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第67話 チェックメイトだよな??

またしても、長くなってしまった……すいません。

(だって……三年生編のためにも書きたかったんです……)



色々と考えていたら、2日目になっていた。


またしても寝ていないぜ……

3徹くらいは、体がもつから大丈夫か……


とりあえず、なんの意味があるのかわからないラジオ体操を行い、飯を食って、準備は万端だ。



今日は、班行動なので、修学旅行らしくて、楽しみだぜ。

グループ行動の始めの話題は、昨日付き合った、高安と数井さんの話題であった。


みんなでいじりつつ、祝うという、陽キャグループのようだった。

でも、普通に陽キャっぽいよな。6人のうち4人が付き合っているなんて。


みんなも、『あとはお前らだけだな』と言うことを口には出さないが、視線や態度を向けてくる。

ありがたいと受け取っておくよ。


今日の目標は、修学旅行を楽しむことと、昨日微妙だった、陽菜さんの好感度を上げることだ。


俺らは、メジャーな場所を回った。


川をみたり、竹の中を歩いたり、猿と遊んだり、食べ歩きしたりと、昔、妄想していた、経験をした。


今の俺は、本当に幸せだ。

編入してよかった。


京都には神社が多かった。

俺らは、近くにあった神社に行くことにした。

学問の神様とやらがいるらしい。


須子が、珍しく、真剣にお祈りをしていた。


「何をそんな真剣に祈ることがあるんだ?」

「もちろん、身長大きくなることだけだ!! チン長もしっかりお願いしたがな!」


ここ、学問の関係だぞ。


「高校生では、もう伸びないだろ」

高安が呆れながら、須子に直球で答えた。


「そんなこと……はない……はず!! なあ、そうだろ? ……月城?」


「本当は『伸びない!!』と乗りたいところなんだが、高校生で死ぬほど伸びたやつを知っているんだよな……」


「ほらな!! ほらな!!」


「あ、でも、そいつは、高一の始めだったからな。高二じゃ無理だな」


「なんだよ!! ムッキーー!!」


「まあ、牛乳でも飲んでおけば、いいんじゃね?」


「なるほど。母乳ね」


「後で、清水寺から落とすしかないな」

「賛成だ」


「二人してやめてくれ〜〜!!」


須子に言ったのは、慰めるわけでもなく、冗談でもない。

弟の話なのである。


中学3までは、俺の方が高かったんだ。

個人的には、高身長じゃなくて、安心していたのに、中3の最後くらいから、高一にかけて、10センチ以上伸びたからな。

まじで、死にたくなったぜ。

それからと言うもの、弟のモテ度合いは、本当におかしかった。

本当に、全てを手に入れる奴だよな。


その後、俺らは、清水寺に着いた。

みんなで写真を撮ったりして、楽しんだ。


俺はなぜか、本堂の構造に惹かれた。


みんなは、他の場所を見てくるとのことだった。

俺は、この場所に、少し残りたかったのだ。


もうすぐ控えている告白があるからか、『清水の舞台から飛び降りる』という言葉の語源の場所だからかな。


壮大な自然の景色を眺めて、俺も覚悟を決めていると、後ろから「げ!! キッモ! なんでお前がいるんだよ!」と懐かしい声が聞こえた。


龍上高校のカースト最上位。

女子3人グループの社長令嬢共だった。

周りには、顔の悪い女子達をパシリに使って、荷物持ちをさせている。

相変わらずだな。


まあ、どこかで会うとは思ってたよ。


俺は、無視することにした。


緊張で声が出ないと言うわけではない。

多分、今の俺なら、こいつらと話せる。


昔の俺ならダメだったかもしれない。

吃りながら返答し、バカにされていたところであろう。


もう、昔の俺ではないんだよ。

欲しい生活は手に入れた。

惨めだとバラしても、みんなそばにいてくれた。

お前らに何を言われても、もう、どうでもいいんだよ。


「あ?? なんか言えよ? 実さまとは本当に違うな。だから家も継げないんだよ。兄のくせに。学校も退学になってさーー。実さまと付き合ったら家族になるからなーー。その時は、パシリにしてかまってやるから安心しろ!!」


