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禁肉球刑の波紋

被告神Aは、

たしかに賄賂を受け取ったかもしれない。

しかし、

それはアイスクリームだったり、ティラミスだったり、クレープだったりだ。

お菓子だ。

たんなるお菓子だ。

それで刑罰なんて、おかしな話だ。

おかしだけに……。

いや、そうじゃない。

そうか……。

神の国は、

供物を加工調理できない。

だからか。

お菓子が異常な価値を持つ。

そうに違いない。


私はそう思った。

……

禁肉球刑は波紋を広げた。

被告神Aの配下のものが世界で一斉にストライキを起こした。


被告神Aの配下は蛇。

世界中の蛇が機能停止し、卵に戻り、冬眠状態になった。


喜んだのは、カエル族とネズミ族。

カエル族とネズミ族は、その勢力を一気に拡大した。


人々の間では、最近カエルの鳴き声がうるさい。

ネズミの数が多いと噂された。


ただ蛇が減ったことに気が付くものは少なかった。


真っ先に困ったのは農家だった。

(最近ネズミによる穀物の被害が多くて困る)

そんな声が増えた。


被害のダメージは5%減。

大きくはないが、物価は上昇した。


カエル族とネズミ族は、その勢力を一気に拡大したが、限界があった。

ネコ族、フクロウ族、キツネ族の勢力が増加したのである。


結果的に被害のダメージは1%減にまで、とどまった。


神の国では、

禁肉球刑の刑罰期間が、長すぎたのではないかと議論が巻き起こった。


しかし、

一度決めたことを、くつがえすのは、容易ではない。

そして、

「神は外界に干渉しすぎてはいけない」

というルールも適用され、

神の国では様子見することにした。


基本的に、ストライキで冬眠状態に入った場合、冬眠期間は三年が限度である。

三年が過ぎると、元の姿には戻れなくなり、そのまま命を落とす。

そして配下のモノがいなくなった神は、

神権しんけんをはく奪され、神ではなくなる。


おそらく、蛇の神は配下のストライキをやめさせるであろう。

それが大半の予測であった。


……

私は、いつものように裁判所に向かうと、とある建物の壁に張り紙があった。

「グレーの※ンコを探しています。

見つけた方はご連絡ください。お礼をします。通信ID●●●●●●●●●」


なんなんだ。

グレーの※ンコって。

私がその張り紙の前でじっと考え込んでいると、

師匠がやってきた。


「おはようございます」

と私は言った。


「おぅおはようさん、あぁこの張り紙な、気になるよな」

と師匠は笑った。


「これグレーの何なのか?読み取れないんですよね」

と私は言った。


「インクがにじんでしまってるからな。お前通信してみろよ」

と師匠は肩を叩いた。


「えぇ、嫌ですよ。怖いですよ」

と私は首を振った。


「お前掃除人だろ。これも立派な掃除だ。心のな」

と師匠は笑った。


「それでどうするんですか?」

と私は尋ねた。


「すみません。張り紙を見たのですが、グレーの何を探してるんですか?って聞けばいいんだよ」

と師匠は言った。


「じゃあ、もうそれ見つかりましたって言われたら?」

と私は尋ねた。


「そうですか。じゃあこの張り紙は不要ですねって確認取って、この張り紙を取り外せばいいんだよ。それが掃除人の心意気ってもんじゃねぇか」

と師匠は両手で肩をバシバシ叩く。


「わかりました。連絡します」

と私は言い、通信端末から連絡を試みる。


(ぷるぷるぷる)


「はい。もしもし」

と男は言った。


「あの、グレーの……」

と私は言いかけると、


「ちょっと待て、そこから動くな」

と男は言った。


とっさのことであわて、

「はい」と返事をしてしまった。


「どうしたんだ?」

と師匠は尋ねた。


「通信をしたら、そこから動くなということを言われたんです」

と私は言った。


(ぷうーん)

サイレンの音が聞こえる。


「厄介なことに首を突っ込んでしまったかもな。じゃあな。お前はそこで待っとけ」

と師匠は言い、去っていった。


「ちょっと待ってください。ヒドイじゃないですか」

と私は叫んだ。


師匠はこちらを見もせず、手だけ振り、去っていった。


数分後、私はパトカーのような乗り物に囲まれた。

警察の制服のような服装の男が現れた。


「私は神国警察の者だ。君だね。この番号に通信をしたのは」

と神国警察の男は尋ねた。


「はい」

と私は答えた。


「同行願おう」

と神国警察の男は乗り物を指さす。


「はい」

と私は言った。


私はパトカーのような乗り物で、警察署のような所の取調室のようなところに通された。


「それでなぜあの番号に通信をした」

と神国警察の男は言った。


その表情は冷たかった。


「グレーのなにかを探していると聞いて。その何かが気になったので」

と私は答えた。


「これを見てくれ」

と神国警察の男は、数枚の写真を私に見せた。

そこには、

血まみれの男が写っており、

傍らには血文字で「グレーの※ンコに気を付けろ」と

書かれてあった。


ダイイングメッセージか。

なんてことだ。

殺人事件に巻き込まれるなんて。


「私は、裁判所近くの建物の壁に”グレーの※ンコを探しています。

見つけた方はご連絡ください。お礼をします。通信ID●●●●●●●●●”と書いてあり、

その見えない部分がわからないので、知っていても連絡できないと思い、連絡したまでです」

と私は言った。


「しかし、お礼が明確に示されていないのに、連絡などしないだろう」

と神国警察の男は目を細める。


疑われているのか?


「いや、実はこの張り紙を見ていると、師匠が通りかかり、気になるなら連絡しろと言われて、連絡したんです」

と私は答えた。


「本当か?その男はどこにいる」

と神国警察の男は尋ねた。


「裁判所の掃除人です」

と私は言った。


神国警察の男は、部屋から出て、誰かに指示している。


「そのまま、ちょっと待ってくれ」

と神国警察の男は言った。


私はうなずく。

ふと壁を見ると、

「カツ丼はじめました」

とのポスターが貼られてあった。

人気の女神がカツ丼を持って、笑顔をふりまいている。


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