ユークリッド村跡地
「ぶっちゃけるとさ、俺とホムラのスキルは威力が規格外だ。俺の剣の一振りはシンプル強力だ。それに、ホムラのスキルは周りを巻き込みかねない。それに、日足曰くレベルアップで治る怪我にも程度があるらしい。致命傷は命に影響ない重症、重症は中軽傷、中軽傷は完治といった具合だ。治る重症とかもあるらしいがな。身体部位の欠損とかその辺。まあそういうこともあって、俺とホムラで行動する。お前たちは3人で攻略に当たって欲しい。」
なるほど、怪我の治りって一レベ上がれば全回復じゃないのか。確かにポケ◯ンでもレベルアップしたって進化することはあってもHPが全回復することはないもんな。
「確かに理にかなってるね。いいよ。あたしらは3人で行動する。エル坊、雅。さっさといくよ。今日で4個は裂け目を終わらせるよ。他県の連中には負けられないし」
ん?別に他県の攻略者と争ってるわけじゃないんだし、マイペースに攻略すればいいんじゃ……
俺の考えを察してくれたのか、ミヤビンが事情を説明してくれた。
彼曰く、俺が寝ている間の情報共有時に神奈川県はチュートリアルで攻略者に死人が出たことを一部の攻略者に笑われたそう。不謹慎だと相手を注意する連中も一定数いたらしいが、それでも氷川玲奈という女の負けず嫌いが発動したらしく、今に至るそうだ。
「レン。お前クールビューティーな美人の癖にすぐ熱くなるよな」
「エル、私の事リアルでは苗字か名前で呼んでもらうと助かる。リアルと区別はつけたいからね」
「了解。てか俺ってもう退院していいの?」
素朴な疑問だが、俺はそもそも怪我とかで入院しているわけなのか、それともとりあえずここに入院させられたのか、よくわからないんだよな。
「さっき聞いてきたけど目覚め次第出ていってもいいみたい。さっさと病室開けろとのこと」
玲奈が振り返ることなく教えてくれた。
「さんきゅ。よし!早速行きますか!」
⭐︎★⭐︎
"⭐︎"
ユークリッド村跡地
残り時間
539時間13分24秒(22日程度)
「ここが裂け目の中か。なんかもっとこう…草原とか森林とか、そんな感じのステージだと思ってたんだが」
俺の眼前に広がるのは焼けこげたような後の残る家の跡や朽ちて乾燥した木材、生き残った木々から生えた新たな命。
きっと村"跡地"になってから相当の月日が流れたんだろうな。
なーんて考えながら3人はそれぞれの想いにふけていると
「○○○○○○!」
「○○○○○○○○○○○○○○○○○!」
2匹のモンスターが聞き取れない言葉を投げかけてきた
「なんだあれ?」
「ゴブリンみたーい!」
「ご、ゴブリンって本当にみ、緑色なんだね」
3人がそれぞれの感想を口に出している間に仲間を呼ばれ、気づいた時にはゴブリンの数が10何倍にもなっていた。
「と、とりあえず戦わないとだね」
ミヤビンの一言で戦闘が開始した。
「第1スキル『再現』創造(レベル1)」
「第1スキル氷の弾弓(レベル1)」
「だ、第1スキル感覚共有(レベル1)」
俺たちがスキルを発動すると同時にゴブリンの群れは飛びかかってきた。
「二人とも下がって。第一スキル派生巨大氷弾」
スキルを使った瞬間はよくて拳ほどの大きさだった氷の弾、その弾が玲奈が新たにスキルを使った瞬間、サッカーボール程の大きさになり、ゴブリンの頭や腹を性格に撃ち抜いた。
「す、すげー。なあミヤビン、玲奈って弓道部とかなのかな?」
「あ、あのね、玲奈さん。うちのギルドくる前はべ、別のギルドで弓兵やってたらしいよ」
「なるほどね〜」
「あんた達!喋ってないで手動かしな!」
怒られちった。さて、初の裂け目攻略!行きますよー!
