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【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します

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32 さあ、難民救出作戦を始めましょう 3

 その場に思わずへたりこみそうになる私の腕を、ヴィネ様の両手が優しく支えた。


「大丈夫か? エレイン」

「だ、大丈夫なんかじゃありません。まだ、慣れません……その、『妃(・)殿(・)下(・)』という呼び方も、陛下が急に現れるのも……」


 首都カーコードウィからポートンドリーまでは、馬車で三時間ほどの距離がある。

 ヴィネ様が転移魔法を自在に扱えるのは、頭ではわかっているものの、突然、背後に立たれると、やはり動揺は抑えきれない。


「まあ、慣れてくれ。術士の転移魔法による受け入れも順調に進んでいるようだ。先ほど、そちらも視察して来たところだ。明日からも、公務の合間に、そちらと、この港の様子も見に来る予定だからな。そ(・)な(・)た(・)の(・)顔(・)を(・)見(・)に(・)来(・)る(・)つ(・)い(・)で(・)に来るのだ、驚かないでくれ」

「……!?」


 ヴィネ様の言葉に、また、私の心臓が大きく跳ね上がった。

 私のことをからかって遊んでいるのだろうか。

 これは、意図しての言葉なのか、無意識の言葉なのか。

 ヴィネ様の表情からは、その真意をまったく窺い知ることができない。


 確かにヴィネ様から私への好感度の数値は確実に上がっている。


 この好感度を見ることができる能力について、最初は、とても便利だと感じていた。

 前世で、ゲームをプレイする際にも、好感度の数値がどこまで伸びているのかを確認しながら、攻略を進めたものだ。

 攻略サイトを確認しつつ、恋愛ルートに必要なだけの好感度をゲットした上で、慎重にゲームを進めて行くというのは、乙女ゲームを進めていく上での常道ではある。


 しかし、実際に乙女ゲームの世界に転生してみて思う。

 『ゲームと現実は違うのだ』と。


 知力や筋力といったパラメーターと異なり、人の感情は数値化するのが難しいものだ。

 人の感情なんて複雑なものを、そもそも詳細に数値化などできるものではないのだ。

 さらに、その好感度をどのように表現するのかは、キャラの持つ性格によって大きく異なる。

 これは、乙女ゲーム一般に言えることだが、たとえ好感度が高くても、ツンケンした台詞しか口にしないキャラだっているし、好感度が低いうちから激甘な台詞を口にするキャラもいる。


 神の視点でも手に入れなければ、ヴィネ様の本心はわからないのだ。

 あるいは、本人から告白でもされなければ――その本心はわからない。

 私は、ずっとヴィネ様の手の上で踊らされているような気がする。


(“推し”っていうのも、別に、軽い気持ちではなかったつもりなんだけど……。本気で人として好きになると、こんなに苦しいものなのかな)


 私は、そっと溜息を吐いた。

 そんな私を見下ろし、ヴィネ様は、涼しい顔で笑顔を浮かべている。

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