はいはい。楽しそうだな。

まあ、弟には、深月さんがいると思うけどな。



その後も、俺に対する暴言は続いた。


本当にどうでもよかった。

馬の耳に念仏という意味が身に染みてわかった。


そのまま無視して移動しよしたところ、「ブスが騒いでるよ!! 雰囲気に合わねーーなーー?」と随分口悪い声が聞こえるなと思ったが、聞き馴染みの声だった。


数井さんだった。



3人共は普段言われない、暴言にびっくりしながら、数井さんを睨んだが、元ヤンのような数井さんの圧力にビビってすぐに睨むのをやめた。


そして、「お金では品性は買えないね〜〜!!」と言いながら、学校モードではなくなていた、森さんもやってきた。

「りお? 口悪いよ?? みんな、わたしよりかわいいよ〜〜??」

そう言いながら、清水寺にいる人のほとんどの視線を集めた陽菜さんがやってきた。


皮肉すぎるだろう。


令嬢達にとって、この皮肉は、普段なら余裕であろう。

性格はクソでも、外見ならトップクラスだ。


ただ、相手が悪かった。

俺のいつメン3人は、全員令嬢達をはるかに凌駕する。


みんな……


いつもの3人、令嬢共から俺を守るように、俺の前に立ち始めた。


「あ〜〜どこかに、いい女いね〜かな〜〜。性欲がたまりすぎた。もう誰でもいいから、オカズいないかな〜〜」


須子がそう言いながら、令嬢達をみると、「おお!! 風俗の写メ日記のモザイク越しによくみる顔だな〜」


「あんたらこいつの仲間?? 舐めてるの? 残念ね。こいつに媚び売っても無駄よ。一条家は、こいつの天才の弟が家を継ぐの! それに、 うちらのパパの力はすごいんだからね?調子に乗ってたら潰すからね?」


「確かに、風俗で稼げたら、金はありそうだし困るな……」


「あ? パッとしないチビは黙ってて! あ、でも、あんたみたいなイケメンもいるのね。意外だは」


高安に声をかけた。


「あんま、親ガチャに頼るなよ……」

「何? 強引の感じなの? 悪くないね!!」


令嬢の一人が、高安の正体に気がついたようだった。

残りの二人に、耳元で伝えた。


「……え」


「わかった奴がいるんだな。あんま、オレも人のことを言えないがな」



気がついたら、俺の前に、5人が立って、令嬢達から俺をガードしていた。


令嬢達は、足を震えさせながら、消えていった。


「メッセージカードもらってないんだけど〜〜!!!」

逃げていく奴らに須子が追い討ちをかけていた。


みんなは仲良くハイタッチしていた。

俺も流れでハイタッチをした。


「みんなありがと。わざわざしなくても、大丈夫だったのに」


「いいの〜〜!! 遅いな〜って心配してきたらわたしたちムカついちゃって、みんな何も言わずに行動していただけ」

陽菜さんが説明してくれた。



「なあ、なあ、僕の演技もすごいだろ??」

「あれはいつも通りだろ」

「ち、違うぞ!!!」

「わかっているよ。 本当にありがと」


本当にみんなありがとう。


目がうるうるするが、おそらく、花粉か何かのせいだろ。

絶対そうだな。それ以外考えられないな。


俺の中で、過去を少し克服した気がするな。


それからは、30分くらいは、男女に分かれて行動だ。

これもまた楽しいひと時だ。男同士の時間も必要だ。


須子も、色々と、下ネタが言いたかったようだ。

「ま○こさんって綺麗だよな〜〜」

「頼むから、自分でピー音入れるのはやめてくれ」


くだらない時間を過ごしながら、団子屋で休憩することにした。


結構繁盛しているから、俺は店前にある椅子に座って場所取りをして、二人に買ってきてもらうことにした。


ボーッと休んでいると、周りの人が騒ぎ出した。

『美男美女だね!!』という声が聞こえてきた。


その方向を見てみると、深月さんと弟が二人で観光巡りをしていた。


まさか……そこまでとはな……

出会ってまだそこまで経ってないだろ。やっぱりすごいな。


弟は、深月さんをすこし遠くにある、ベンチに座らせてどこかに行った。


弟が向かった先には、食べ物屋さんがあったはずだ。


食べ歩きか。


俺だったら、一緒に並ぶが、紳士のアイツは買ってくるのか。

そういうところ、経験の差が出るな。


しばらく、一人の深月さんを見ていた。


俺は、一体何を見ているんだろうと思い、目を離そうとしたところ、待っている深月さんが、他校の、修学旅行生にナンパされた。


金髪でヤンキー上がりのように、制服を腰パンで着ている。

令和にふさわしくなく、京都にもふさわしくはない。


ナンパしている奴は、結構強引だった。

深月さんの腕を掴んで少し強引に引っ張っている。


おい。

何触っているんだ。


深月さんが嫌がっているではないか。


てか、アイツは何しているんだ??

