↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/101

19 医師への誓い。必ず仲間たちを救います!

 ジャンやヴァレリーが、何かよからぬ企みを持っているのなら、何としてでもそれを阻止したい。

 私は拳を強く握りしめる。

 そんな、私の思いを読み取ったかのように、ヴィネ様は医師に語りかけていた。


「これからのことは我々に任せてひとまず休め。今後の始末については、我々が考えよう。

 ベルク、この者の傷がよくなるまでの間、滞在できるような部屋を準備してやってくれ」

「はい、かしこまりました」

「試験は、傷がよくなってからゆっくり受けてくれればよい」

「あ、ありがたき幸せにございます……」

「医術による手当てを行ったゆえ、不要かもしれぬが、念のため私からも回復魔法もかけておく」


 ヴィネ様が呪文を唱えると、男のもとに天から眩い光が降り注いだ。


「さあ、メイヴの煎じた薬も飲むとよい」

「ありがとうございます」


 苦しそうにあえいでいた男の頬にすこしばかり赤身が戻る。男は、嬉しそうに表情をほころばせた。


「おそらく、そなた、医学については最新の知識を持っていそうであるな。伝染病の仕組みを、理解しているような口ぶりであった」

「私の推測が正しいかどうかはわかりませぬが……」


 謙遜する男に、私は断言する。


「いいえ、正しいわ。この世界には回復魔法が存在するから、確かに魔法で多くの怪我や病気も癒せるかもしれません。現に今も、陛下の回復魔法により、あなたは楽になったように見えます。

 しかし、病気になってから回復するより、病気にならないことを目指した方が効率的だと思います。ですから、予防法を皆に教えたあなたは正しいと私は思っています。具合が悪くなるのを未然に防げる手立てがあるならば、防いだ方が得策というものでしょう。

 回復魔法の使い手がどれだけいるのか、詳しくはわからないけれど……。たとえば、国中の人が病にかかったら、どうすればいいんですの? 回復魔法の使い手まで、病に倒れたらどうするのです? そうならないために、あなたは予防を皆に働きかけてくださっていたのでしょう?

 それを阻止する権利は誰にもないはずよ。なぜ、それが異端なのか、私にはわからないわ」

「エ、エレイン様……そうなのです……、でも、誰も理解してくれなかった……」


 男の目には涙が滲んでいる。

 私は、手当の邪魔にならない場所に跪くと、男の手を握った。


「あなたには、是非、この国で医学の研究をしていただきたいですわ。あ、もちろん、試験を受けていただいてから、ということにはなりますけれども」


 他の者の手前、急いで試験のことを言い添えたが、先ほどまでの会話とステータス画面の確認だけで十分だった。ステータス画面に見える、この者のずば抜けた知性であれば、十分に医学の進歩への貢献が期待できる。


「あ、ありがとうございます……エレイン様。申し遅れましたが、……私は、モーリス・ルニャールと申します」

「モーリス先生ですね。よろしく頼みます」

「はい、エレイン様」

「私からも、よろしく頼みたい。そして、先ほどのそなたの願いについても承った。大陸に残る、そなたの仲間たちを救う手立てを皆と相談して考えてみよう」

「あ……ありがとうございます! 噂は、本当だったのですね……アヴァロニア王国の国王陛下は……民の味方だと……ここまで来てよかった……」


 モーリスの頬を、一筋の涙が伝う。


「そこまで大げさなものではない。ただ、そなたの話から、大変なことが起きているのがよくわかった。迫害され苦しんでいる民がどこかにいて、国外からでも何か手を差し伸べられるのであれば、君主としてできることをするまでだ。それが、国を治める者の務めであるというだけのことよ。できるだけ早く、迫害を受ける前に、亡命できるように手助けをしたいと思う」

「あ、ありがとう……ございます……」


 男は歓喜のあまり、嗚咽した。


お気軽に評価やご感想をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。