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【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します

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30 籠城戦にはジャガイモがおすすめです

「このジャガイモは、寒冷地に強い作物です。現在、小麦や大麦の栽培が困難な地域でも、十分に栽培が可能かと思います」

「なんと、そうなのか! それは、朗報だな。北部の食糧問題が解決できるではないか」

「そうですね。さっそく、麦の育ちにくい北部地域での栽培を始めてみましょう」


 喜色満面、笑みを浮かべるヴィネ様の横で、セパルも頷く。


「それと、もうひとつ。ジャガイモは長期間の保管に最適な作物です。しかも、収穫することなく、土の中で保管できるのです。小麦や大麦は、収穫時期が来たら刈り取らなければなりません。刈り取って脱穀したら納屋や倉庫に、まとめて保管するしかありませんよね。しかし、万が一、戦になった時、それでは、『ここに我々の食糧がありますよ!』と喧伝しているようなものです。その目立つ食料庫を焼かれたら一巻の終わり。簡単に兵糧攻めでやられてしまいます」

「確かにそれはそうだが……、今までは、そうやって保管するしか方法がなかったのだ」

「ええ、それはおっしゃる通りです。麦は収穫時期が来たら刈り取る必要があり、放っておくことはできません。放置すれば、品質は落ちる一方です。しかし、このジャガイモは土の中に保存できます。土の上に見えているのは草のみで、ジャガイモのことを知らなければただの雑草にしか見えません。敵も、まさかこの下に食糧が埋まっているとは予想だにしないでしょう。食糧と思われなければ、焼かれることもありません。

 それにもし、麦畑が戦場になれば、その畑の麦は兵士たちに踏み荒らされて、せっかく育てた麦も台無しになってしまうことでしょう。一方、ジャガイモならいくら踏み荒らされても、問題ありません。食用にする部分は土の中に埋まっていますから。土という天然の貯蔵庫で、食べる直前まで保管できるのです」

「なるほど! 首都をはじめ、各城塞都市にジャガイモを大量に植えておけば、籠城戦にも耐えられるということか!」

「はい、そういうことです」


 ヴィネ様の、仮面の向こうの瞳が大きく見開かれた。


「よくやった、よくぞ教えてくれた、エレイン!」


 満面の笑みを浮かべたヴィネ様の胸元で、またハートが舞っている。

 今度は複数のハートだ。

 一気に、3つのハートがふわふわと飛んでいた。


「セパル、これは“悪魔の果実”などではないぞ。むしろ“神の果実”、“幸運をもたらす果実”だ!」

「ええ、おっしゃる通りですね」


 ジャガイモ以外にも、一見、食糧に見えないものの、有事には兵糧に変わる便利な植物は他にもある。

 有名なのは、熊本城に加藤清正が植えたイチョウの木だろう。加藤清正は、兵糧攻めにあった時も、銀杏(ぎんなん)で飢えをしのげるようにと、城内にイチョウの木を植えたと伝えられている。

 もしアヴァロニア王国内でイチョウの木を見つけたら、街路樹として利用してもよいかもしれない。

 道路の整備をする際に検討してみよう。


 このように、少しずつでも、国内の食糧生産高を上げていくと共に、聖カトミアル王国が攻め入って来た場合の籠城戦も見越した上で準備を進めていけば、シナリオの改変も可能ではないか。

 地道に準備を重ねることで、アヴァロニア王国のゼロだった勝率を少しずつ上げていく。そんな夢みたいなことも決して不可能ではないだろう。


(シナリオ通りには進ませないわよ!)


 私は、心の中でジャンやヴァレリーに対して、拳を握りしめ反撃を誓った。


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