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深海ソリティア  作者: 井石 知将
9/11

告る

「久振りの外だな〜」

退院の手続きを済ませ、阿賀は家に向かうことにした。

日の光はいつもより眩しく感じ、建物の陰はいつもより暗く感じられた。

タクシー乗り場に行く途中で、

「たまには駅まで歩くか………」

と思い、駅まで歩くとこにした。


「んじゃ先輩、行ってくる」

「気をつけてね」

笠谷と多々和野は深海探査に行く直前、こんな会話をした。

「タニタニ………」

「どうしたんですか?」

多々和野の声が少し震えている。目も笠谷には見せてないがおそらく涙目だ。

「帰ってきますよ。俺はちゃんと。そしたら……………」

勇気もて笠谷!男だろう!ここで止まってたらダメだろう!もう一歩だけ、もう一歩だけ踏み出す勇気を………………!

「俺と……俺と付き合ってください」


「げ………嘘だろ」

駅にはある張り紙が貼ってあった。

『身投した男性が電車にひかれたため、電車の運行に遅れが出ております。ご了承の上、しばらくお待ち下さい。』

ま、急いでるわけでもないし別にいいか。それにしても身投って………縁起悪いな。

音楽プレーヤーをポケットから取り出し、へッドホンを耳に付けた。


「急いで引き上げて!」

「ダメです!上がりません!」

「ぐ…………急がないと…………….誰か阿賀に連絡しときなさい!」

赤羽は胸中何度も舌打ちをした。今日だけで二十回はしている。そしてちっとも連絡がつかないことにイラついた。

こんな緊急事態にあいつは何をしてるのよ?!


阿賀がポケットに手を入れていると携帯がふるえた。着信あり、とディスプレイに表示されている。中山からだ。

「もしもし、どうした?」

「阿賀さん聞いてください!潜」

ぶつり、と切れてしまった。

あ、俺の携帯、バッテリー上がってる。

電車が来たようなのでそいつに乗った。



家に着き、さっきの電話のことを聞こうと思い、電話の受話器を取ろうとした瞬間電話がかかっきた。

「もしもし?」

「阿賀?やっと戻ったのね…………………」

「赤羽か?電車が事故で遅れて携帯はバッテリー上がっちまったんだ。急用だったか?」

「急用……だったわよ…………馬鹿………………!」

「だった?どういうことだよ?」

「実はね……………………………」

続きを聞いた瞬間、受話器は俺の手から落ち、家の鍵を閉めるのも忘れ、深海センターに走り出した。


「リュウグウ計画が失敗して……」

しばらくの沈黙。そして重々しく言った。

「笠谷くんと那覇さんが死んだわ」

次回で最終回です!

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