ふくれっ面?
私の仕事はレーダー。
自分で言うのもなんだけど、日々の鍛錬でその力は磨きがかかって来ている。
常時、ぼんやりと広範囲を監視し、異変を感じると、もっと詳細に調べる。
強力な妖がどこに何体いるかもすぐに分かる。
激しくなってきた妖たちの襲撃の中、みんなの力と私のこれでここまで私たちは全員生き残ってきている。
私のレーダーは邪気だけでなく、逆の力として空真や有脩、卑弥呼様の力も認識する事ができる。卑弥呼様は秘密兵器と言う事もあって、その力を普段は抑えているのか、その力の大きさは空真、有脩と同じくらいに感じ取られている。
卑弥呼様の真の力が解放される日。
その日がいつなのかと思いつつ、日々の戦いを私は続けている。
「今日は助かりましたよ。
幻を操る妖に、危うく谷に落とされるところでした」
そう言ったのは私の横を歩いている空真だ。
今回の敵は風景を幻で改竄し、私達を崖に向かって進まそうとしていたのだ。
だけど、なぜだか私にはレーダー的な力だけでなく、妖のこの手の術は通じないのだ。
幻もそうだ。幻に惑わされるみんなを引き留め、卑弥呼様にその妖の位置を伝え、卑弥呼様が放った破魔矢で葬ったのだ。
「でも、退治してくれたのは卑弥呼様ですし」
そう。しかも、久しぶりに見た卑弥呼様の破魔矢は以前よりも破壊力があった。
でも、私が使っていた卑弥呼様の破魔矢にはとても及ばない。
以前が絶不調のレベルなら、今日の破壊力は不調くらいって感じ。
「いえ、やはりルリ殿のお力です」
私から数m後ろを歩いている有脩が言った。
なにかと有脩は私をよいしょする。
そして、そんな時はいつも絶不調の時の力で存在がかすんでいる事が不満なのか、卑弥呼様が不機嫌そうな顔をし、私にはきつい視線を向ける。
「私なんか、卑弥呼様に到底及びません」
振り返って、そう言った。
そんな私に駆け寄ろうとした有脩の服を持って、卑弥呼様が有脩を止めた。
有脩がふり返って卑弥呼様を見つめると、卑弥呼様もじっと見つめ返したままだ。
何か二人で言葉を使わず会話している。そんな感じだ。
この二人にはそんな力もあったのか!
ちょっと感心。
「しの。君ももっと強くなるよ」
「ずっと離れないで」
「ああ。父上に代わって、僕が……」
「しのって?」
私が二人の会話を邪魔してしまった。
有脩は驚いたような表情で立ち止まっている私をじっと見つめ、卑弥呼様は有脩の背後に隠れてしまった。
「き、き、聞き間違いじゃない?
は、は、ははははは」
有脩はそう言うと私の手を握って、引っ張った。
「空真様たちに遅れましたよ。
急ぎましょう」
空真たちを追いかけるにしても、なぜに私の手を握る?
私に聞かれた事で何か動揺している?
卑弥呼様が私たちの所に駆け寄り、私と有脩の腕を掴んで二人の手を引き離すと、私と有脩の間に割って入った。
私的にはなぜにと思っていた所なので、有脩に握られていた手が振りほどかれても全然問題ない。
卑弥呼様は私の手は振り捨てるように離したのに、有脩の手は離さずにじっと有脩を見ている。
またなにか言葉を使わずに会話?
でも、卑弥呼様のその顔はなんだかふくれっ面に見えるのは気のせい?




