第2話 侵入者(三人称視点)
今回、ちょっと展開的にBIチックな描写があります。
とはいえ、描写は1、2行程度なんですけどね。それでも嫌だという人は覚悟をして諦めて読んでください。
エルフの里は、世界樹の傍に作られた里だ。その為、周囲の木々は巨木なのだ。ただ巨木だけならまだ良かったのだが、ここは世界樹から溢れ出る魔素が世界で一番濃い地域でもある。なので、巨木な上さらに1枚1枚の葉の大きさ量どれをとっても世界一を誇るのだ。
故に、このエルフの里では日が沈み始める頃には里全体が陽の光が巨木に遮られ里まで届かない。夕暮れ時の里は世界で一番早い闇が覆うのだ。
そう、双子が里へ向けて掛けている現在がまさにその夕暮れ時なのだ。
「クッソ!もう闇の帳が来る!アリュ!もっとスピード上げられるか!?」
「ハァハァ…い、いけるよ!」
息も切れ切れの中、キリュに返事を返す。
里が心配なのは分かるんだけど、運動が苦手な僕と運動大好き体力オバケなキリュールと同じスピードと持久力を僕が持ち合わせてるわけないじゃん!もうちょっと、ペース落として欲しいなぁって思うけど、僕は空気読めるいい子だから、黙ってついて行くよ!
全速力で走ったお陰もあり、なんとか闇の帳が来る前に里へ到着した。
息を整えながら、目の前の光景に僕は言葉が出ない。
「は?なんで里が魔物に襲われてるんだよ…」
いつもであれば、家の中には暖かい光で照らされ、それぞれの家族が談笑してる筈なのに、今の里には光は着いてる所とそうでない所、エルフと思わしき肉塊が里中に無造作に転がされ、エルフの抵抗跡の巨木に突き刺さってる矢や剣、ナイフそして、里で何かを食べている複数の魔物達。
「み、みんな魔物に殺された……?」
僕はあまりの現実に逃げたくなり隣にいるキリュールに縋り付いた。
「母さん…父さん…」
キリュールは縋り付いてる僕の手を握りしめながら静かに涙していた。僕もキリュールに吊られて涙が溢れた。
父さんも母さんもなんなら、同族が皆死んでしまった。もうこれからどうやってこの世界を生きていけばいいのか分からないよ。
涙が、止まらないでいるとだんだんと心臓の辺りが熱くなる。まるで、お湯が沸騰するかのように。
「っ……う……は!……っ」
「ア、アリュ!どうしたんだよ!お前まで居なくなったら俺どうしたらいいのか分からないよ!」
キリュに返事したいのは山々なんだけど、胸が熱くて苦しい。なんだよコレ!何かが外へ出たがってる。
「うぐっ……!!!あ!あぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
溢れ出る熱が外へ勢いよく飛び出す。外へ飛び出した熱は草花や木々、蔓や水、大火、暴風果ては、嵐の形創った。それは、正しく天変地異のようであった。
空間が様々な現象を引き起こしている中、あまりの出来事の連続でその頭が理解をこばもうと必死になっている男の子 キリュールがいる。そして、アリュールとキリュールから少し離れた結界と隠蔽の中にいる1つの集まりがいた。彼らは今はまだ傍観に徹している。
「アリュ?なんだよコレ?なぁ!」
キリュールの頭はそもそも出来がそこまで良くない。頭の出来に関してはアリュールの方が圧倒的に上なのだ。という事もあり、キリュールは里の現状を見たあたりからほぼ思考停止状態で、心 感情と本能に従って行動していた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!っキリュ……!たっ…助け…てっ!」
アリュールの決死の助けの言葉を聞いたキリュールは大地や自然が鼓動している中、体が勝手に動き、アリュールへと手を伸ばした。
伸ばした手がアリュールへ届くと、キリュールはまるでこうするのが当たり前 当然 必然または、こうなるのが運命あるいは、こうしないといけない事を体が脳が本能が心が、いや魂が知っていたのだろう。届いた手はアリュールを包み込みキリュールのまだ頼りなく小さなしかし、年齢にしては大きなその唇がアリュールの唇と重なる。
その瞬間、アリュールを起点に引き起こっていた天変地異はまるで元から存在していなかったかのように綺麗さっぱりと星となって消えていった。
しかし、辺り一面は樹海の中にポッカリと穴が空いていた。
「……っアリュ!」
「キリュ…。ありがと」
アリュールはキリュールに感謝を伝えるとキリュールの腕の中で意識を手放した。その様子を見たキリュールも気が抜けたのかアリュールを固く抱き締めたまま、同じく意識を手放した。
全ての様子を結界の中で眺めていた一団は事態が終息した事を確認するや否や、意識のない双子に拘束具を着け連れ去って行ったのだった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
そして、またしても三人称視点で書いてしまった。
次こそは一人称視点で進めていきたいですね。