お前の好きな人が、危険な目にあってるんだぞ??


常に気を配っておけよ。

すぐに、駆けつけるくらいに。


お前の一目惚れは、その程度なのか??


遅い。遅い。遅い。

本当に遅い。


何やってるんだ。あのカスは。


俺ならとっくに解決してるぞ。


おい。そこの金髪のクソガキ。

深月さんは、嫌がっているのに、その汚え手で触れるな。


ああ。頭の中がおかしくなってきた。


死ぬ準備はできたか??


どうしようかな〜〜

まずは、その汚い手を反対方向にブチ折って、顔面に膝蹴りして、顔の形を変えてやろうかな?


俺は、無意識に、立ちあがろうとしたところ、やっと、アイツが戻ってきた。


弟は、金髪野郎の腕を軽く掴み、握力だけで、追い返した。


おせえ。そして、甘い。

俺が近くにいたなら、もっと早く、そして残酷に対処したぞ?


アイツ……

わざわざ文化祭まで来たくせに、いい加減な気持ちだったのか?


色々とムカつくな。


金髪野郎と取り巻きが去っていった。


その後、深月さんはお礼を言っていた。

遠くであまり見えないが、安心した様子で、深月さんには笑顔が戻っていた。


まあ、深月さんが幸せならいいんだけどな


弟は、今度は、周りを警戒しているようだった。

二人で店の方に向かって行った。



『おい!!』

『おい!!』

『おい!!』


俺は、我に帰った。

須子が、ずっと大声で声をかけてくれていた。

手には団子を持っていた。


「ああ……。ごめん……」

「月城?? どうした……。目が……怖いぞ」


やべ。無意識におかしくなっていたか。


「い、いや……なんでもないんだ。ごめん。ぼっとしていた」


「そうか。具合悪いなら、無理すんなよ!!」


「ありがとな」



団子を食べ、男子でしばらく遊び、合流の時間になったところ、グループラインに、森さんから、『変なやつに絡まれているから遅れる』という連絡が来ていた。


急いで向かってみると、3人が、他校のイカつい男6人グループに、ナンパされていた。


変装していない、森さんや数井さん。そして、陽菜さんもいる。

声をかけるのは、必然と言ったところか。


ナンパしている奴の制服を見ると、龍上高校の唯一のライバル校と言われている、虎神(こがみ)学園ではないか。


例年、龍上高校と、虎神学園は、三年生のある大会で決勝戦で戦う。

こいつらまで揃うとは、厄介だな。



須子が走って止めに行った。

こういう、すぐに行動できるところ、尊敬するよ。



俺の見立てでは、リーダー的存在だけは強そうだった。


正直、コイツだけは厄介だな。

鬼頭より普通に強そうだ。


「あ? チビが?」


取り巻きは、殴らないが、殴るふりをした。


須子が一瞬、体を逸らした。


それを見て、「チビがビビっててるよ〜〜!!」と須子を嘲笑した。


は??



キレた高安が、俺より先に行動したが、取り巻きの一人に制止させられた


高安なら、取り巻き一人は止められるだろう。


女子達も少し困った様子だった。


「無力だな〜〜。力のないものは淘汰される。胸と顔しか取りえない女は、強い男のためにあるんだよ」


リーダーの男は随分偉そうだった。


は?

このバカは何を言っているんだ?


俺はとっても、ムカついているんだよ。


こんな俺を守ってくれた、奴らを侮辱しやがって。


「じゃあ、俺とやらないか? マヌケくん共。一人で相手にしてやるよ??」


気がついたら俺はそう言っていた。



今度は、俺の番だよ

さっきのお礼さ。


「おいおい…流石に無理だって……」

「大丈夫だ。俺がムカついて、勝手にやるだけだから。まあ、ボコられたらその時はよろしく」


女子達も、『先生に連絡しよう』と助言してくれた。


それに、好感度上げるいい機会だ。


「まじか?」

「ああ。早くどっか行こうぜ。人のいるところだとあれだろ?」


みんなの前で、体を動かすなんて体育祭以来か?


