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28話


「やっと着いたね」


ルスクの背に乗りながら下の風景を見て、祭が呟いた。


「本当にやるんですか?」


何度目になるか、ルスクは祭に確認をとる。


「仕方ないよ。もう、行くとこないし」


「ハハハ、相変わらずお袋はメチャクチャだぜ」


「・・・笑い事じゃない」


「そうです、笑い事じゃないです。これ、下手すれば今よりマズイ状況になりますよ?」


「大丈夫、大丈夫。絶対成功させるから」


祭はそう言うが、ミディアとルスクは、不安そうな顔をする。


「取り敢えず、王城に行こうか」


ルスクに祭は指示をして立ち上がる。




目の前には、見たことのある街が広がっている。


街の周りは巨大な砦に囲まれ、中央に出来た外壁が白一色の王城を囲むように白や茶等といった屋根の建造物がとても印象的だ。









そう、ニストゥル王国の王都である。









☆ ☆ ☆ ☆ ☆






「ルスク、ここからは私一人で行くから」


王城が下に見えて来たため、祭がルスクに言った。


「本当に大丈夫ですか?・・・・・・・・・・・・・・・・主にこの国が」


「だから大丈夫だって、絶対に誰も殺さないから」


「・・・不安」


「なんならオレも一緒に行こうか?」


「ダメダメ、ロウは私より怒りっぽいんだから」


そう言うとロウは不満そうな顔をしたが、何も文句は言わなかった。


「それじゃ、行ってくるね」


そう言って、上空から魔装を展開して飛び立つ。


スミルの作ったこの魔装は、闇魔法以外にも風魔法が付属されているため、飛ぶことが出来る。

飛ぶ速度は、ルスクの半分にも満たないが、下降するだけならば十分だ。




「っと、やっと着いた」


祭が降り立ったのは王城の屋根。


屋根まで白く、浄化魔法を掛けてあるのか、汚れが見当たらない。


「取り敢えず中に入らなきゃね」


屋根に自分が入れるほどの穴を空け、その中に滑り込むように入った。


「きゃっ!」


祭が入ったのは廊下だったらしく、真っ赤な絨毯の上に飛び降りた。


その場所に運悪くメイド服姿の侍女が通りかかり、小さな悲鳴をあげた。


「あ、ごめんごめん。驚かせちゃった?」


「えっ、いや、その・・・」


いきなりの事に完全に頭が混乱しているようだ。


「それじゃ私急いでるから」


そう言い残し、祭はその場をあとにした。






「多分、あそこだね」


『気体』で城内の構造を把握して、会議室的な場所を祭は見つけた。


「それじゃ行こ「待てっっ!!」


走りだそうとすると祭が背後から誰かに怒鳴られた。


「何者だ!!」


その言葉を聞き、祭は心底面倒くさそうな顔をして溜息を吐いた。


後ろを向くと、甲冑姿の騎士が剣の柄を握っている。


「もう・・・面倒くさい事になっちゃったなぁ」


適当に気絶でもさせようかと考えていると、今度は他の声が聞こえた。


「待ってくれ!その人は私の客人だ!」


背中に大きな大剣を背負い、腰ほどもまである金髪。


アリシアだった。


「アッアリシアさんの!?失礼しました!」


騎士は、頭を深々と下げて謝罪した。


アリシアは、その騎士「もういい」と言うと、騎士はどこかに行ってしまった。


「で、マツリさん。こんな所で何をしているんですか?」


腰に手を当てて聞いた。


「いや、ちょっとね」


「ちょっとねって・・・この国を出て行ったんじゃなかったんですか?まだ戦争は終わってませんよ?」


「分かってるよ。その事で来たの」


そう言うと、アリシアは首を傾げた。


「取り敢えずさ、アリシアさん国王の居る場所知らない?私、国王に用があるの」


「国王に?居場所は知っていますが知ってどうするんですか?そんなドレスを着て・・・」


祭が身に着けている、黒をモチーフとしたドレスを眺めながら言った。


「これ?これは魔装だよ。今から必要になるの」


「魔装って・・・、よくそんな物起動させられますね・・・」


呆れ半分、驚き半分の様な顔をしてアリシアは祭に言った。


「なんでいいけど早く国王の居場所教えてもらえる?私の『気体』じゃ見たこと無い人まで特定するのは無理なんだよ」


「はぁ・・・、その『気体』とやらが何かは知りませんが、流石になんの用事か教えてくれないと教えられませんね」


その言葉に祭は少し困った顔をした。


そして重い口を開いた。


「私はね、この国を脅迫しに来たの」





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