減多くなってきましたので、控え目にいきます。
「温かみ」:思いやり・親切・真心。
「濃厚」:こってり・贅沢・くどい・過剰・けばい。
「まろやか」:穏やか・調和・上品。
「クリーミー」:柔らか・なめらか。
「中身がない」:無知・口だけ・おろか者。
一部、すっ飛ばした。ざっとこんな感じでしょうか。
色名に関しては小説にはまったく出てきません。使い方はカボチャを使った食べ物の形容に用いるのが無難でしょうか。おいしそうでいいじゃないですかね。