今の体の状況も、リレーの時に近いな。

いや、それよりも動く。

いい感じだ。とっても気持ちがいい。

適度な怒りと、適度な解放感だ。


さっきみたいな、感じではない。


正直、良かったと思っている。

弟が相手ではない。


さすがに、過失で殺してしまったらまずいしな。

ハンデとしては十分であろう。




みんなで移動し、人のこなさそうな、山の中に入った。

いつメンは、少し離れたところで俺を見ている。


俺は、6人に囲まれた。


いつもの俺なら体が動かないはずだ。


パワーストーンのおかげなのかもしれないな。

それとも、大切な存在を守るためか?

全てだな。

今までの学校生活が、今の俺を作っているんだな。


「さあ、始めようぜ」


「まあ、ボコしたら、少しだけ許してやるよ」


みんな、心配そうに俺を見ている。


どいつもこいつも、喧嘩慣れはしているようだが、技術面はお子ちゃまだな。

構えがなていない。


木刀持っている奴もいるし。

いい木刀だな。

そういえば、リサに買ってってやらないとな。


じゃあ、少しはカッコつけさせてね。

ここは俺の踏み台になってくれよ?



「あ、あそこ!!」と取り巻きの一人が叫んだと同時に、後ろのやつが、思いっきり前げりを放ってきた。

悪くはない。

ただ、蹴りのモーションが遅いんだよね。

虎神学園はその程度か。


ああ。

今までの人生で一番、体が動く。


俺は、その蹴りを避けた。

そして、足首を掴み、アキレス腱と踵の間を思いっきり殴った。


そして、その足を離した。

蹴ってきたやつは、余裕をぶっこいていたが、遅れてやってくる痛みに、足に力が入らなくなり、地面に尻餅をついた。


それを見ていた、近くにいた2人を、俺は、テコンドーの回転蹴りで、顎を蹴り、戦闘不能にした。


テコンドーを選択したのは、ちょっとカッコつけたかったからです。

調子乗ってすんませんね。

と心で謝り、残りは3人。


2人は、それぞれ木刀で襲ってきた。

木刀の耐久度を確かめった方ので思いっきり殴ったら、2本とも壊れてしまった。


ただ、感触的に、耐久度合いは良さそうだった。

買おう!!


二人は、精神的に戦闘不能になってしまったようだ。


木刀そこまで高くなくない??

そんな落ち込むなよ……


ビビってるのかな??


いつメンは、すごく驚いている様子だった。


6人に襲われる状況なんてないもんな

俺は、家の訓練で特訓したからな。

まあ、家での訓練は俺は数回で終わったけど


弟は偉いと思うぜ。

こんなクソみたいな、訓練を何百回もできたんだからな。



ということで、リーダー1人になった。


「……意外とやるな」

「君らが弱いんじゃないの?」

「まあ、コイツらは弱いかもな。でもな、おれは特待生になったばっかだ。top10だからな」

「特待生?そんな制度あったのか」

「最近できた制度だ。コイツらとは桁違いの実験を受けているからな」

「そうか」


やつは蹴りを入れてきた。

俺は、試しに蹴りを受けてみることにした。

やはり、威力も技術も、鬼頭よりあった。


特待生というのは嘘ではないな



まあ、10位だしそんな調べる必要もないだろう。


「声も出ないか? 痛いだろ?」

「……」

痛くはないが、痛がっている雰囲気を出した。


みんなも心配しているようだ。


よし

もういいだろう。


逆転を演じないとな。


俺は、合気道の要領で腕を取り、思いっきりこけさせ、受け身を取らせなかった。


頭を強く打ち、軽い脳震盪で起き上がれなさそうだ。




「俺は特待になったんだぞ……。一条光、以外にも強い奴がいたとは……」


え。

……俺??