「創造。グレネード、オートタレット」
グレネードはゲームで作ってるものをイメージ。おかげで完成度は高い。けどオートタレットの品質が少し不安だ。
背後から現れた第二陣らしきゴブリンの群れに対し、グレネードを作り続けながら応戦。近づいてきた連中にはオートタレットと武器庫で対応。これでいけそうだな。
ふと気になりミヤビンの方を見ると、思いの外うまく戦っていた。
雅の感覚共有は、スキル名は感覚の共有だが、自身にかかっているバフやデバフを対象の制限なしで付与できたり、空気や光にも作用する、使い方次第ではどんなものにもなる優れたスキルである。
「サ、感覚共有!停止!」
自身が蹴り上げた土や小石を自信が止まることにより停止させる。
この際、対象にかかる効果は10倍のものになるため、1秒の停止が土や小石は10秒の停止となる。
「感覚共有!発射!感覚共有停止解除!」
次に停止している土や小石に触れている空気を思い切り殴る。
そして殴った衝撃の10倍の衝撃を溜め込んだ小石たちの停止を解除。
それによりかなりの速度の小石達がゴブリン連中を貫き、殺していた。
「ミヤビンナイス!次行こう!」
「詩音、雅。少し進もう。マップだとボス以外のモンスターはほとんど片付いたみたい」
玲奈がそう言いながらマップを見せてきた。
確かにもういないな。よし、
「ボスまで一気に突っ込もう。普段のゲームと同じ。敵が少なくなってきたらボスを一気に叩く!これに限る!」
「おっけいエル坊…じゃなくて、詩音」
「了解エル君。あ、詩音君」
「はぁ。もうエルでいいよ」
⭐︎★⭐︎
“ボスモンスター“
『悪食ゴブリン(レベル7)』
特異体質のゴブリンです。食べたモンスターの性質をランダムに一つ体には発現させています。
現在は、リザードマンの尻尾と人間の骨強度、コウモリの超音波を使えます。
「ひぇぇ。なんかきもいなあの見た目」
「た、食べたモンスターの特性獲得って普通に強くない?」
「エル坊に雅、作戦伝えるね。私と雅で誘導。エル坊は隙を見て尻尾を切り落として。そのあとは削って殺しきる。おっけ?」
「「おっけ」」
「それじゃあ——GO!」
3人は一斉に走り出した。
まず雅と玲奈がボスの前にあえて姿を晒す。
「第一スキル氷の弾弓」
玲奈が氷で作り出した弓から矢を放ち、ゴブリンの両目を潰した。
そのまま立て続けに足と首に向けて放った氷の矢はボスに到達する前、空中で動きを一瞬止め、その後すぐ数倍の速度でボスの首と足に突き刺さった。
「◯◯◯◯!」
ボスは痛みで叫び声をあげる。
その瞬間、人間でいうところの尾てい骨あたりから生えている尻尾がぼとりと地面に落ちた。
落とした人間は浅羽詩音。手には巨大なランスの応用で作り出したであろう骨切り用の巨大断刀。
目が見えなくとも巨大な武器と、新たな痛みの方向で詩音の位置を割り出したボスは、見えずとも確実に詩音のいる場所めがけて巨大な腕を振り下ろした。
が、その腕が詩音に届くことはなく、地面から突然姿を表した巨大なランスに腕と頭を、背後から飛んできた気配すらも消す不可視の弾に心臓を貫かれ、絶命した。
ステージクリア
"ユークリッド村跡地"⭐︎1
クリアタイム
119分2秒
獲得アイテム
Fランク
仁王像の小指
効果
3秒間の間、攻撃力5%アップ
クリアタイム約2時間か。これが今後の基準になってくるな。取り巻きのゴブリンを倒しきるのに思ったより時間がかかったな。さらにボスもデカくて体力も多かったな…攻撃力不足が今の課題かな。攻撃のパターンはしばらく今のままでもいけそうだな。
「2人ともお疲れ様。報酬とかどうだった?あとレベル」
「ぼ、僕はレベル上がった…よ。あ、あとアイテムは鬼王の角ってアイテム。こ、効果は1秒間の間筋力ステータスを190%アップするDランクアイテムだよ」
「え!ミヤビンレベル上がったの?俺上がんなかった…それにアイテムもFランクだし…あそうそう。アイテムの効果は3秒間攻撃力5%アップ。筋力と攻撃力の違いがわかんないけど」
「私もレベル上がんなかった。アイテムはEランクの溶岩瓶。特殊な効果とかはなくて、投げて使う投擲アイテムだね。」
3人でそれぞれの報酬を共有しているとシステム通知が表示された。
"システム"
裂け目の初クリアおめでとうございます。裂け目をクリアなされた攻略者の方々に共通で表示しています、カウントダウンタイマーの表示を開始させていただきます。こちらのタイマー。ゼロになるとこの星の生命全ての魂を強制的に回収させていただきますので、お気をつけください。
カウントダウンタイマーを伸ばす方法は以下の通りです。
裂け目のクリア(残り時間が追加)
攻略者の生贄(レベル×1日)
イベントミッションの攻略
ワールドインベイジョン運営
「は?」
この文章を読んで、言葉が出なくなった。
俺の横では、ミヤビンが声を震わせながらあるフレーズを読み上げた。
「こ、この星の生命全ての魂を強制的に回収って」
「文字通り、世界の終わりだね。生命がどこまでを対象といてるか分からない以上なんとも言えないが……」
俺が言葉を渋っていると玲奈が口を開いた。
「最悪の場合物質を形成してる原子とか、そのあたりまで生命と判断してくるかもね。私たちの基準での生命とは限らないし。はぁ。とりあえず!私たちがここでウジウジ考えててもどうにもならない!さっさと残り三つ行くよ!」
こうして、初めての裂け目攻略は何事もなく終わった。
残り時間
2083日20時間31分59秒
氷川玲奈《ヒカワ レイナ》
日本第一時選定の攻略者
詩音らが遊んでいたゲームAGW(正式名称:All Generation War)にて、主に援護を担当
神奈川藤沢市在住
綺麗な青い髪の女性です。普段からゲームばっかりで基本日光を浴びない為肌は真っ白です。
攻略者になるまではメラニン色素を取り込めなく、髪の毛が白色でしたが攻略者になった瞬間、髪の色が青色に変色したそうです。
スキルは氷の弾弓《グラス・バルアーク》
氷の弾や矢を打ち出すことのできる弓を召喚します。召喚自体にMPは使いませんが、弾丸や矢を打つ際にMPを使います。3倍のMPを消費すれば弾丸や矢を不可視の物にすることも可能ですね。
スキルの派生技、派生と表記していますがどちらかと言うと応用のような感じです。
巨大氷弾
通常のものよりサイズをアップする代わりにMPをやく2.5倍多く消費します。
ちなみに、これと同時に不可視も使った場合
消費MP10(仮数)×2.5×3といった感じです。




