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【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します

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23 え? 突然、「妃候補」にご指名ですか?

「エレインは、私の“妃候補”だ」というヴィネ様の発言は、私がこの会議に参加することを皆に納得させるための演技だ、ということはわかってはいる。

 それでも、鼓動が早まるのを抑えられない。

 確かに、ここ最近、ヴィネ様から私に対する好感度は急激にアップした。


 現在の好感度は28。

 初めて逢った時から、短期間で随分と上昇したと思う。

 だから期待してしまうのだ。

 これは、真実の求愛かもしれないと。


 とはいえ、いきなり求婚を承諾されるほどの好感度には達していないはず……と思うのだ。

 いや、それとも──。

 その言葉の中には、ほんの少しの真実が含まれていると期待してもよいのだろうか。

 本来なら部外者であり、追い出されて当然の私をこの場に残らせようとしてくれているのだ。

 少なくとも、私の“知恵”には期待してくれている。

 そんな夢ぐらいならば、見ても許されるだろうか。


 私をこの会議に出席させることだけが目的なら、いくらでも他に言いようがあったはずだ。

 たとえば、


「聖カトミアル王国の情勢を聞き出すために、エレインをこの場に残らせる」


 とでも言っておけばよい。

 それをわざわざ、「妃候補」と言ってくれたのだ。


 頭の固い重心たちを納得させるためにやむなくついた嘘なのだと頭ではわかってはいても、昂る感情を抑えきれない。

 私の胸の鼓動はやまず、高鳴り続けている。

 と、同時に期待し過ぎたらダメという自制心も働き、心底喜ぶことができない自分も同時に存在しているのだ。


(期待し過ぎたらダメだって! 後でガッカリしてしまうかもしれないから……。

 いや、でもちょっとは心のどこかで『妃に』と考えてくれていなかったら、そもそもそんな言葉は出てこないでしょう?

 ああ、もう、わからない!

いったい、どういうことなの!?)


 好感度の数値が見えているというのに、ヴィネ様の真意は見えない。

期待と不安が入り交じり、頭の中でグルグルと回る。


「ベルク、私のすぐ隣に、急ぎエレインの席を用意させよ。妃候補としてふさわしい席を」

「はっ、かしこまりました」


 ヴィネ様のすぐ傍に控えていたベルクは、椅子を取りに走った。

 ヴィネ様のすぐ隣、広間の中でも一段高くなった場所に、私の席が急遽設(しつら)えられる。

 先ほどまで座っていた木製の何でもない椅子とは異なり、玉座の隣にふさわしい、天鵞絨(ビロード)張りの豪奢(ごうしゃ)な椅子である。


「エレイン、さあ、私の隣に来なさい」


「は、はい……」


 緊張の余り、思わず声が上(うわ)ずる。

 私は、どこまで期待してよいのだろうか。


 ヴィネ様の声に誘(いざな)われるように立ち上がろうとした私を、不粋な声が遮った。


「しかし、それにしても陛下、これは軍議ですぞ。軍議であれば、たとえ妃であったとしても、参加しないのが我が国の慣例。戦に関わることは、女性が参加せずに決めることがこの国の、古くからの習わしであったはずでございます」


 いかにも武人らしい逞しい体躯を持つ初老の男性が、意義を唱えたのだ。


(まあ、そううまくはいかないわよね……。皆がすぐに受け入れてくれるわけはないわ)


 立ち上がりかけた私は、再び、肩をがっくりと落とし、小さく溜息を吐(つ)きながら椅子に腰を下ろした。


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