「今のはたまたまだ。てか、誰だ。そいつ?」


「詳しくは知らない……。我が校のトップに居られる方が、唯一気にかけていらっしゃる名前だ。龍上高校のNO.1だそうだ。まあ、いずれあの方が倒してしまうがな」


「そんなにすごいのか?そのトップにいるやつは?」


「負けておいていうの恥ずかしいが、あんたが比べ物にならないくらい強い。人間の到達できるレベルを遥かに超えている。一度だけ手合わせしたことがあるが、コテンパンにされた」


「今もじゃん」

「そうじゃない。詳しくは守秘義務で言えないが……今のあんたは確かに強い。一般人にもこんなに強い奴がいることに驚いた。ただ、あの方は、もっと、こう……凶暴なんだ……」


「そうか」



どういうことだろうか。対象者が俺というもの気になる。

ただ、噂話はあまり信じない。

伝言ゲームとかでも、5人通せば、『賃賃電車』が『ちんちん……デッカ!!』に変わることもあるしな。



おそらく、弟の名前を間違えた、といったところだろうか。


気になるところであるが、俺はもうその大会に出ることはない。

そもそも、出ても醜態を晒すだけだ。


今日みたいな状態ならと憧れてしまう自分もいるな。

調子に乗りすぎて、全てを失うのは、ごめんだ。



ただ、虎神学園。

思ったより強いな。


龍上の2番手では、こいつは倒せなかっただろう。

鬼頭よりも弱かったしな。



まあ、全員、弟や俺の相手ではないがな。


どんな教育を受けているんだろうか。

そこのところは、エリカが弟のために調べるだろう。


最後に、聞きたいことがあった。


「なあ、最後に聞きたいことがある」

「なんだ?」

「その木刀どこに売ってた?」

「ふざけているのか?」

「いや。真面目なんだけど……」


とりあえず、いい木刀が売っている店を聞けて、俺は満足だ。

明日の予定なら、そこの近くのお店に通るし、買っておこう。

リサへのお土産はゲットだ。


奴らと解散し、俺は少し離れていたみんなのところに戻った。




『やばいって!』『すごいって!!』などとみんなにお礼言われた。


ただ、陽菜さんはボーッとしてる。

何か別のことを考えている様子だった。

戦っている時も、陽菜さんは、誰よりも真剣に見ていた気がするな。


調子に乗りすぎて、引かれているとかはないよね……


心配していると、

「やっぱり、すごくかっこよかったよ??」と陽菜さんが耳元で小声で声をかけてきた。


陽菜さん。そういうのはダメでしょう……


とりあえず、好感度アップもうまくいったようだ。


6人で回る予定だったが、陽菜さんが気を利かせて、カップル同士で回ることにした。


ということで、俺は陽菜さんと二人だ。


他の生徒バレても、もう問題ない。

一緒に登校もしているし、何より、これから告白しようとしているのに、ビビる必要はない。



陽菜さんが行きたかったのは、どうやら、縁結びで有名な神社だった。


神社までは、歩っていくことにした。


「本当に強かったね〜〜! わたしは信じてたよ? でも、前みたいにやりすぎたらどうしようとヒヤヒヤしてさ」

「それで真剣に見ていたのか」


「それもあるけど、すごくカッコよかった。全ての技術のレベルが高かった」

「それならよかった」

「そうだよ〜〜!!」


手は繋いでいないが、陽菜さんは体を寄せてきた。

肩と肩はくっついている。

逆に歩きにくいが、そんなのはどうでもいい。



あっという間に神社に着いた。

高校生だけでなく、大人や外国人も多かった。


願いたいことは多すぎた。


とりあえず、


ただ、幸せに。

俺のことを好きな人がいるなら、その人が幸せに。

それだけを祈った。



「ここのおみくじ当たるんだって〜〜!」

「小学校低学年以来、引いたことないかも」

「じゃあ、引こう!!」


引くと信じちゃうタイプなんだよな……。

まあ、一人じゃ引かないからな。


俺らはおみくじを引いた。



「どうだった〜〜〜?」

「大吉だった」


これはいい感じだ。


「わたしも〜〜!!」

「これで安心だな」

「まだまだだよ〜〜??おみくじは中身が大事だからね〜〜」

「え。それは読まないことにしよう……」

「じゃあ、せ〜ので見せ合いっこしよう!!」

「おう」


『見せ合いっこ』が少しエロく聞こえるが、冷静さを保ちつつ、おみくじを見せた。


えーー。

全く同じじゃんか。


書いてある内容全く同じじゃん。コピペ反対!!


