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【第一部完結】魔女として断罪された悪役令嬢は婚約破棄されたので魔王の妃として溺愛されることを目指します  作者: 中臣悠月
第三章 内政チートで魔王の国を改革! 魔王からの好感度アップを目指します

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20 セパルの荘園を視察して改善策を考えましょう

「到着いたしました、陛下、エレイン様。陛下におかれましては、転移魔法で移動されればすぐでごさいますのに、馬車で長い道中をお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました」

「ああ、エレインの話を聞きたかったのでな。おかげで退屈せずにすんだ。ゆったりと移動するのも、たまにはよいものだな」

「あ、ありがとうございます」


 馬車を降りると、そこにはのどかな田園風景が広がっていた。


「ここは、私が陛下から賜っております荘園の畑のひとつでごさいます」


 それまで農作業に精を出していた民たちは、ヴィネ陛下の姿を認めると、一斉に仕事の手を止めて、その場に跪く。


「ああ、よいよい。続けよ。我々のことは気にしなくてよいぞ。今日はお忍びで参ったのだ。後で話を聞かせてもらうかもしれぬが、それまではそれぞれの仕事を続けるがよい」


「はい」

「かしこまりました」


 ヴィネ陛下の言葉に返事をすると、民たちは再び、先ほどまで行っていた作業を始めた。


「ここでは、おもに小麦と大麦を栽培しています。夏と冬で育てる作物を変えているのです。今は、夏なので大麦を栽培しているところです。休ませている畑では、あのように羊や牛を放牧しています」


 セパルの説明を受けながら、私たちは畑の周囲を歩いて巡る。


「休ませている畑……ということは、この地域ではもう三圃(さんぽ)制の農業は行われているのですね」


 前世で通っていた高校の世界史の授業で聞きかじった程度の知識でしかないが、確か三圃制は二圃(にほ)制に比べ、生産性を高めることのできる農業の方法だ。

 休耕地を設けることで、土地が痩せるのを防ぐことができるのである。


「ええ、そうですね。休耕地を設けていなかった昔に比べると、土地の痩せた我が国でも、穀物の生産量が上がったと、国の記録には残されています」


「土地を耕すのには、牛や馬を使っていますか?」


「はい、犂(すき)に車輪を付けた農具を、牛に引かせています」


「なら、この地域では、これ以上、生産性を高めるのは難しそうですね」


「そなたが暮らしていた前世でも、農業はこことさほど変わらず、あまり進歩はしていないということか?」


「いえ。農薬を使って害虫を駆除したり、化学肥料を使って土地を豊かにしたりといった進化はしています。しかし、それには化学の進化が必要で、正直に申し上げると私にはそこまで化学や薬に関する専門的な知識がないのです。また、化学肥料や農薬を使った農業が必ずしも良いことばかりとは限らず……。前世の、文明の進んだ世界でも、有機野菜と言って昔ながらの農法で作られた野菜の方が、高価ではあっても、ありがたがられていたと思うので、この点に関しては必ずしも進化が必要とは言えないのです」


「薬は毒にもなるということか」


「まさに、陛下がおっしゃる通りです。文明の進んだ世界では、地球温暖化をはじめ、さまざまな環境破壊が問題となっていました。たとえば、重量(じゅうりょう)有輪犂(ゆうりんすき)の代わりに、ガソリンという燃料を使って動かす農耕具も使用されていましたが、これがはたして良いことかどうか……。牛を使うより便利ではありますが、ガソリンを燃料とすることが、この世界にとって良いことかどうか、私には判断がつきません」


 これ以上、この地域で生産性を高めるのは難しいかもしれない。

 しかし、なんとか力になれることはないだろうか。

 私は、前世の記憶に思いを巡らせた。


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