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昨夜はかなり早い時間にお布団に入ったことて朝の目覚めはスッキリ爽快。


身支度をささっと済ませて食堂に行き朝ご飯をモシャモシャと食べていると、食堂の壁に掛けられていた大型テレビで朝のニュース番組が流れていた。


いつものようにボンヤリと聞き流していると――――


『いや~~クロム君でしたっけ?健気でいい子そうな獣人の子供でしたねぇ』


『新天地があそこまで厳しい自然環境にあるとは知りませんでした。やはり人道的な見地からしても1人でも多くの獣人を救う義務が我々にはあると思いますよ』


『実は私、この収録が始まる前にネットで配信されていた元の動画を見ていたんです。それですぐにネット募金をしてきたんですけど、他にもたくさんの方がすでに募金に協力されていたみたいで。皆さんの優しさを感じられて朝から温かい気持ちになりました』


などなどなど……


驚きだ、まさか昨日の今日で獣人たちの置かれた窮状を訴える動画が配信されており、すでにニュース番組に取り上げられるまでに話が大きくなっていたとはな。


同じく食堂でご飯を食べている職員のヒトたちは当然ながら獣人たちの救援を求めるような動画を知っているようであり、特に驚いている様子もなく黙々とご飯を食べている。


感極まった様子でコメントするタレントたちに熱を当てられ、あと数年で陰の歴を迎える獣人たちを1人でも多く救うべく早速俺自身も行動に移す――――と言うわけもなく、とりあえず朝食を済ませて太郎達のところに向かうことにする。


まあ俺みたいな一般人が何かできるというわけでもないからな。せいぜい無理のない範囲で募金をするぐらいだろう。


久しぶりに太郎達の前の姿を出すと、つい数週間前まで毛糸の玉のようなフワフワマルマルとしていた小太郎たちも多少の子供らしさは残っていたがすっかり大きくなっていた。


そして親父たちと同じように俺の姿を見るとご飯をせがむように集まり、誰かに教えられたわけでもないのに早くよこせとばかりにメェメェと鳴き始める。


「今日はリンゴを持ってきたぞ~」


子供がいても群れの序列は大事にしているようで、やはり一番に口をつけたのは太郎だった。


リンゴを持つ俺の手を齧ってしまうんじゃないかと不安になる勢いと速度でシャクシャクと食べ、固い芯の部分は綺麗に残す。3つほど食べると満足したのか後ろにいた花子に代わり、少し離れた場所で目を細めてくつろぎ始めた。


「おはようございます檀上さん。帰ってきて早々お手柄だったようですね」


ヤギ小屋を囲う柵の外に、肩に猫を乗せた只野さんがいた。今日も猫の尻に敷かれているようだが、本人が幸せなら部外者が口を出せることはないはずだ。


「おはようございます。お手柄っていうか、単に思いついたことを口にしただけなんですけどね。それをしっかりとした形にして発信をした『協会』の手腕にはいつも驚かされています」


「いえいえ、何事も『きっかけ』が大事ですからね。1を100にすることよりも、0を1にすることの方が難しいともいいますから」


そんなとりとめのない雑談に興じていたかったが、空気の読めない部外者が邪魔をする。いや、コイツらからすれば、大切なおやつの時間の邪魔をした只野さんの方が部外者か。


餌を与える手が止まっていた俺はそこそこの威力で頭突きをされて、思わず『グフッ』とうめき声を漏らしてしまう。そして只野さんには次郎たちが『アッチに行け』と言わんばかりに角を突き上げるように威嚇のポーズを決めていた。


「っと、お邪魔してすみませんね。では檀上さん、私はこの辺で」


と逃げるように去っていく。俺も逃げ出したいが、今逃げ出したら間違いなく後が怖いからな。気が立っている次郎たちにちょっとビビりながら残りのリンゴをやった。

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