恋愛のところは、『初恋が成就する』とか書いてあるぞ。


本当に、当たるのか??

もっと、種類あってもいいでしょうよ……

金儲けじゃないだろうな……


「同じだね〜〜!!」

「だな」

「当たるかな〜〜?」

「どうだろうか」


陽菜さんはルンルン気分であった。


おみくじを結び、神社を出ようとしたところ、深月さんと弟も同じ神社に来ていた。


まじかよ!! 

二人も来ているのか。


陽菜さんは、二人に気がついていない。


ごめん。陽菜さん。


告白するまでは、弟には合せたくない。

陽菜さんまで、簡単に奪われるわけにいかないのだ。


俺は、陽菜さんの手をとり、「ちょっと、走ろ?」と言って少し強引に引っ張った。

陽菜さんは訳がわからないながらも、ついてきてくれた。


二人は、俺らに気がついていない様子であった。

しばらく走ると、人が来ない場所を見つけた。

ここら辺なら、大丈夫であろう。


「ごめん。いきなりこんなことして……」

「大丈夫だよ〜〜! でも、どうしたの? ま、まさか、人のいないところで、エッチなことを!?」

「なんでそうなるんだ」

「え〜〜。闘って、アドレナリンとかで興奮して、爆発したんじゃないかなって〜」

「意外とあり得そうなのが、辛いな」

「じゃあ、もう少し、人のいないところにしてね!!」

「乗ったらこれか」


「せっかくだから、ここで少し休もう!」

「そうだな」


こんなことを言っても、陽菜さんは嫌な気配はなし。


「もう、明日には帰るんだね〜〜。あっという間だね〜〜。楽しかった?」

「マジで、楽しかった。本当に、陽菜さんのおかげだよ。感謝しかしてない」

「わたしも楽しかった〜〜。正直さ、ここでの学校生活、楽しくなかったんだ。第一志望じゃなかったしね。でも、光くんと会ってからすっごく楽しいよ!! 満足!!」


「そう言ってもらえてよかったよ。で、でも……まだイベントあるだろう? もう満足したの?」

「キャンプファイヤーね。楽しみだな」


ここだな。


「ねえ……陽菜さんはさ、一緒に行く人いるの?」


キャンプファイヤーの伝説というのがある。

男女で踊ると、結ばれると。


信じてはないが、一応というやつだ。

この学校では有名な話。

異性を誘うと言うのは、そういうことだと誰もがわかる。



「いないよ」

「も、もし……よければ、一緒に行かない? 陽菜さんが行きたいか教えて欲しい。遠慮しないでいいから」


これだけのことでも、声がうまく出せないのか。


「もちろん行きたい。光くんと」


これは確定だろう。

もう、大丈夫だよな。

俺の勘違いではないよな。

確信していいよな。周りの奴らもそう言ってたし。

陽菜さんは俺のことを……


陽菜さんが、俺といることで幸せになれるなら。


「じゃあ、一緒に行こう。その時、言いたいこともあるんだ」


「……わかった。楽しみにしてるね」


珍しく、陽菜さんは、目を逸らし、顔を真っ赤にしている。


まあ、ここまで条件揃えば、バカでも、わかるよな。


心臓の鼓動がうるせえ。


止まんねーかな。

あ、死んじまうぜ。



しおりを読んでいて、いい場所を発見していた。


キャンプファイヤーが見えつつ、人がこなさそうな場所を。


俺は、そこを待ち合わせした。



「じゃあ……20時にそこ待ち合わせでいい?」

「うん!!」


下準備は完了だな。


あと一手で、【チェックメイト】だ。


告白を、チェスや将棋で例えたくはないが、もう勝ち筋は見えているよな。


いきなり、キングがクイーンに発情して、ものすごく動けるようになるような、ありえないルール変更がない限り。



20時か。

後少しだな。


俺らは、神社を離れ、いつものメンバーに合流した。

次回のタイトルは『告白……?』です。


その後は、

『ごめん……』『どうしよう』となります。

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更新おつかれさまです。 またもや久しぶりにバトル小説になったのかと いよいよ姉妹共に告白直近で付き合うのは弟か?主人公か?な感じですが不安な次回予告ですね 忙しいと思いますが本編終わった後の3pルー…
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