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         8年前の夏


       二人の少年少女が恋に落ちた。



       一人はレーム帝国第二王子

       『レインハルト・ボナパルト』


      もう一人はマレー王国伯爵家令嬢

       『―――――――――――』



      敵対する二国の次代の中枢を担う二人。


         身分も立場も性格も


      重なるものなど何も無く、重なることなど許されない 



      それでも貴方は言ってくれた。


       約束すると。



       例え、――――――――祝福するものがいなくても


       たとえ―――――――――どんな困難があったとしても


       例え、――――――――今持つ、全てを捨ててでも


       ――――――――必ず



      「貴方と一緒になれるなら、富も権力も財宝も――――――

                何一つ必要ない。だから――――――――」


      「すごくうれしいよ!―――――――――わたし、今日のこと

                       絶対忘れないから!」


      「俺も忘れない。絶対に。」



      八年前の夏。

      少年と少女が恋に落ちた。





*******


 「お早う御座います。エリザベータ様。」


 朝。もうそろそろ聞きなれ始めたたメイド――――ミランダ――――――の声に目を覚ます。

 私は小ホールほどに広い部屋の中にいた。

 エリザベータの寝室だ。


 ふかふかなベッド。

 鏡のように磨かれたシャンデリアや彫刻品。

 薄く、大きな窓からは気持ちいい朝日が覗いていた。


 私は、ベッドのふかふかを堪能しながら、

 何かいい夢を見ていた気がするんだが・・・、

 と思うが。それが何なのかは分からない。


 とても幸せで、温かくて、大切な夢だったはずなんだが。

 はっきりと、それを思い出そうとするとたちどころに消えてしまう。



 「お召替えを致します。」


 「ん、お願い。」



 取り敢えず思考を放棄して、ミランダの言葉に眠そうな声で答えた。

 貴族の令嬢たるもの自分で着替えなどしないらしい。


 別段絶対に自分で着替えなければ気が済まないなどと言う性分でもなく

 (前世の)病院では世話をされるのが当たり前だったので、特に抵抗も無く受け入れていた。



 「朝食は何にいたしましょう?」


 「何があるの?」


 「ご命令とあらば、どんな料理でも作らせましょう。」


 「・・・そう。」



 ちなみに専属料理人には逃げられたので、今は一人もいません。

 いったい誰に作らせるつもりなのか。

 まあ、根っからの庶民だから難しい料理なんて知らないんだけどね。

 取り敢えず病人食じゃ無ければ、何でもいいと言うところだが。



 「何かお勧めってある?」


 「お勧め、でございますか・・・。そう言えば、質の良いチーズが入ったと言って居りました。」


 「それじゃぁ、――――――――コーヒー牛乳とチーズパンをお願い。」


 「畏まりました。カフェオーレとフォンデ・オ・フロマージュに御座いますね?」


 「え?あ、うん。そんな感じよ。」


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