13 ヴィネ陛下、税制改革を進言します
「恐れながら、アヴァロニア王国は、あまり豊かな国ではないかと……。現在の税制はどうなっているのですか、セパル様?」
「人頭税と土地税です」
「それは、一律ですか?」
「はい」
一律の税率では、富める者にとってはたいした金額でなくとも、貧しい者にとっては大きな負担になりかねない。
前世の日本で、消費税の増税が問題となっていたのは、誰もが消費しなければならない生活必需品にも一律の税が付加されることで、結果的に収入の少ない世帯の家計を圧迫させることに繋がっていたためだ。
「国を豊かにさせ、民の暮らしも豊かにさせるためには、税率を収入ごとに変える必要があるかと存じます。現在の一人頭いくらという一律の税制ではなく、富める者からは多くの税を徴収し、貧しい者の税は免除する、もしくは国が何らかの補償を与えるのです。小さな子どもを育てている間は、何かと物入りになりますし、その子たちが働き手となるまでの間は、税を免除してもよいかもしれませんね」
「なるほど……、相当、計算に長けた者を税務官として任命する必要はありますが」
「ほう……、それでもやってみる価値はあろうな」
セパルだけではなく、ヴィネも頷きつつ同意してみせる。
「それと、土地についても、たくさんの穀物が取れる土地もあれば、痩せていて実りの少ない土地もあることでしょう。これらに対して同率の税を課すのは不公平となります。穫れ高に対しての税を課すか、土地のランク付けをしてみてはいかがでしょうか」
土地のランク付けとは、前世で言うところの贈与税や相続税を決定するにあたって使用する路線価のようなものだ。
「なるほど、これもまた、正当に土地の価値や穫れ高を評価することのできる、優秀な官吏が必要というわけですね」
確か、前世の戦国時代で、天下統一を果たした豊臣秀吉は計算に長けた者たちを官吏として重用したのではなかったか。豊臣政権下で五奉行として活躍した石田三成もその一人だ。
豊臣秀吉が、近江商人たちが多く暮らしていた近江から、側近を多く取り立てていたのは、長浜城に拠点を置いていたという理由ももちろん大きいが、近江には算盤や帳簿を得意とした者が多かったからだとも聞く。
なぜ、私がこんなことを知っているかというと、ゲーマーでオタクだったためである。
そのおかげで、戦国時代の知識については、おそらく前世のふつうのOLよりも詳しいはずだ。
「累進課税制度……収入に見合った税を課すとしたら、おそらく、帳簿をつける能力がなければ難しいかと思います。商人から官吏に取り立てるのもよいのではないでしょうか。それと……」
石田三成で思い出したが、計算機や表計算ソフトを作るのはさすがに不可能だが、彼が得意としていた算盤ぐらいなら、私でも再現することができそうである。
「計算に使用する、算盤という道具を作ってみたいのです」
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