猫の会議
港にある海防騎士団の建物の中、太陽と波で反射した光の差し込む団長室。そこには二人の獣人がいた。
「あの男の言うことを信用するのか?」
「信用するのにゃ。」
男のいう二ホンなる国を一向に見つけられないという情報を得たレイはレナを呼び出していたのだ。
「しかし、あの男。すべてを話しているわけではないだろう。」
「・・・でも、二ホンという国は絶対にあるはずなのにゃ。」
「根拠は?」
「太平にゃんの持っていた物品。あんなもの作れる国なんてないのにゃ。」
物品。それは日本人にとっては紙幣や硬貨、免許証といったありふれたものだ。レナはそれをみて、このあたりにはない異なる文化なのだと確信を持っていたが、レイは違った。
「あんなものある程度手先が器用なものなら作ることができるだろう。それに、あの文字のようなものは、何らかの隠語の可能性だってある。」
バン!
部屋に机を叩いた音が響く。もちろんそれを出したのはレナだ。
「もういいのにゃ!レイにゃんはそうやって疑うことしかしないのにゃ。それに太平にゃんは海事組合のものなのにゃ!」
そういうと、レナは団長室の重厚な扉まで歩いていく。
「それに、私は太平にゃんの目を信じるのにゃ。」
そして、つぶやくようにそういうと部屋から出ていった。
・・・・・
次から次へと桟橋に荷物が積み上げられていく。樽や木箱、麻袋といったものには酒や絹物、穀物といった様々なものが入っているのだ。
「金貨3枚!」
「こっちは金貨3枚と銀貨5枚だ!」
桟橋にひときは大きな声が響く。桟橋に上げられた荷物はこうしてセリにかけられるのだ。大陸にある大きな港ではここ以上に賑わうらしいが、ここでも十分なくらいの迫力がある。
「売った!」
どうやら酒樽は町にある酒場がセリ降ろしたようだ。それを聞いた酒場の者たちがすかさず、酒樽を抱え上げる。売ったといった瞬間から荷物の責任はすべて買った側に移るのでその行動は早い。
それにしても、獣人たちの腕力はすごい。あんな酒樽を一人で軽々と持ち上げるなど、人間では到底できないだろう。
「ふふっ!」
ふと、あることを思い出して笑ってしまった。。黒船来航の際、江戸幕府は力士たちに米俵を持ち上げさせてその怪力を見せつけたというが、これを見せられたアメリカ人たちの気持ちもこんなものだったのだろうか。
「それで、大体のやり方はわかったか。」
「あ、はい。大丈夫です。」
そして、俺がこんな場所にいる理由だが、ある日レナに呼ばれたかと思うと俺に輸入品の管理の仕事をしてほしいと頼まれたのだ。船が運んできた荷物の数、買い手が持っていく荷物の数を把握し、税人を逃れようとする密輸品を防ぐのだ。ただ何もせずに毎日を暮らしていた俺にとって断る理由はなく、俺はレナの頼みを快く引き受けたのだ。




